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肝臓がんと糖尿病の併発について
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
肝臓がん、特に肝細胞がんと診断された患者さんの中には、糖尿病を併発している方が少なくありません。肝炎や肝硬変を背景に持つ肝細胞がんの患者さんでは、半数以上が糖代謝異常を抱えているという報告もあります。
この糖尿病は、一般的な2型糖尿病とは異なる特徴を持ち、「肝性糖尿病」または「肝臓性糖尿病」と呼ばれることもあります。肝臓の機能が低下することで引き起こされる糖代謝の異常であり、肝臓がんの治療を進める上でも適切な管理が必要となります。
肝臓がんで肝性糖尿病が起こる原因とメカニズム
肝臓の糖代謝における役割
肝臓は、私たちの体の中で糖代謝において中心的な役割を担っています。具体的には次のような働きをしています。
| 肝臓の糖代謝機能 | 詳細 |
|---|---|
| インスリンの分解 | 膵臓から分泌されたインスリンの約50~80%を肝臓で代謝・分解します |
| グルコースの貯蔵 | 血液中のグルコース(ブドウ糖)をグリコーゲンに変換して肝臓内に蓄えます |
| グルコースの放出 | 必要に応じてグリコーゲンをグルコースに分解し、血液中に放出します |
| 糖新生 | アミノ酸などからグルコースを新たに合成する機能を持ちます |
健康な肝臓では、これらの機能がバランスよく働くことで、血糖値が適切な範囲に保たれています。
肝機能低下によるインスリン代謝の異常
肝炎や肝硬変によって肝臓の機能が低下すると、インスリンを分解する能力が落ちてしまいます。その結果、血液中のインスリン濃度が高い状態(高インスリン血症)が続くことになります。
この高インスリン血症が長期間続くと、全身の細胞がインスリンに対して反応しにくくなる「インスリン抵抗性」という状態が生じます。細胞がインスリンの指令を受け取りにくくなるため、血液中のグルコースが細胞に取り込まれにくくなり、結果として血糖値が上昇します。
グリコーゲン貯蔵能力の低下
肝臓の機能が低下すると、グルコースをグリコーゲンとして蓄える能力も低下します。食後に血液中に入ったグルコースを十分に肝臓に取り込めなくなるため、食後の血糖値が高い状態が続きやすくなります。
また、空腹時には肝臓からグルコースを適切に放出できなくなることもあり、これは後述する「肝性低血糖」の原因にもなります。
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肝性糖尿病の特徴と一般的な糖尿病との違い
肝性糖尿病に見られる特徴的なパターン
肝性糖尿病には、一般的な2型糖尿病とは異なるいくつかの特徴があります。
| 特徴 | 肝性糖尿病 | 一般的な2型糖尿病 |
|---|---|---|
| 空腹時血糖 | 比較的正常な場合が多い | 上昇していることが多い |
| 食後血糖 | 顕著に上昇する | 上昇する |
| インスリン値 | 高値を示すことが多い | 初期は高値、進行すると低下 |
| 肥満 | 痩せている場合も多い | 肥満が多い |
肝性糖尿病では、空腹時の血糖値は正常範囲であっても、食後に血糖値が大きく上昇する「食後高血糖」が特徴的です。これは、肝臓でのグルコース取り込み能力が低下しているためです。
肝硬変の重症度と糖代謝異常の関係
肝硬変の進行度合いと糖代謝異常の程度には相関関係があることが知られています。肝硬変が進行するほど、糖代謝異常も顕著になる傾向があります。
肝硬変の重症度分類であるChild-Pugh分類で評価すると、ClassAの患者さんでは糖代謝異常の頻度は約30~40%ですが、ClassCになると約70~80%に達するという報告があります。
肝臓がん患者さんの血糖管理の重要性
高血糖ががん治療に与える影響
血糖値が高い状態が続くと、がん治療にさまざまな悪影響が出る可能性があります。
まず、がん治療に伴うストレスは血糖値をさらに上げる要因となります。手術や抗がん剤治療などの身体的ストレスに加えて、がんと診断されたことによる精神的ストレスも、血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促します。
また、高血糖状態が続くと、免疫機能が低下します。白血球の機能が低下することで、治療後の感染症にかかりやすくなり、創部の治癒も遅れる可能性があります。このため、手術を予定している場合は、可能な限り血糖値をコントロールしてから治療を行うことが推奨されます。
目標とする血糖値のレベル
一般的に、がん治療を受ける患者さんでは、以下のような血糖コントロール目標が設定されることが多くなっています。
| 検査項目 | 目標値 |
|---|---|
