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がん専門アドバイザー 本村ユウジ

50.症状と対処法

【2026年更新】がん患者さんの寝汗について分かりやすく解説。原因5つと対処法


こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。

がん闘病中に「寝汗がひどい」と感じている方は少なくありません。通常の寝汗は誰にでも起こるものですが、がん患者さんの場合、パジャマやシーツを交換しなければならないほどの大量の寝汗に悩まされることがあります。

この記事では、がん患者さんが経験する寝汗の原因を整理し、それぞれの原因に対してどのような対処法があるのかを詳しく解説します。

なお、医学的に「寝汗(盗汗)」とは、寝具の交換が必要になるほどの大量の発汗を指すことが多いですが、温度環境とは関係なく夜間に発汗がみられる場合も含まれます。

自分の通常の発汗量を超えて、明らかに多い汗が出ている状態と考えてください。


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がん患者さんの寝汗の原因は大きく5つに分けられる

がん患者さんに起こる寝汗には、さまざまな原因が考えられます。大きく分類すると、以下の5つに分けることができます。

原因の分類 具体的な内容
がん(腫瘍)そのもの 悪性リンパ腫、白血病などの血液がん、腫瘍熱による発汗
手術によるもの 両側の卵巣摘出術、精巣摘出術による性ホルモンの低下
化学療法(抗がん剤) 抗がん剤やホルモン療法薬による性ホルモンレベルの変動
放射線治療 骨盤内・脳への照射による性機能への影響
その他の原因 薬剤の副作用、感染症、膠原病、内分泌疾患など

それぞれの原因について、以下で詳しく解説していきます。

がん(腫瘍)そのものが原因で寝汗が起きるケース

がんそのものが寝汗を引き起こすケースは、特に血液系のがんで多くみられます。

悪性リンパ腫と寝汗の関係

悪性リンパ腫では、がん化したリンパ球がサイトカイン(炎症を引き起こす物質)を産生します。このサイトカインが体温調節機能を乱し、特に夜間に強い発汗を引き起こすことが知られています。

悪性リンパ腫では「B症状」と呼ばれる全身症状が診断や治療方針の判断において重要視されます。B症状には、(1)発熱(38度以上)、(2)体重減少(6カ月で10%以上)、(3)盗汗(寝具の交換が必要なほどの寝汗)が含まれます。つまり、寝汗は悪性リンパ腫の活動性を示す指標のひとつになっています。

白血病と寝汗の関係

白血病では、感染症の合併や腫瘍熱(感染やその他の原因が特定されない、がんによる発熱)が関与していると考えられています。白血病の患者さんは、診断後すぐに治療が開始されることが多く、急激な心身のストレスから発汗につながることもあります。

腫瘍熱による寝汗

腫瘍熱とは、感染症などの明確な原因がないにもかかわらず、がんに伴って起こる発熱のことです。がん患者さんの5〜28%に発汗がみられるという報告があり、特に血液がんのほか、腎細胞がん、肝細胞がん、膵臓がんなどで起こりやすいとされています。

腫瘍熱の特徴としては、以下のような点が挙げられます。

腫瘍熱の特徴 詳細
発熱パターン 37.8℃以上の発熱が1日1回以上、2週間以上続く
感染の兆候 培養検査や画像検査で感染症の根拠が認められない
悪寒の有無 悪寒や戦慄(身体の震え)を伴わないことが多い
抗菌薬の効果 7日以上の抗菌薬治療でも解熱反応がない
全身状態 発熱がある割に全身状態は比較的保たれている

腫瘍熱の対処法としては、ナプロキセン(商品名:ナイキサン)というNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用が知られています。文献レビューによると、腫瘍熱に対してナプロキセンは94%で効果が認められたと報告されています。ナプロキセンは半減期が約14時間と長いため、1日2回の服用で24時間にわたる発熱の抑制が期待できます。

ナプロキセンで効果が得られない場合は、ジクロフェナクやフルルビプロフェンなど他のNSAIDsへの変更、またはステロイド(デキサメタゾン、ベタメタゾンなど)の使用が検討されます。

がんそのものに由来する寝汗は、がんの治療が効果を示すことで改善が期待できます。ただし、化学療法の副作用による骨髄抑制などが起きている場合は、短期間での改善が難しく、症状が悪化することもあります。


