16.前立腺がん

【2026年更新】前立腺がんHIFU(ハイフ)治療とは?効果・費用、どのような人が対象になるのか

前立腺がんHIFU(ハイフ)

こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。

前立腺がんの治療法として注目されているHIFU(ハイフ)について、2026年時点での最新情報をまとめました。

この治療法は2023年2月から先進医療Bとして認可され、低・中リスクの限局性前立腺がんの患者さんに対して、新しい選択肢となっています。


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HIFU(ハイフ)とはどのような治療法か

HIFU(High Intensity Focused Ultrasound)は、日本語で「高密度焦点式超音波療法」と呼ばれています。超音波は、腹部臓器の検査や心機能の評価、妊娠中の胎児の観察など、現代医療の分野で広く使われている技術です。

通常の検査では、超音波を対象の臓器に均等に当てています。これに対してHIFUは、この超音波を一点に収束させることで高熱を発生させます。虫メガネで太陽の光を一点に集めたときのように、集中した超音波エネルギーが熱に変わる原理を応用した治療法です。

一般的な超音波検査では0.093W/cm²程度の強さですが、HIFUで使用される超音波は1260~2000W/cm²と、通常の検査の約1万5000倍の強さになります。

このエネルギーを約3mm×3mm×12mm程度の小さな焦点領域に集めると、80~98℃の高熱が発生します。正常な細胞よりも熱に弱いがん細胞は、この高温により数秒で焼却されます。

焦点領域以外の部位や、途中にある皮膚や臓器には影響を及ぼしません。焦点から5mmずれただけで温度は50℃前後にまで低下するため、周囲の正常組織を傷めることがありません。

2026年時点での適応基準と対象となる人

HIFUは2023年2月より「集束超音波治療器を用いた前立腺がん局所焼灼・凝固療法」として先進医療Bに認定されました。これにより、治療の位置づけと適応基準が明確になっています。

基本的な適応条件

HIFUの適応となるのは、MRI-超音波融合画像ガイド下前立腺生検により、がんの局在診断が行われた低・中リスクの限局性前立腺がんです。

具体的には以下の条件を満たす必要があります。

項目 基準
病期 T1~T2(がんが前立腺内にとどまっている)
転移の有無 他の臓器への転移がない
PSA値 治療前20ng/ml以下が望ましい
前立腺の大きさ 容積40mlまで(それ以上の場合はホルモン療法で縮小後に実施)
前立腺内の結石 結石がないこと(超音波が反射してしまうため)
直腸の手術歴 直腸の手術を受けたことがない
リスク分類 低リスクまたは中リスクの限局性前立腺がん

リスク分類について

前立腺がんのリスク分類は、PSA値、グリソンスコア、T分類(病期)の3つの要素を組み合わせて判断されます。

リスク分類 条件
低リスク 病期T1~T2a、かつグリソンスコア6以下、かつPSA値10ng/ml未満
中リスク 病期T2b~T2c、またはグリソンスコア7、またはPSA値10~20ng/ml
高リスク 病期T3a以上、またはグリソンスコア8以上、またはPSA値20ng/ml以上

HIFUは主に低リスクと中リスクの患者さんが対象となります。高リスクの場合は、前立腺全摘除術や放射線療法などの標準的治療が推奨されることが一般的です。

年齢と全身状態の考慮

HIFUには年齢制限はありませんが、50代~60代の比較的若い方には、標準的治療である前立腺全摘除術や放射線療法が提案されるのが一般的です。

一方で、高齢の方や他の病気があり手術が身体的につらいという方、あるいは排尿機能や性機能の温存を重視したい方にとって、HIFUは有力な選択肢となります。


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先進医療としてのHIFU治療

2023年2月の先進医療B認定により、HIFUは今後の保険収載を目指した多施設共同研究として実施されています。

先進医療とは、厚生労働省が「将来的な保険導入のための評価を行う医療技術」として認めたもので、通常の保険診療と併用できる制度です。

先進医療のメリット

先進医療に指定されることで、以下のメリットがあります。

まず、医療技術費(HIFU治療そのものの費用)は全額自己負担ですが、その他の通常の治療と共通する部分(診察、検査、投薬、入院料など)については健康保険が適用されます。これにより、完全な自由診療と比べて患者さんの負担が軽減されます。

