
がん専門アドバイザーの本村ユウジです。
霊芝(レイシ)は、古くから中国や日本で珍重されてきたキノコの一種であり、健康食品やサプリメントとして現在も多くの製品が販売されています。
特にがん患者さんやそのご家族から「霊芝はがんに効果があるのか」という質問を受けることが少なくありません。
この記事では、霊芝のがんに対する効果について、科学的な根拠をもとに客観的に検証します。また、副作用や飲み合わせに関する注意点についても詳しく解説します。
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「プロのがん治療専門アドバイザー」本村ユウジです。
がんを治すために必要なことは、たった1つです。
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霊芝(レイシ)とは何か
霊芝(レイシ)は、サルノコシカケ科に属する万年茸(マンネンタケ)という真菌類を指します。学名をGanoderma lucidumといい、英語ではReishi mushroomやLingzhi mushroomと呼ばれています。
中国では数千年前から「仙草」として知られ、不老長寿の薬として珍重されてきました。日本でも古くから「幻のキノコ」として知られ、自然界では希少な存在とされていましたが、現在は人工栽培の技術が確立され、サプリメントや健康食品として広く流通しています。
霊芝には、β-グルカンやトリテルペノイドなどの成分が含まれており、これらが免疫機能に影響を与える可能性があるとして研究が進められています。中医学や漢方医学においては、高血圧症、高脂血症、肝機能障害などの治療に用いられることがあります。
霊芝とがんに関する科学的研究の現状
霊芝ががんに対して効果があるかどうかを検証するため、世界的に信頼性の高い医学文献データベースであるPubMed(パブメド)で調査を行いました。
PubMedは、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のアメリカ国立医学図書館(NLM)が運営する医学論文の検索システムであり、世界中の医学研究論文が収録されています。
論文検索の結果
PubMedでの検索結果によると、霊芝(Ganoderma lucidum、Reishi)に関する論文は300件以上が登録されており、そのうちがんに関連する研究論文も70件以上が存在しています。
一見すると多くの研究があるように思えますが、これらの論文の内容を詳しく調べると、そのほとんどが以下のような研究であることが分かります。
- 培養細胞を用いた基礎研究(in vitro研究)
- マウスやラットなどの動物を用いた実験(in vivo研究)
- 霊芝に含まれる成分の化学的分析
- メカニズムの解明を目指した基礎的研究
人間を対象とした臨床試験の有無
重要なのは、実際に人間を対象とした臨床試験(ヒト臨床試験)において、霊芝ががん患者さんに対してどのような効果をもたらすかを検証した研究があるかどうかです。
具体的には、以下のような効果を検証した臨床試験が存在するかを調査しました。
- QOL(生活の質)の向上
- 手術、抗がん剤、放射線治療などの副作用の軽減
- がんの再発予防
- 生存期間の延長
- 腫瘍の縮小や進行の抑制
しかし、これらの効果について、信頼性の高い臨床試験によって証明した論文は、2025年1月時点では一件も見つかりませんでした。
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がん患者さんへの具体的な影響について
霊芝ががん患者さんに与える影響について、項目別に詳しく見ていきます。
QOL(生活の質)への影響
がん治療中や治療後の患者さんにとって、QOL(Quality of Life:生活の質)の維持・向上は重要な課題です。疲労感、食欲不振、睡眠障害、精神的な不安などの症状を改善できれば、日常生活の質を高めることができます。
しかし、霊芝を摂取することによってQOLが改善されることを、人間を対象とした臨床試験で証明した報告は、現段階では存在しません。動物実験レベルでは免疫機能への影響などが報告されていますが、それが人間のがん患者さんのQOL向上に直接つながるという証拠はありません。
治療の副作用や後遺症への影響
がん治療には、手術、抗がん剤治療(化学療法)、放射線治療などがあり、それぞれに副作用や後遺症が伴います。
| 治療法 | 主な副作用・後遺症 |
|---|---|
| 手術 | 痛み、機能障害、リンパ浮腫など |
| 抗がん剤治療 | 吐き気、脱毛、白血球減少、貧血など |
| 放射線治療 | 皮膚炎、疲労感、臓器障害など |
霊芝がこれらの副作用や後遺症を軽減する効果があるかどうかについても、人間の臨床試験で証明した報告は現段階ではありません。一部の動物実験では抗炎症作用や免疫調整作用が示唆されていますが、それが実際の臨床現場で効果を発揮するかは不明です。
再発予防や生存期間への影響
がん治療後の再発予防や、生存期間の延長は、がん患者さんにとって最も重要な関心事の一つです。
しかし、霊芝を摂取することによって、がんの再発を予防したり、生存期間を延長したりする効果を、人間を対象とした臨床試験で証明した報告は、現段階では存在しません。
