【2025年更新】妻ががんになったら。夫がすべきこと。仕事・経済面・看病・声のかけ方まで詳しく解説

こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。

「妻ががんになった」という状況に直面したとき、夫としてどう行動すべきか、何を優先すべきか、多くの方が悩まれます。

私はこれまで300名以上のご主人から相談を受けてきました。その経験から、パートナーががんと診断されたときに夫が取るべき具体的な行動と、避けるべき対応について整理してお伝えします。

妻ががんと診断されたら夫が最初にすべきこと

がんの告知を受けた直後は、誰もが強い不安と混乱に包まれます。夫としては「何かしなければ」という焦りを感じるでしょう。しかし、この段階で最も重要なのは、正確な医療知識の土台を築くことです。

信頼できる医療情報を入手する

まず書店に足を運び、奥さんが診断されたがんの種類に関する医療書籍を購入してください。選ぶべきは、専門医や信頼できる医療機関が執筆・監修している基礎的な内容の本です。

「がんが治る」「奇跡の治療法」といった宣伝色の強いタイトルの本ではなく、標準治療について客観的に解説された書籍を2〜3冊選びます。

なぜこの作業が重要なのでしょうか。それは、日本の医療体制の基本を理解するためです。

奥さんが通院することになる一般的な病院では、厚生労働省が承認した標準治療が行われます。この標準治療は、科学的根拠に基づいて確立された医療行為であり、全国でほぼ共通の内容です。

まずはこの「正規ルート」の医療について正確に理解することが、今後の判断の土台になります。

なぜ夫が情報収集の役割を担うべきか

がんと診断された本人は、精神的ショックから冷静な情報収集が難しい状態にあります。特に診断直後は、感情が判断を左右しやすく、断片的な情報に振り回されがちです。

インターネット上には玉石混交の情報があふれており、科学的根拠のない治療法や、過度に希望的な情報、逆に不安を煽る情報など、さまざまなものが入り混じっています。

この状態で情報収集を始めると、正しい判断の軸を失いやすくなります。

そのため、パートナーである夫が先に基礎知識を固めておき、妻が相談したいと思ったときに「標準的な治療ではこういう選択肢がある」「一般的にはこういう流れになる」と、客観的な情報を提供できる準備をしておくことが重要です。

基礎知識を固めた後にすべきこと

基本的な医療知識を身につけたら、次のステップとして以下の情報も整理しておくとよいでしょう。

情報の種類 具体的な内容 確認方法
治療スケジュール 診断から治療開始までの流れ、治療期間の目安 医療書籍、病院の説明資料
経済的支援制度 高額療養費制度、傷病手当金、医療費控除 健康保険組合、市区町村の窓口
利用可能なサービス がん相談支援センター、患者会、訪問看護 病院のソーシャルワーカー、自治体
セカンドオピニオン 他の医療機関で意見を聞く方法と費用 主治医への相談、医療機関の窓口

妻ががんになったとき夫がするべきこと

がん治療が始まると、生活のさまざまな場面で夫のサポートが必要になります。ここでは具体的な行動について説明します。

家事のサポートで心がけること

治療中は体調の波があり、家事が思うようにできない日も増えてきます。このとき夫としてできることは、妻から頼まれたことを確実に行うことです。

全ての家事を代わりにやろうとすると、夫自身が疲弊してしまいます。できる範囲で継続的にサポートすることを心がけましょう。

洗濯、掃除、食事の準備など、それぞれの家事について「どこまで手伝えるか」を妻と話し合い、お互いの負担が偏らないよう調整することが大切です。

子どもがいる場合は、年齢に応じて家事を分担してもらうことも検討してください。また、親や親戚に協力を依頼できる場合は、遠慮せずに助けを求めることも選択肢の一つです。

通院や治療への同行

可能な限り、重要な診察や治療の説明には同席しましょう。本人だけでは医師の説明を十分に理解したり記憶したりすることが難しい場合があります。

同席する際は、以下のような準備をしておくと効果的です。

  • 事前に聞きたいことをメモにまとめておく
  • 医師の説明をメモする、または録音の許可を得る
  • 理解できなかった点はその場で質問する
  • 次回の診察日や検査の予定を確認する