また、民間の先進医療保険に加入している方は、医療技術費(約65万円)を保険でカバーできる可能性があります。

HIFU治療の具体的な方法

HIFUは全身麻酔または脊椎麻酔下で行われます。治療当日、患者さんは絶食します。

仰向けになった姿勢で足を広げて治療台に寝ます。事前の検査で前立腺の形や大きさを詳しく調べ、照射範囲を設定します。小さな焦点領域600~2000カ所をコンピュータ制御で移動させながら、目的とするがん部分のみを照射できるように調整されます。

プローブを肛門から挿入し、そこから前立腺に向かって超音波が発信されます。モニター画面上に前立腺が映し出され、位置がずれていないか、治療部位の温度が上がりすぎていないか、便やガスが邪魔していないかなどを医師がチェックしながら、がん細胞を焼灼します。

この際、焦点領域以外の部位や、途中にある皮膚や臓器に影響を及ぼすことはありません。治療にかかる時間は1~2時間程度です。

治療後の経過

治療が終了すると、前立腺が一時的にむくんだ状態になります。そのため前立腺の中を通る尿道が圧迫され、自力で排尿することができません。

このためプローブを抜いた後は、尿を出すための管(カテーテル)が留置されます。このカテーテルは通常2週間程度入れておく必要があります。

入院期間は施設によって異なりますが、3~4日程度が一般的です。退院後は比較的早く社会復帰できることが特徴です。

治療後の経過観察

治療後約6カ月は、1カ月に1回の割合で排尿の状態やPSA値などを調べます。6カ月を経過したら生検を行い、がん細胞が残っていないか確認します。

問題なければ、その後の検査サイクルを2カ月ごと、3カ月ごとと延ばしていきます。監視療法と同様に継続的な経過観察が必要です。


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HIFU治療のメリット

HIFU治療には、他の治療法と比べて以下のようなメリットがあります。

1. 身体への負担が少ない

体をメスで切開することがないため、出血や痛みが少なく、回復が早いという特徴があります。前立腺全摘除術と比べると入院期間が短く、身体的な負担が軽減されます。

2. 繰り返し治療が可能

放射線療法の場合、同じ部位に再度照射することは基本的にできませんが、HIFUは必要に応じて何度でも治療を行うことができます。再発した場合でも、再度HIFU治療を選択できる可能性があります。

3. 他の治療法との併用が可能

HIFU治療後に再発した場合でも、手術療法や放射線療法など他の治療法を選択することができます。治療の選択肢を残せることは重要なメリットです。

4. 機能温存に優れている

前立腺全体を治療する手術や放射線療法と比較して、排尿機能や性機能を温存できる可能性が高いとされています。

性機能障害(勃起障害・ED)の発生率は、治療後6カ月の時点で42%、1年の時点で32%、2年の時点で26%と報告されています。ED治療薬を服用すれば改善すると考えられる人も含み、手術療法や放射線療法と比べるとED発生の確率は低いといえます。

5. 抗血液凝固薬を服用中でも治療可能

血液をサラサラにする薬を服用していても、治療を受けることができます。これは高齢の患者さんにとって重要なメリットです。

6. 短期間で社会復帰可能

入院期間が3~4日程度と短く、退院後は比較的早く通常の生活に戻ることができます。

HIFU治療のデメリットと限界

HIFUには以下のようなデメリットや限界があります。

1. 長期的な治療成績データが限定的

HIFUは比較的新しい治療法であるため、10年、20年といった長期的なデータが手術や放射線療法と比べて少ないのが現状です。

2. 適応範囲が限定的

現時点では低・中リスクの限局性前立腺がんが対象であり、高リスクや転移のあるがんには適用できません。また、前立腺の大きさや結石の有無など、いくつかの制約があります。

3. 局所療法の課題

HIFU、特にフォーカルセラピー(部分治療)の場合、画像で確認できない小さながんが治療範囲外に残る可能性があります。このため、継続的な経過観察が必要です。

4. MRI-超音波融合画像ガイド下生検が必要

先進医療としてHIFUを受けるためには、特殊な生検システムによる正確な局在診断が前提となります。すべての医療機関で実施できるわけではありません。

主な合併症

HIFUの合併症は比較的少ないとされていますが、以下のようなものが報告されています。

合併症 内容
尿道狭窄 尿道の粘膜がやけどの痕のように引きつる。尿道ブジーという処置で改善することが多い
一時的尿失禁 治療後1カ月ほど紙おむつが1日1~3枚程度必要になることがある。手術療法と比べて発生率は低い
尿閉 一時的に排尿できなくなる状態
尿路感染症 前立腺炎、精巣上体炎など
尿道直腸瘻 まれに直腸に孔があくことがある
性機能障害 ED(勃起障害)。他の根治療法と比べると発生率は低い
肛門出血 軽度の出血が見られることがある

