がん専門のアドバイザー、本村です。
霊芝(レイシ)とは、一般的にサルノコシカケ科の万年茸(マンネンタケ)を指します。中医学や漢方成分として高血圧症や高脂血症等の治療に用いられています。
近年では健康食品、サプリメントとしても多くの製品が作られています。
レイシと癌との関連
では、レイシに関する科学的検証、特に人間に対する臨床試験という形で、効果はどこまで検証されているのでしょうか。
世界的な論文掲載機関であり、信頼性の高いアメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立医学図書館(NLM)によるPubmed(パブメド)で調べてみました。
Pubmedでの検索の結果、レイシに関する論文は300件以上あり、そのうちがんに関する論文も70件以上ありました。
しかしこれらは動物実験などが主要なものであり、人間に対する臨床試験によって、レイシが、がん患者さんのQOLを向上させたり、手術、抗がん剤、放射線治療の副作用を軽減させたり、がんの再発を予防したり、生存期間を延長させたりする効果を検討した論文は一件もありませんでした。
レイシによる副作用や健康被害
Pubmedで調べた文献の中では、レイシが原因と思われる健康被害の報告はありません。
ただ、レイシ(霊芝)は抗血液凝固作用があるとの報告が海外の大学病院からされています。
理論的には抗血小板・抗血液凝固作用のあるハーブや医薬品を用いている人では出血傾向が高まる可能性があります。
したがって、血小板が少なくなっているような人は注意が必要です。
また、血圧低下作用のあるハーブや医薬品と一緒に用いると、その作用を強め低血圧を引き起こす可能性があることも報告されているので、低血圧症の人は注意が必要です。
レイシががん患者さんに与える影響
【QOL(生活の質)を改善するか?】
レイシを摂取することによって、QOL(生活の質)を改善することを人間を対象とした臨床試験で証明した報告は、現段階ではありません。
【手術、抗がん剤、放射線治療の副作用や後遺障害を軽減するか?】
レイシを摂取することによって、手術、抗がん剤、放射線治療の副作用や後遺障害の軽減を人間の臨床試験で証明した報告は、現段階ではありません。
【再発を予防したり、生存期間を延長したりするか?】
レイシを摂取することによって、再発を予防したり、生存期間を延長したりすることを人間を対象とした臨床試験で証明した報告は、現段階ではありません。
【気を付けるべきこと】
血小板が少なくなっている人や低血圧の人は、レイシの利用にあたっては注意が必要です。