
こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。
愛知県内において高精度放射線治療を受けることができる医療機関の情報をまとめました。
サイバーナイフ、トモセラピー、陽子線治療といった先進的な放射線治療について、それぞれの特徴と愛知県内で治療を受けられる施設を詳しく解説します。
愛知県の高精度放射線治療施設の現状
愛知県は全国的に見ても高精度放射線治療機器の導入が進んでいる地域です。サイバーナイフやトモセラピーといった定位放射線治療装置を備えた施設が複数あり、患者さんが選択できる医療機関の数は比較的多いといえます。
2025年現在、県内には陽子線治療施設が2カ所設置されており、東海地方における粒子線治療の拠点となっています。ただし、重粒子線治療施設は愛知県内には設置されていないため、この治療が必要な場合は県外の施設を検討する必要があります。
サイバーナイフとは
サイバーナイフは、ロボットアームを用いた定位放射線治療装置です。産業用ロボット技術を医療に応用したもので、1,200以上の方向から精密に放射線を照射することができます。
治療中に病巣の位置をリアルタイムで追跡する機能を持ち、呼吸などによる体の動きにも対応できます。この追尾システムにより、正常な組織への影響を最小限に抑えながら、がん細胞に集中的に放射線を照射することが可能です。
サイバーナイフの保険適用範囲
2024年時点における保険適用は以下の通りです。
| 適応条件 | 対象疾患 |
|---|---|
| 原発病巣が直径5cm以下で転移のないもの | 原発性肺がん、原発性肝がん、原発性腎がん |
| 3個以内で他病巣のないもの | 転移性肺がん、転移性肝がん |
| 転移のない限局性のもの | 前立腺がん、膵がん |
| 直径5cm以下 | 転移性脊椎腫瘍 |
| 5個以内 | 転移病変(オリゴ転移) |
| その他 | 脊髄動静脈奇形 |
保険適用の場合、3割負担で約19万円程度の自己負担となります。高額療養費制度の対象となるため、所得に応じて自己負担額が軽減される場合があります。
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がん専門アドバイザー 本村ユウジ
愛知県でサイバーナイフ治療を受けられる施設
総合青山病院 サイバーナイフセンター(豊川市)
所在地:愛知県豊川市小坂井町道地100番地1
2014年4月より最新の「サイバーナイフラジオサージェリーシステム」による治療を開始しました。2025年時点で、ガンマナイフ治療約1,200例、サイバーナイフ治療約5,500例という豊富な治療実績を持つ施設です。
治療実績のある主な部位は、頭蓋部、肺、脊椎系、頭頸部、肝臓など多岐にわたります。自動追尾システムの機能向上により、呼吸などで動く体幹部の腫瘍に対しても精密な治療が可能となっています。
治療は外来通院でも可能で、病状によっては入院での対応も行っています。治療時間は1回あたり15分から1時間程度です。
トヨタ記念病院(豊田市)
所在地:愛知県豊田市平和町1丁目1番地
2015年9月に世界でも数台しかなかったサイバーナイフM6を日本で最初に導入した施設です。さらに2018年には高精度放射線治療装置「トゥルービーム」も導入し、両装置を備えることで患者さんの病状に応じた最適な治療選択が可能となっています。
サイバーナイフM6にはマルチリーフコリメータ(MLC)が搭載されており、複雑な形状の腫瘍や大きなサイズの腫瘍にも対応できます。呼吸追尾システムにより、患者さんは息止めをすることなく自然な呼吸のまま治療を受けることができます。
前立腺がんに対しては、前立腺内に金マーカーを留置し、その位置を追跡しながら5回の照射で治療を完了することができるため、患者さんの通院負担が軽減されています。
2023年5月に新病院がオープンし、サイバーナイフとトゥルービームを活用した包括的ながん治療体制が整っています。
トモセラピーとは
トモセラピーは、CT装置のような外観を持つ強度変調放射線治療(IMRT)専用の装置です。治療装置がCTスキャナーのように回転しながら放射線を照射するため、複雑な形状のがんに対しても360度全方向から精密に治療することができます。
毎回の治療前にCT撮影を行い、腫瘍や周囲の臓器の位置を確認してから照射するため、位置精度が高く安全な治療が可能です。治療台がスライドしながら照射を行うため、広範囲の病変や複数箇所の同時治療にも対応できます。
愛知県でトモセラピー治療を受けられる施設
愛知県がんセンター中央病院
所在地:名古屋市千種区鹿子殿1番1号
2006年にトモセラピーを導入した県内最初の施設です(全国で4番目の導入)。放射線治療専門医を配置し、トモセラピーやトゥルービームなどの高精度治療装置を複数台有しています。
年間900名以上の新規患者さんの放射線治療を実施しており、豊富な経験と実績を持つ施設です。他科との連携のもと、包括的ながん治療を提供しています。