気になる症状が出た場合は、すぐに主治医に相談することが大切です。

治療費用について

2026年現在、HIFUは先進医療Bとして認定されていますが、完全な保険適用にはなっていません。

費用の内訳

医療技術費(HIFU治療そのものの費用)は約65万円で、全額自己負担となります。ただし、診察、検査、投薬、入院料など通常の医療と共通する部分については、健康保険が適用されます。

施設によって若干異なりますが、従来の自由診療では80万円~120万円程度でしたが、先進医療認定後は医療技術費約65万円+保険適用部分という料金体系になっています。

先進医療保険の活用

民間の医療保険やがん保険に「先進医療特約」を付けている場合、医療技術費(約65万円)をカバーできる可能性があります。

一部の保険会社では、先進医療給付金を医療機関に直接支払う制度を導入しているところもあり、患者さんが一時的に費用を立て替える必要がない場合もあります。

加入している保険の契約内容を確認することをお勧めします。

HIFU治療を実施している医療機関

先進医療Bとして認定されたHIFUを実施できるのは、厚生労働省に届け出た特定の医療機関に限られます。2026年現在、全国で数カ所の施設が実施しています。

主な実施施設には、東海大学医学部付属病院(管理施設)、香川大学医学部附属病院などがあります。

MRI-超音波融合画像ガイド下前立腺生検のシステム(BioJetシステムなど)を備えていることが条件となるため、実施可能な施設は限定されています。

他の治療法との比較

前立腺がんの治療法を選択する際には、HIFU以外の選択肢も含めて検討することが重要です。

前立腺全摘除術との比較

手術は根治性が高く長期的なデータも豊富ですが、入院期間が長く、尿失禁や性機能障害のリスクがHIFUより高いとされています。比較的若い方や根治を最優先する方に推奨されます。

放射線療法との比較

放射線療法も体への負担は比較的少ないですが、治療期間が2カ月近くかかることがあります。再度の照射は基本的にできませんが、HIFUは繰り返し治療が可能です。

監視療法との比較

低リスクの前立腺がんでは、すぐに治療せず経過観察する監視療法も選択肢です。治療による合併症を回避できますが、定期的な検査と心理的な負担があります。

HIFU治療を検討する際のポイント

HIFU治療を検討する際には、以下のポイントを考慮することが大切です。

まず、自分のがんが低・中リスクの限局性前立腺がんに該当するか、主治医と確認します。PSA値、グリソンスコア、病期分類をもとにしたリスク分類を理解することが重要です。

次に、排尿機能や性機能の温存をどの程度重視するか、自分の価値観を整理します。根治性を最優先するのか、生活の質(QOL)を重視するのかによって、選択は変わってきます。

また、年齢や全身状態、他の病気の有無なども考慮します。高齢の方や手術リスクが高い方にとって、HIFUは有力な選択肢となります。

さらに、先進医療保険への加入状況を確認します。保険でカバーできる場合とそうでない場合で、経済的な負担が変わってきます。

そして、実施可能な医療機関が限られているため、通院や入院の利便性も検討事項です。

治療法の選択は、医師からの十分な説明を受け、複数の選択肢を比較検討したうえで、最終的には患者さん自身が納得して決めることが大切です。セカンドオピニオンを求めることも選択肢の一つです。

まとめ

HIFU(ハイフ)は、低・中リスクの限局性前立腺がんに対する治療法として、2023年2月より先進医療Bに認定されました。

体への負担が少なく、繰り返し治療が可能で、機能温存に優れているというメリットがある一方で、長期的なデータが限定的であることや、適応範囲が限られていることなどの課題もあります。

前立腺がんの治療法を選択する際には、がんの進行度やリスク分類、年齢、全身状態、生活の質への影響、経済的な負担など、多くの要素を総合的に考慮する必要があります。

参考文献・出典情報

本記事の作成にあたり、以下の信頼できる医療情報源を参考にしました。

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

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