前立腺がんと抗がん剤
前立腺がんは抗がん剤が効きにくいタイプのがんなので、基本的にはホルモン剤を使ったホルモン療法が中心です。
通常用いるホルモン薬がすべて効かなくなった場合には、リン酸エストラムスチンナトリウム(商品名エストラサイト)を用います。これは、女性ホルモン(エストロゲン)と抗がん薬の作用をあわせもつ薬です。少し副作用が強く、服用できない患者さんもいます。しかし、服用が可能で、効果が確認された場合、年単位で有効なこともあります。
リン酸エストラムスチンナトリウムで効果が期待できなくなってくると、使用できる薬は限られており、副腎皮質ステロイド薬(ステロイド薬)を使うことがあります。これで、小康状態を保つことができる患者さんもいます。
その後選択するのが抗がん薬です。タキサン系抗がん薬のなかで、ドセタキセル水和物(商品名タキソテール)にステロイド薬を組み合わせて用います。前立腺がんの患者さんにドセタキセル水和物とステロイド薬を併用すると、延命や疼痛緩和などの効果があることが確認されています。ただし、ドセタキセル水和物は、健康保険適用外です。
また、骨への転移がある患者さんには、ビスホスホネート製剤のゾレドロン酸水和物(商品名ゾメタ)が使われます。この薬は骨転移の進行を抑えたり、痛みを緩和する効果があるとして、2007年に健康保険適用が認められました。
前立腺がんと分子標的薬
前立腺がんに対する新薬は長らく研究されてきましたが、他のがんに比べて登場が遅く、ようやく近年になって承認されました。基本的にはこの2つです。
・2014年7月に承認。
ザイティガ(一般名:アビラテロン酢酸エステル)」
・2014年7月に承認。
カバジタキセル(商品名:ジェブタナ)
前立腺がんは、2020年頃には(高齢化により)もっとも患者数が多いがんになる可能性が高いです。そのため、ザイティガ(アビラテロン酢酸エステル)を発売しているヤンセンファーマなどでは、引き続き研究開発を優先して進めているようです。
以上、前立腺がんで使われる新薬についての解説でした。