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手術が原因で寝汗が起きるケース

がんの手術でホルモンを分泌する臓器を摘出すると、体内の性ホルモンが急激に低下し、ほてりや発汗が起こることがあります。

具体的には、以下のような手術が寝汗の原因になり得ます。

手術の種類 影響
両側卵巣摘出術(子宮体がん・卵巣がんなど) 女性ホルモン(エストロゲン)が分泌されなくなり、年齢に関係なく更年期症状が出現
精巣摘出術(精巣がん) 男性ホルモン(テストステロン)の低下により、ホットフラッシュや寝汗が出現

これらの手術による寝汗は、ホルモンの低下が原因であるため、婦人科がんや精巣がん、血液がん、脳腫瘍などの治療後には、ホルモン補充療法が検討される場合があります。ただし、がんの増殖にホルモンが関連するタイプ(乳がんや前立腺がんなど)の場合は、ホルモン補充療法は推奨されないため、別の対処法を検討する必要があります。


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化学療法(抗がん剤・ホルモン療法)による寝汗の原因と対処法

化学療法に関連する寝汗は、がん患者さんの中でも特に経験する方が多い症状です。

女性の場合

抗がん剤、とりわけアルキル化薬を含む薬剤は、卵巣の生殖細胞に直接障害を与えたり、卵巣機能を抑制したりすることがあります。その結果、女性ホルモン(エストロゲン)が不足し、自律神経が不安定になって寝汗を生じる可能性があります。

40歳になる前にこのような状態になると「早発閉経」と呼ばれ、更年期障害と同じようなホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・発汗)の症状が出ます。

また、乳がんのホルモン療法(内分泌療法)で使用されるタモキシフェンやアロマターゼ阻害薬は、エストロゲンの産生を抑制したり、受容体との結合を阻害したりすることで、自律神経系の不安定化を招きます。内分泌療法を受けている乳がん患者さんの50%以上がホットフラッシュを経験するとされ、閉経前の方がタモキシフェンを服用した場合には50〜70%の方がこの症状を経験するという報告もあります。

LH-RHアゴニスト製剤(ゾラデックス、リュープリンなど)は、特にホットフラッシュを起こしやすい薬剤です。

男性の場合

前立腺がんの治療で行われる内分泌療法(ホルモン療法)やアンドロゲン除去療法では、男性ホルモン(テストステロン)の分泌が抑制されます。テストステロンは血管の収縮・拡張に関与しているため、これが低下するとホットフラッシュや発汗を経験することがあります。

前立腺がんでホルモン療法を受けている男性の6〜8割がホットフラッシュを経験するといわれています。ホルモン療法の副作用は一過性で、治療開始から数カ月程度で徐々に軽くなってくるとされていますが、症状が耐え難い場合には薬の種類の変更や、ホットフラッシュを軽減する別の薬の併用が検討されます。

化学療法による寝汗への対処法

化学療法に関連する寝汗には、以下のような対処法があります。

対処法の種類 具体的な内容
生活環境の調整 寝室の室温や風通しを調整する。寝衣や掛け物を通気性のよいものにする
食事・飲料の工夫 就寝前の熱い飲み物、香辛料、カフェイン、アルコールを控える
水分補給 経口補水液などで失われた水分を補給する。利尿作用のある飲料(お茶、コーヒーなど)は避ける
漢方薬 桂枝茯苓丸の服用で2〜3割の患者さんに改善がみられたとの報告がある。加味逍遙散も選択肢
鍼治療 ホットフラッシュの改善効果が期待される(ただしエビデンスは確定的ではない)
運動療法 ヨガ、ストレッチ、軽いジョギングなどの適度な運動。汗をかく習慣をつけることで症状が軽くなることがある
リラクゼーション 認知行動療法、呼吸法(ペース呼吸:ゆっくりした深呼吸)などが、ほてり関連の問題に有効との報告
薬物療法 担当医と相談のうえ、ホルモン療法薬の減量・変更、またはガバペンチンなどの薬剤使用を検討