声のかけ方と精神的なサポート

がん治療中の患者さんは、体調だけでなく精神面でも不安定になりやすい状態です。どのような言葉をかけるべきか、夫としても悩むところでしょう。

基本的には「いつも通りに接する」ことを心がけてください。過度に気を遣った態度や、必要以上に励ますような言葉は、かえって相手に負担を与えることがあります。

避けるべき言葉の例として、「頑張って」「気の持ちようだ」「私のほうがつらい」といった表現があります。これらは本人の苦しみを軽視したり、プレッシャーを与えたりする可能性があります。

妻が話したいときは傾聴し、一人でいたいときはそっとしておく。その時々の状態を尊重することが、最も適切なサポートといえます。

妻ががんになったとき夫がしてはいけないこと

良かれと思ってした行動が、かえって状況を悪化させることもあります。避けるべき対応について確認しておきましょう。

勝手に治療方針を決めない

夫が調べた情報をもとに「この治療を受けるべきだ」「この病院に転院すべきだ」と一方的に主張することは避けてください。

最終的な治療の選択は、患者さん本人が納得して決めることが重要です。夫の役割は情報提供とサポートであり、決定権を奪うことではありません。

未承認の治療法を強く勧めない

標準治療以外の方法、特に科学的根拠が不明確な治療法や健康食品を強く勧めることは慎重であるべきです。

もし妻が代替療法に興味を持った場合は、まず主治医に相談し、標準治療との併用が可能か、安全性に問題がないかを確認することが大切です。

感情的な対立を避ける

治療方針や生活面での意見が食い違うことは珍しくありません。そのような場合でも、感情的に言い争うことは避けましょう。

お互いに冷静になれる時間を持ち、医療者や相談支援センターのスタッフなど、第三者を交えて話し合うことも有効な方法です。

婦人系がん特有の配慮が必要なケース

乳がんや子宮がん、卵巣がんなど婦人科系のがんの場合、女性特有の身体的・心理的な問題が生じることがあります。

ボディイメージの変化への対応

乳がんで乳房を切除した場合や、子宮を摘出した場合など、身体の変化によって自己イメージが大きく揺らぐことがあります。

このとき夫として大切なのは、変わらない愛情を示すことです。言葉で伝えることが難しい場合は、日常の行動を通じて、これまでと変わらない関係性を維持する姿勢を見せることが重要です。

性生活に関する配慮

治療によっては性生活に影響が出ることもあります。この話題は夫婦でも話しにくいものですが、お互いの気持ちを尊重しながら、必要に応じて医師に相談することも検討してください。

妻ががんになったときの経済的な準備と補助制度

がん治療は長期にわたることが多く、経済面での備えが欠かせません。利用できる制度を知っておくことで、経済的な不安を軽減できます。

高額療養費制度の活用

高額療養費制度は、1か月の医療費が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。所得に応じて自己負担の上限額が設定されています。

事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。

傷病手当金の申請

妻が会社員や公務員として働いている場合、病気療養のために仕事を休んだ期間について、健康保険から傷病手当金を受け取れる可能性があります。

支給額は標準報酬月額の約3分の2で、最長1年6か月間受給できます。勤務先の人事部や健康保険組合に申請方法を確認しましょう。

医療費控除の利用

1年間に支払った医療費が10万円(または総所得金額等の5%)を超えた場合、確定申告により所得税の還付を受けられます。

交通費や薬局での医薬品購入費なども対象になるため、領収書は必ず保管しておきましょう。

制度名 対象者 内容 申請先
高額療養費制度 健康保険加入者 月の医療費自己負担額が上限を超えた分の払い戻し 加入している健康保険
傷病手当金 会社員、公務員 休業中の所得補償(最長1年6か月) 勤務先の健康保険
医療費控除 納税者全員 年間医療費が基準額を超えた場合の所得税還付 税務署(確定申告)
障害年金 国民年金・厚生年金加入者 がんにより日常生活に支障がある場合の年金給付 年金事務所

夫が仕事を続けることの重要性

妻ががんと診断されたとき、多くの夫は「仕事よりも妻のそばにいるべきではないか」と考えます。しかし、長期的な視点で考えると、夫が仕事を安定して続けることが最も重要なサポートになります。