| 空腹時血糖 | 110~130mg/dL未満 |
| 食後2時間血糖 | 180mg/dL未満 |
| HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) | 7.0%未満 |
ただし、これらの目標値は患者さんの年齢、全身状態、肝機能の程度によって個別に調整されます。特に肝性低血糖のリスクがある場合は、厳格な血糖コントロールは避け、やや高めの目標値が設定されることもあります。
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肝性糖尿病の対処法と治療
食事療法の基本的な考え方
肝性糖尿病の食事療法は、一般的な糖尿病の食事療法とは異なる配慮が必要です。肝機能が低下している場合、タンパク質の過剰摂取は肝臓に負担をかけますが、不足すると筋肉量の減少や免疫力の低下につながります。
基本的な食事のポイントは次のとおりです。
| 栄養素 | 推奨される摂取方法 |
|---|---|
| 炭水化物 | 1日3食に分けて適量を摂取し、食後血糖の急上昇を避ける。精製度の低い穀物を選ぶ |
| タンパク質 | 肝性脳症がない場合は1日1.0~1.2g/kg程度。良質なタンパク質を選ぶ |
| 脂質 | 適量を摂取。オメガ3系脂肪酸(魚油など)を意識的に取り入れる |
| 食物繊維 | 野菜、海藻、きのこ類から十分に摂取し、血糖値の急上昇を抑える |
また、食事の回数を増やして1回あたりの食事量を減らす「分割食」が推奨される場合もあります。これにより、食後の血糖値の急上昇を抑えることができます。
運動療法の注意点
運動は血糖値を下げる効果がありますが、肝臓がんや肝硬変を抱えている患者さんの場合、過度な運動は肝臓に負担をかける可能性があります。
推奨される運動は、軽度から中等度の有酸素運動です。散歩やゆっくりとしたサイクリング、水中ウォーキングなどが適しています。運動の強度は「軽く息が弾む程度」を目安とし、1回15~30分程度、週に3~5回を目標とします。
ただし、肝機能が著しく低下している場合や、体調がすぐれない時、腹水が貯留している時などは運動を控え、主治医の指示に従うことが大切です。
薬物療法の選択肢
食事療法や運動療法だけでは血糖コントロールが難しい場合、薬物療法が検討されます。肝性糖尿病の薬物療法では、肝機能への影響を考慮して薬剤を選択する必要があります。
肝性糖尿病でよく使用される薬剤は以下のとおりです。
| 薬剤の種類 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| インスリン注射 | 直接血糖を下げる効果が高い。肝臓での代謝を受けにくい | 低血糖のリスクがある。自己注射の手技習得が必要 |
| グリニド系薬剤 | 速効性があり食後血糖を下げる。短時間作用型 | 肝機能低下時は慎重投与が必要 |
| α-グルコシダーゼ阻害薬 | 糖の吸収を緩やかにし食後血糖の上昇を抑える | 消化器症状(腹部膨満感など)が出ることがある |
| DPP-4阻害薬 | 低血糖のリスクが低く、使いやすい | 肝機能が高度に低下している場合は使用制限あり |
スルフォニルウレア剤(SU剤)は、インスリン分泌を促進する薬剤として従来よく使用されてきましたが、肝性糖尿病では血中のインスリン濃度がすでに高いことが多いため、第一選択とならないことがあります。また、肝機能が低下している場合、SU剤の代謝が遅延し、低血糖のリスクが高まる可能性があります。
薬剤の選択は、患者さんの肝機能の程度、血糖値のパターン、併存する疾患、生活スタイルなどを総合的に考慮して、主治医が決定します。
肝性低血糖とその対処法
肝性低血糖が起こるメカニズム
肝性糖尿病と対照的に、肝臓がんの患者さんでは血糖値が低くなりすぎる「肝性低血糖」が起こることもあります。これには主に2つの原因があります。
1つ目は、急速に成長する未分化な肝臓がんが、グルコースを大量に消費するケースです。がん細胞は正常細胞よりも多くのエネルギーを必要とするため、血液中のグルコースを大量に取り込みます。特に大きながん、または複数のがんがある場合に起こりやすくなります。
2つ目は、肝臓の機能が著しく低下し、グリコーゲンからグルコースを作り出す能力や、グルコースを血液中に放出する能力が低下しているケースです。肝細胞がんの患者さんは、背景に肝炎や肝硬変を持つことが多いため、このような状態に陥りやすいと考えられています。
低血糖の症状と危険性
低血糖の症状は、血糖値の低下の程度によって異なります。
| 血糖値 | 症状 |
|---|---|
| 70mg/dL以下 | 空腹感、発汗、手指の震え、動悸、不安感 |
| 50mg/dL以下 | 頭痛、めまい、集中力の低下、目のかすみ、生あくび |
| 30mg/dL以下 | 意識障害、けいれん、昏睡 |