放射線治療が原因で寝汗が起きるケース

放射線治療では、全身・骨盤内・脳に放射線を照射した場合、性機能に影響が及ぶことがあります。照射部位や照射線量によって影響の程度は異なりますが、卵巣や精巣の機能が低下すると、手術による臓器摘出と同様に、ホルモンの低下によるほてりや発汗が生じます。

放射線治療に伴う寝汗への対処法は、化学療法による寝汗の場合と基本的に共通しています。症状がある場合は担当医に相談し、ホルモン補充療法の適否を含めた対応を検討してもらうことが重要です。

その他の原因による寝汗

がんの治療に直接関連しない原因でも、がん患者さんに寝汗が起きることがあります。

薬剤の副作用

がん患者さんが使用する薬の中には、寝汗の原因となるものがあります。

薬剤の種類 備考
オピオイド(医療用麻薬) がん疼痛に対する鎮痛目的で使用。フェンタニル貼付剤などで発汗が報告されている
鎮痛薬(NSAIDsなど) 痛み止めとして使用
抗不安薬・抗うつ薬 精神的な症状の緩和のために処方されることがある
抗ヒスタミン薬 アレルギー症状の軽減などに使用
降圧薬 血圧のコントロールに使用
ステロイド 炎症を抑える目的で使用。副作用として不眠が生じ、寝汗の苦痛を増す可能性がある

感染症

抗がん剤の副作用で骨髄抑制が起きている場合、免疫力が低下し感染症にかかりやすくなります。感染症の発症に伴い、発熱と発汗が起こることがあります。

内分泌疾患・膠原病

甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患や、膠原病(自己免疫疾患)でも寝汗が症状として現れることがあります。がんの治療中にこれらの疾患が合併する場合もあるため、寝汗が続く場合は原因の検索が重要です。

ストレスや心理的要因

がんの診断や治療に伴う精神的なストレスは、自律神経の乱れを引き起こし、発汗につながることがあります。特に悪性リンパ腫や白血病の場合、診断後間もなく治療が開始されることが多く、急激な心身のストレスが発汗の一因となることもあります。

寝汗が出やすい状況を知っておく

がん患者さんの中でも、特に寝汗が出やすい状況がいくつかあります。以下のような状況に当てはまる場合は、寝汗への注意が必要です。

寝汗が出やすい状況 解説
女性のホルモン療法中 ホットフラッシュに伴う発汗。タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬の使用時に多い
進行・再発がんで腫瘍が増大している時期 腫瘍量の増加に伴い、腫瘍熱や全身性の炎症反応が起こりやすい
抗がん剤による骨髄抑制がある時期 免疫力低下により感染症を発症しやすく、発熱・発汗が起こりやすい
男性のアンドロゲン除去療法中 前立腺がん治療に伴うホットフラッシュ。治療を受けている男性の6〜8割が経験

がん患者さんが寝汗を感じたときの自宅での対処法

寝汗が気になったとき、まず自宅でできる対処法を以下にまとめます。

水分補給を最優先に

寝汗によって失われた水分量に見合う水分補給をすることが最も重要です。経口補水液が適していますが、手元にない場合は水やスポーツドリンクでも構いません。利尿作用のあるお茶やコーヒーは避けてください。

寝具・寝衣の工夫

吸水性や速乾性に優れた寝衣を選びましょう。綿素材でゆったりとしたものが適しています。起きた後は着替え、可能であれば入浴やシャワーで清潔を保つようにします。シーツや枕カバーもこまめに交換できるよう、替えを準備しておくと安心です。

寝室環境の調整

室温を適切に管理し、風通しをよくすることが重要です。送風機(扇風機)を使ったり、窓を開けたりして空気の流れを確保します。掛け布団は厚すぎないものを選び、温度変化に対応しやすいよう、薄手のものを重ねて使うと調整がしやすくなります。

就寝前の習慣を見直す

就寝前には、熱い飲み物や香辛料を多く使った食事、カフェイン入りの飲料、アルコールを控えましょう。これらはホットフラッシュの症状を強めることが知られています。

生活リズムの整備

生活リズムや夜間の生活習慣を整えて、不眠の解消を図りましょう。寝汗による睡眠の中断で疲れが溜まる場合は、必要に応じて昼間に短い休息の時間を作ることも有効です。

運動やリラクゼーションの取り入れ

ホルモン療法の副作用によるホットフラッシュには、適度な運動やリラクゼーションが効果を発揮する場合があります。ヨガ、ストレッチ、軽いウォーキングなどを日常に取り入れてみてください。ゆっくりとした深い呼吸法(ペース呼吸)を実践することで、ほてりの症状を和らげる効果も報告されています。