日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院
所在地:名古屋市昭和区妙見町2番地の9
2006年にトモセラピーを導入し、2025年現在は最新型の「ラディザクトX9」を使用しています。この新型機種は、呼吸による病変部の動きに合わせた照射が可能なシンクロニー機能を搭載しており、従来のトモセラピーよりも高精度な治療を実現しています。
10年以上にわたるトモセラピー治療経験を持つ医師や技師、看護師が在籍し、質の高い治療を提供しています。放射線専門医が常勤し、前立腺がん、脳腫瘍、頭頸部がん、膵がん、子宮がん術後など幅広い部位の治療に対応しています。
一宮市立市民病院
所在地:愛知県一宮市文京2-2-22
2010年3月からトモセラピーによる治療を開始しました。主に前立腺がん、脳腫瘍、頭頸部がんの患者さんに対してトモセラピーを活用した治療を行っています。
放射線治療全体で年間300から400例の治療実績があります。放射線治療以外にも、ストロンチウムによる転移性骨腫瘍の疼痛緩和治療や、放射性ヨードによる甲状腺機能亢進症の治療も実施しています。
春日井市民病院
所在地:愛知県春日井市鷹来町1丁目1番地1
2014年4月にトモセラピーを導入し、2018年4月からは「高精度放射線治療センター」を開設しています。最新型のトモセラピーには、TomoEDGEという機能が搭載されており、照射範囲の頭側・足側方向の正常組織への線量を抑制し、副作用軽減と治療時間短縮に貢献しています。
治療対象となるがんの種類は幅広く、脳腫瘍(原発・転移)、頭頸部がん、口腔がん、乳がん、肺がん、食道がん、膵臓がん、直腸がん、前立腺がん、膀胱がん、子宮頸がん、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、転移性骨腫瘍などに対応しています。
年間の放射線治療実施数は約200例です。
安城更生病院
所在地:安城市
2023年時点で、高精度放射線治療装置を2台導入し、最新型トモセラピー「ラディザクト」を使用しています。360度方向からの広範囲にわたる高精度照射が可能で、幅広い症例に対して複雑な治療を正確に実施できる体制を整えています。
豊川市民病院
所在地:豊川市
愛知県がん診療拠点病院に指定されている施設で、新型トモセラピー「ラディザクト」を導入しています。医療被ばく低減に配慮しながら、安全で精度の高い放射線治療を提供しています。
名古屋市立大学病院
所在地:名古屋市
トモセラピーなどの高精度放射線治療装置を3台有し、全治療件数における高精度治療の比率は約6割を占めています。がん放射線療法看護認定看護師が在籍し、治療中の患者さんをサポートしています。
陽子線治療とは
陽子線治療は、水素原子核(陽子)を加速器で高速に加速し、がん病巣に照射する治療法です。X線とは異なる物理的特性を持ち、体内の特定の深さで放射線量が最大となる「ブラッグピーク」という性質があります。
この性質により、がん病巣の手前では放射線量が少なく、病巣で最大となり、病巣を通過すると放射線が止まるため、正常組織への影響を最小限に抑えることができます。
陽子線治療の保険適用範囲
2024年6月時点で保険診療の対象となっているがんは以下の通りです。
| がんの種類 | 条件 |
|---|---|
| 小児がん | 限局性の固形悪性腫瘍 |
| 前立腺がん | 転移のない限局性・局所進行性のもの |
| 頭頸部悪性腫瘍 | 口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く |
| 肺がん | 1期から2A期までの早期肺がん |
| 肝がん | 長径4cm以上の手術困難な肝細胞がん |
| 大腸がん | 手術後再発 |
| 膵がん | 手術による根治的治療が困難なもの |
保険適用外の場合は先進医療や自由診療となり、治療費は全額自己負担(約300万円前後)となります。ただし、先進医療特約付きの医療保険に加入している場合は、その保険でカバーされる可能性があります。
愛知県で陽子線治療を受けられる施設
名古屋陽子線治療センター(名古屋市立大学医学部附属西部医療センター内)
所在地:名古屋市北区
東海三県初となる陽子線治療施設として、2013年2月より前立腺がんの治療を開始しました。その後、治療対象部位が拡大され、現在は肝臓がん、肺がん、頭頸部がん、骨軟部腫瘍、膵臓がんなどにも対応しています。
名古屋市では、陽子線治療を受ける患者さんやその家族を対象に、治療資金の借入に対する利子補給制度を設けています。対象となる金融機関は、愛知銀行、岐阜信用金庫、十六銀行、中日信用金庫、名古屋銀行、百五銀行、碧海信用金庫、三菱UFJ銀行です。
成田記念陽子線センター(豊橋市)
所在地:豊橋市羽根井本町134番地
2018年9月より陽子線治療を開始した、東海地方では民間病院として初の陽子線治療施設です。成田記念病院は2012年11月にトモセラピーを導入しており、2018年の陽子線治療開始により、高精度放射線治療の選択肢がさらに広がりました。