動物実験では腫瘍の成長抑制などの結果が報告されているケースもありますが、動物実験の結果がそのまま人間に当てはまるとは限りません。医学的に効果が認められるためには、適切にデザインされた人間での臨床試験が必要です。
霊芝による副作用や健康被害について
霊芝は一般的には安全性が高いとされていますが、摂取にあたって注意すべき点がいくつか報告されています。
報告されている副作用
PubMedで調査した医学文献の中では、霊芝が直接の原因と明確に特定された重篤な健康被害の報告は見つかりませんでした。しかし、以下のような作用が報告されており、特定の状況下では注意が必要です。
抗血液凝固作用による出血リスク
海外の大学病院からの報告によると、霊芝には抗血液凝固作用があることが示唆されています。これは、血液が固まりにくくなる作用のことです。
このため、以下のような状況にある方は注意が必要です。
- 血小板数が減少している患者さん(抗がん剤治療中など)
- 抗血小板薬や抗凝固薬を服用している方
- 手術を控えている方
- 出血傾向がある方
理論的には、抗血小板作用や抗血液凝固作用のある医薬品やハーブ類と併用すると、出血傾向が高まる可能性があります。ワルファリンやアスピリンなどの薬剤を使用している場合は、特に注意が必要です。
血圧低下作用
霊芝には血圧を下げる作用があることも報告されています。そのため、以下のような方は注意が必要です。
- もともと低血圧の方
- 降圧薬を服用している方
- 血圧低下作用のある他のハーブやサプリメントを使用している方
血圧低下作用のある医薬品やハーブと併用すると、その作用が強まり、過度の低血圧を引き起こす可能性があります。めまいや立ちくらみなどの症状が現れる場合があります。
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霊芝の飲み合わせに関する注意点
霊芝を摂取する際には、他の医薬品やサプリメントとの飲み合わせに注意が必要です。
注意すべき医薬品との組み合わせ
| 医薬品の種類 | リスク |
|---|---|
| 抗凝固薬(ワルファリンなど) | 出血リスクの増加 |
| 抗血小板薬(アスピリンなど) | 出血リスクの増加 |
| 降圧薬 | 過度の血圧低下 |
| 免疫抑制剤 | 作用の減弱または増強 |
特にがん治療中の患者さんは複数の薬剤を服用していることが多いため、霊芝を含むサプリメントを使用する前には、必ず担当医や薬剤師に相談することが重要です。
他のサプリメントとの併用
抗血液凝固作用や血圧低下作用のある他のハーブやサプリメント(ニンニク、イチョウ葉エキス、ウコンなど)と併用する場合も、注意が必要です。作用が重複し、予期しない健康被害が生じる可能性があります。
霊芝を検討する際の重要なポイント
霊芝をがん治療の補助として検討する際には、以下の点を理解しておくことが重要です。
科学的根拠の現状を理解する
2025年時点において、霊芝ががん患者さんに対して有益な効果をもたらすという科学的根拠は、人間を対象とした臨床試験では証明されていません。動物実験や基礎研究のデータは存在しますが、それが直接人間での効果を保証するものではありません。
標準治療を最優先にする
がん治療においては、科学的に効果が証明されている標準治療(手術、抗がん剤治療、放射線治療など)を最優先にすることが重要です。霊芝などのサプリメントは、あくまでも補助的な位置づけとして考えるべきです。
医療従事者への相談
霊芝を含む健康食品やサプリメントを使用する場合は、必ず担当医や薬剤師に相談してください。特に以下のような状況では、専門家の意見を聞くことが不可欠です。
- 抗がん剤治療中や放射線治療中
- 手術前後の期間
- 他の薬剤を服用している
- 血小板数が低下している
- 低血圧症がある
がん患者さんが霊芝を利用する際の注意事項
がん患者さんが霊芝を利用する場合、以下の点に特に注意が必要です。
血小板減少時の注意
抗がん剤治療中は、血小板数が減少することがあります。血小板が少なくなっている状態で霊芝を摂取すると、抗血液凝固作用により出血リスクが高まる可能性があります。定期的な血液検査の結果を確認し、血小板数が低い場合は使用を控えることが賢明です。
低血圧の患者さんへの注意
もともと血圧が低い方や、治療の影響で血圧が低下している患者さんは、霊芝の血圧低下作用により、さらに血圧が下がる可能性があります。めまいや失神などのリスクがあるため、注意が必要です。
製品の選択について
霊芝のサプリメントは多くの製品が市販されていますが、品質や含有成分は製品によって異なります。信頼できるメーカーの製品を選び、含有成分や製造過程が明確な製品を選択することが重要です。
まとめ:霊芝のがんへの効果についての結論
霊芝(レイシ)については、動物実験や基礎研究レベルでは様々な研究が行われていますが、人間を対象とした臨床試験において、がん患者さんのQOL向上、治療の副作用軽減、再発予防、生存期間延長などの効果を証明した報告は、2025年時点では存在しません。
また、霊芝には抗血液凝固作用や血圧低下作用があることが報告されており、血小板数が減少している患者さんや低血圧の方は、使用にあたって注意が必要です。他の医薬品やサプリメントとの飲み合わせにも配慮が必要です。
がん治療において最も重要なのは、科学的根拠に基づいた治療を適切に受けることです。サプリメントや健康食品を検討する場合は、安全性を確認したうえで利用することをお勧めします。

