正確な放射線の照射方法として、放射線の発生装置を回転させながら照射する方法が用いられています(回転照射)。
体のさまざまな方向からがんを狙えば、がんにより多くの放射線を当てることができます。さらに、最近では照射時の位置決めの精度が向上したため、前日と0・5ミリと変わらず同じ位置に照射することができます。
そこで脳腫瘍、副鼻腔がん、咽頭がんなどの頭部や首の腫瘍に対しては、照射の範囲を非常に小さくし、放射線ががんの存在する一点に集中するように多方向から照射します。こうすれば、まわりの正常な組織は、それほど多くの放射線を受けずにすみます。
またこのときには、頭部を固定具で動かないようにし、その固定具の目盛りで決まった座標の点に対して照射を行います。そこで、これを「定位放射線照射」と呼びます。この原理を用いた治療装置が「ガンマナイフ」です。
ガンマナイフとは
ガンマナイフは、ヘルメット型の固定具の内部に、多数のガンマ線発生源(コバルト60)を取り付けたものです。これらから一点を狙ってガンマ線を放出すると、放射線はナイフのような切れ味を見せ、がんを破壊します。
ガンマナイフはいまでは広く普及している装置のひとつです。現在では、高エネルギーの電子の流れ(電子線)を発生するリニアック(線形電子線加速器)などの照射装置でも、定位照射を行うことが可能になりました。
この治療法は、脳内、頭部、それに首(頸部)にできた良性腫瘍やがん、転移性の腫瘍などに対し、高い治療効果を示します。頭部や首は骨などに囲まれているので、患者が静かに横になっているときにはほとんど動きがありません。そのため、狙った位置に正確に照射しやすいといえます。
以上、放射線治療についての解説でした。