経済的安定が治療の選択肢を広げる

がん治療は数か月から数年にわたることが一般的です。その間、医療費はもちろん、日常生活を維持するための費用も継続的に必要です。

標準治療は健康保険が適用されるため、高額療養費制度を利用すれば月の負担額は抑えられます。しかし、差額ベッド代や通院の交通費、治療に伴う生活用品の購入など、保険適用外の出費も少なくありません。

また、栄養状態を良好に保つための食材選び、体力回復のためのサプリメント、リハビリやカウンセリングなど、QOL(生活の質)を維持するための費用も考慮する必要があります。

こうした長期的な支出に対応するためには、安定した収入の確保が不可欠です。

夫の健康管理も重要な責務

妻の看病に追われて夫自身が体調を崩してしまうと、家庭全体が危機的状況に陥ります。

以下の点に注意して、自身の健康を維持しましょう。

  • 規則正しい睡眠時間を確保する
  • バランスの取れた食事を心がける
  • 定期的に健康診断を受ける
  • 過度なストレスを感じたら専門家に相談する

職場への状況説明と理解の獲得

妻の病状について、職場にどの程度伝えるかは判断が難しい問題です。しかし、急な休みが必要になる可能性があることは、上司には伝えておいた方がよいでしょう。

育児・介護休業法により、家族の看護のための休暇制度を設けている企業も増えています。勤務先の制度を確認し、必要に応じて活用してください。

仕事と看病を両立させるための工夫

仕事を続けながら妻をサポートするには、時間の使い方を工夫する必要があります。

外部サービスの活用

家事代行サービスや配食サービスなど、外部の力を借りることも選択肢の一つです。費用はかかりますが、夫の負担を軽減し、仕事に集中できる時間を確保することで、長期的には家計にプラスになる場合もあります。

柔軟な働き方の検討

テレワークやフレックスタイム制度が利用できる場合は、これらを活用することで通院への同行などがしやすくなります。

ただし、在宅勤務だからといって常に看病ができるわけではありません。仕事時間と看病時間を明確に区別し、どちらも中途半端にならないよう注意が必要です。

妻ががんになったとき子どもへの説明と配慮

子どもがいる家庭では、母親の病気をどう説明するか、どうサポートするかも重要な課題です。

年齢に応じた説明方法

子どもの年齢や理解力に応じて、病状を説明する必要があります。隠そうとすると、かえって不安を増幅させることがあります。

幼い子どもには「ママは今、体の中の悪いものをやっつけるための治療をしている」といった簡単な説明で十分です。思春期の子どもには、より詳しく状況を伝え、治療の見通しについても共有することが望ましいでしょう。

子どもの心のケア

母親の病気により、子ども自身も不安やストレスを感じています。学校の成績が下がったり、行動面で変化が見られたりすることもあります。

夫は妻のサポートに追われがちですが、子どもとの時間も意識的に作るようにしましょう。学校の先生やスクールカウンセラーに状況を伝えておくことも有効です。

長期的な視点で考える夫婦の関係性

がんという病気は、夫婦の関係性を見つめ直す機会にもなります。

コミュニケーションの質を高める

治療が長期化すると、お互いに疲弊し、コミュニケーションが減少することがあります。意識的に対話の時間を持ち、それぞれの気持ちや考えを共有することが大切です。

感謝の気持ちを伝える

日常の小さなことでも「ありがとう」と伝え合うことで、お互いの存在を再確認できます。病気に向き合う困難な時期だからこそ、感謝の言葉が支えになります。

まとめ

妻ががんと診断されたとき、夫として最も重要なのは、正確な情報に基づいた判断の土台を築くこと、そして経済的安定を維持することです。

家事や看病のサポートも大切ですが、それ以上に、仕事を通じて経済基盤を守り、長期的な治療を支えられる体制を整えることが求められます。

一人で抱え込まず、利用できる制度やサービスを活用しながら、夫婦で協力して困難を乗り越えていくことが何より大切です。

参考文献・出典情報

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私(本村ユウジ)は身内をがんで亡くしてから、プロとして10年以上活動している、がん治療専門のアドバイザーです。

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