2024年7月からは、前立腺がんに対する短期間陽子線治療として、8回(週3から4回)の治療で完了する新しい臨床研究を開始しています。従来の12回や20回治療と比較して、約2週間程度で治療が終了するため、患者さんの負担が軽減されます。
重粒子線治療について
重粒子線治療は、炭素原子核を加速して照射する治療法で、陽子線よりもさらに強力な生物学的効果を持ちます。現在、愛知県内には重粒子線治療施設はありません。
最寄りの重粒子線治療施設は、大阪重粒子線センター(大阪府)、兵庫県立粒子線医療センター(兵庫県)、神奈川県立がんセンター(神奈川県)などです。重粒子線治療を希望される場合は、これらの県外施設を検討する必要があります。
高精度放射線治療を選択する際の考え方
治療法による違い
サイバーナイフ、トモセラピー、陽子線治療は、それぞれ異なる特徴を持っていますが、治療効果については同等のレベルに達しているとされています。重要なのは装置の種類ではなく、以下の点です。
1つ目は、治療計画を立てる放射線治療医の経験と技術です。同じ装置を使用しても、医師の技量によって治療計画の質が変わります。副作用を最小限に抑えながら治療効果を最大化するには、経験豊富な医師による綿密な治療計画が必要です。
2つ目は、がんの種類、大きさ、位置によって適した治療法が異なることです。例えば、小さく限局したがんにはサイバーナイフが適していますし、広範囲の病変や複数箇所の同時治療にはトモセラピーが向いています。
3つ目は、通院の利便性です。治療は複数回にわたることが多いため、自宅から通いやすい施設を選ぶことも重要な要素となります。
治療費用と保険適用
サイバーナイフとトモセラピーは、多くのがん種で保険適用となっており、3割負担で約19万円程度の自己負担となります。高額療養費制度を利用することで、所得に応じてさらに自己負担額が軽減される場合があります。
陽子線治療は、保険適用となるがん種が限定されています。保険適用外の場合は先進医療や自由診療となり、約300万円の治療費が全額自己負担となります。ただし、先進医療特約付きの医療保険に加入している場合は、その保険でカバーされる可能性があります。
セカンドオピニオンの活用
放射線治療を検討する際は、主治医と十分に相談することが大切です。また、治療方針について別の医師の意見を聞くセカンドオピニオンも有効な選択肢です。
愛知県内には複数の高精度放射線治療施設がありますので、それぞれの施設の特徴や医師の経験、アクセスなどを比較検討し、自分に最適な治療を選択することができます。
治療の流れと注意点
受診から治療開始まで
高精度放射線治療を受けるには、まず主治医からの紹介状が必要です。紹介状とともに、CTやMRIなどの画像データ、血液検査結果などを準備します。
初診では、放射線治療専門医が病状を確認し、治療の適応を判断します。治療可能と判断された場合、治療計画用のCTやMRI撮影を行い、コンピューターで詳細な治療計画を作成します。
治療計画の作成には数日から1週間程度かかります。計画が完成したら、患者さんに治療内容や予想される効果、副作用について説明し、同意を得てから治療を開始します。
治療期間と通院
治療回数は、がんの種類や大きさ、部位によって異なります。サイバーナイフでは1回から5回程度、トモセラピーでは数回から数十回に分けて照射することが一般的です。
多くの場合、外来通院で治療を受けることができますが、病状や患者さんの状況によっては入院が推奨される場合もあります。1回の治療時間は20分から1時間程度です。
副作用について
高精度放射線治療は、従来の放射線治療と比較して副作用が少ないことが特徴ですが、まったく副作用がないわけではありません。
照射部位によって副作用は異なりますが、一般的な副作用として、倦怠感、食欲不振、照射部位の皮膚炎や発赤などが挙げられます。肺に照射した場合は放射線肺臓炎のリスクがありますが、照射範囲を適切に設定することでリスクを最小限に抑えることができます。
副作用の多くは一時的なもので、治療終了後に回復します。治療中に気になる症状があれば、すぐに医療スタッフに相談することが大切です。
まとめ
愛知県は、サイバーナイフ、トモセラピー、陽子線治療といった高精度放射線治療を受けることができる施設が複数ある恵まれた地域です。それぞれの治療法には特徴があり、がんの種類や進行度、患者さんの状態に応じて最適な選択が可能です。
治療を検討する際は、主治医と十分に相談し、必要に応じてセカンドオピニオンを活用しながら、自分に最適な治療法を選択することが重要です。高精度放射線治療は、体への負担が少なく、通院で受けられる治療として、がん治療の重要な選択肢の一つとなっています。
参考文献・出典情報
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 Radixact