低血糖は、放置すると意識を失ったり、転倒による外傷、最悪の場合は生命に関わる状態となることもあります。特に高齢の患者さんでは、低血糖による転倒が骨折につながるリスクがあります。
肝性低血糖への具体的な対処法
低血糖の症状が現れた場合、すぐに対処することが重要です。
患者さん自身ができる対処法としては、次のような方法があります。
1. ブドウ糖を10~15g摂取する(ブドウ糖タブレットが最適)
2. ブドウ糖がない場合は、砂糖を大さじ1~2杯(約15~20g)摂取する
3. 甘い清涼飲料水(コーラ、果汁ジュースなど)を150~200ml飲む
4. 飴玉やチョコレートでも代用可能だが、効果が出るまでやや時間がかかる
摂取後、15分程度で症状が改善するかを確認します。改善しない場合は、再度同量を摂取し、それでも改善が見られない場合は医療機関を受診する必要があります。
入院中であれば、医療スタッフがグルコース液の静脈注射を行います。重症の低血糖では、50%グルコース液を20~40ml静脈注射することで、速やかに血糖値を上昇させることができます。
低血糖の予防策
肝性低血糖のリスクがある患者さんは、以下のような予防策を心がけることが大切です。
1. 規則正しい食事時間を守り、食事を抜かない
2. 就寝前に軽食(おにぎり、クラッカーなど)を摂る
3. 外出時は常にブドウ糖タブレットや飴を携帯する
4. 低血糖の初期症状を理解し、早めに対処する
5. 家族や周囲の人に低血糖時の対処法を伝えておく
また、血糖降下薬やインスリンを使用している場合は、低血糖のリスクがさらに高まるため、主治医と相談しながら薬剤の調整を行うことが重要です。
血糖管理のための定期的な検査
重要な検査項目
肝臓がんの治療中は、定期的に血糖値の検査を受けることが推奨されます。主な検査項目は次のとおりです。
| 検査項目 | 検査の意義 | 実施頻度の目安 |
|---|---|---|
| 空腹時血糖 | 基礎的な血糖コントロールの状態を評価 | 月1回~3か月に1回 |
| HbA1c | 過去1~2か月の平均的な血糖値を反映 | 2~3か月に1回 |
| グリコアルブミン | 過去2週間程度の平均血糖を反映。変動を早期に捉えられる | 必要に応じて |
| 食後血糖(75g経口糖負荷試験) | 食後の血糖上昇パターンを詳しく評価 | 初回評価時や治療方針変更時 |
また、自宅での血糖自己測定(SMBG)が推奨される場合もあります。特にインスリンを使用している患者さんでは、1日数回の血糖測定により、低血糖の予防や血糖変動のパターンを把握することができます。
家族や介護者が知っておくべきこと
日常生活でのサポート
肝臓がんと肝性糖尿病を抱える患者さんを支える家族や介護者にとって、以下の点を理解しておくことが役立ちます。
食事の準備では、栄養バランスを考えながら、肝臓に負担をかけすぎない食事を用意することが大切です。市販の糖尿病食や腎臓病食の宅配サービスを利用することも一つの選択肢となります。
低血糖の兆候を見逃さないことも重要です。患者さんが普段と様子が違う、ぼんやりしている、汗をかいている、手が震えているなどの症状があれば、低血糖の可能性を考え、すぐに甘いものを摂取させるか、医療機関に連絡します。
また、服薬管理も重要な役割です。血糖降下薬やインスリンは、決められた時間に正しい量を使用する必要があります。飲み忘れや重複投与を防ぐため、お薬カレンダーなどを活用することも有効です。
緊急時の対応
重度の低血糖で意識がない、または意識がもうろうとしている場合は、無理に口から食べ物や飲み物を摂取させてはいけません。誤嚥(気道に入ってしまうこと)のリスクがあるためです。このような場合は、すぐに救急車を呼び、医療機関で静脈からグルコースを投与してもらう必要があります。
救急車を呼ぶ際は、「糖尿病の治療中で、低血糖が疑われる」ことを伝えると、迅速な対応につながります。
まとめとして
肝臓がん、特に肝炎や肝硬変を背景に持つ肝細胞がんの患者さんでは、肝性糖尿病や肝性低血糖といった糖代謝異常が起こりやすくなります。これは肝臓の機能低下により、インスリンの代謝やグルコースの貯蔵・放出がうまくいかなくなるためです。
適切な血糖管理は、がん治療の効果を高め、治療後の感染症リスクを減らし、患者さんの生活の質を保つために重要です。食事療法、運動療法、必要に応じた薬物療法を組み合わせながら、個々の患者さんに適した方法で血糖をコントロールしていくことが大切です。
また、肝性低血糖のリスクがある場合は、その予防と早期対処が重要となります。患者さん自身だけでなく、家族や介護者も症状や対処法を理解しておくことで、より安全に日常生活を送ることができます。
血糖管理について不安がある場合や、症状の変化がある場合は、主治医や医療スタッフに相談することをお勧めします。