寝汗が続く場合は必ず医師に相談する

発汗自体は身体の生理的な反応のひとつですが、着替えや寝具の交換が必要になるほどの大量の発汗が続く場合は、身体が何らかの異常を示している可能性があります。

特に以下のような症状を伴う場合は、早めに担当医に相談してください。

・数日以上にわたって寝汗が続いている
・原因不明の発熱がある
・体重が減少している(6カ月で5%以上の減少が目安)
・強い倦怠感がある
・リンパ節の腫れがある

医師に相談する際には、「いつから」「どの程度の量か」「他にどんな症状があるか」「現在使用している薬剤」などの情報を整理して伝えると、原因の特定に役立ちます。

原因が分かれば、それに応じた適切な対処を受けることができます。例えばホルモン療法が原因であれば薬の減量や変更、腫瘍熱であればナプロキセンなどのNSAIDsの投与、感染症であれば抗菌薬による治療など、原因に即した対応が行われます。

寝汗は睡眠の質を下げ、日中の活動にも影響を与える症状です。「がんの治療中だから仕方ない」「こんなことを聞いても大丈夫かな」と遠慮せず、気になる症状があれば担当の医師や看護師に伝えることが大切です。

参考文献・出典情報

1. 国立がん研究センター がん情報サービス「ほてり・のぼせ・発汗(ホルモン低下による症状)もっと詳しく」
https://ganjoho.jp/public/support/condition/hot_flash/ld01.html

2. がん情報サイト PDQ®日本語版「ほてりおよび寝汗(PDQ®)患者さん向け」
https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000062827

3. 中外製薬「おしえて リンパ腫のコト ひどい寝汗(盗汗)はなぜ?考えられる原因と対策」
https://oshiete-gan.jp/lymphoma/concerns/symptoms/night_sweat.html

4. 乳癌診療ガイドライン2022年版「BQ10 内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛の対策として薬物療法は推奨されるか?」
https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/y_index/bq10/

5. 患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版「Q53 ホルモン療法薬の副作用とその予防法・対処法」
https://jbcs.xsrv.jp/guidline/p2019/guidline/g7/q53/

6. 再発転移がん治療情報「がん患者さんが悩むホットフラッシュの原因と対処方法」
https://www.akiramenai-gan.com/qol/easing/55246/

7. 国立国際医療研究センター病院「乳がん初期治療後の健康管理 - 疲れやすさ・性のこと・ホットフラッシュ・こころのこと」
https://www.hosp.jihs.go.jp/cancer/021/after_breastCancer/contents/tiredness.html

8. 聖隷三方原病院 症状緩和ガイド「発熱」
https://www.seirei.or.jp/mikatahara/doc_kanwa/contents5/29.html

9. 日本緩和医療学会雑誌「腎細胞がんに合併した続発性全身性多汗症の症状緩和にオピオイドが有効であった1例」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspm/15/4/15_355/_html/-char/ja

10. 東北大学 緩和ケアマニュアル「がん関連発熱」
http://www.kanwa.med.tohoku.ac.jp/student/pdf/manual/2021/04.pdf

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本村ユウジ
本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

年齢を重ねると、たとえ健康であっても、つらいことはたくさんありますよね。

それに加えて「がん」は私たちから、家族との時間や、積み重ねたキャリア、将来の夢や希望を奪おうとするのです。

なんと理不尽で、容赦のないことでしょうか。

しかしあなたは、がんに勝たねばなりません。

共存(引き分け)を望んでも、相手はそれに応じてくれないからです。

幸せな日々、夢、希望、大切な人を守るには勝つしかないのです。

では、がんに勝つにはどうすればいいのか?

最初の一歩は『治すためのたった1つの条件』を知ることからです。

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経験18年以上。プロのアドバイザーによる徹底解説。

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