10.肝臓がん

マイクロ波凝固療法とラジオ波焼灼療法の違いと進め方

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マイクロ波凝固療法

肝臓がんで使われる熱凝固療法にはマイクロ波凝固療法とラジオ波焼灼療法があります。そして、これらにはそれぞれ、皮膚を通して(経皮的に)行う手法、腹腔鏡を用いる方法、開腹して行う方法、の3種類があります。

マイクロ波凝固療法は、1991年にがん治療に利用されるようになった手法です。他方、ラジオ波焼灼療法は欧米で始まった治療法であり、日本にも1998年に導入されました。マイクロ波凝固療法とラジオ波焼灼療法のおもな違いは2つあります。

第1は、マイクロ波凝固療法はがんの病巣が比較的早く高い温度になるのに対し、ラジオ波焼灼療法は温度上昇が緩やかだということです。これは、マイクロ波は波長がより短くて周波数が高く、それだけ腫瘍をつくっている分子に速い運動を引き起こすためです。そのため、マイクロ波凝固療法は、1回の照射が1~2分と短時間ですむのに対し、ラジオ波焼灼療法は10分前後とやや時間がかかります。

ラジオ波焼灼療法は、腫瘍内の血流が豊富な例では、血流に熱が逃げて凝固する範囲が狭くなったり、血管が十分に凝固されない場合があります。

第2の違いは、マイクロ波凝固療法は凝固範囲が直径2センチほどと狭いのに対し、ラジオ波焼灼療法では、ラジオ波がより遠くまで届くため、直径3センチほどと大きいことです。そのため、同じ大きさの腫瘍を治療する場合でも、マイクロ波凝固療法に比べて治療回数が少なくてすみます。

マイクロ波凝固療法とラジオ波焼灼療法のやり方

マイクロ波凝固療法とラジオ波焼灼療法には、3つの方法があります。第1は、エタノール注入療法などと同じく、体の外から針を刺して治療を行う経皮的手法です。第2は、腹部や胸部に小さな穴をあけ、その中に内視鏡(腹腔鏡)を入れて治療する方法です。第3は、手術と同じく腹部や胸部を切開し、電極を肝臓の表面から患部に向かって刺す方法です。

1.経皮的手法

経皮的手法は、これらの治療の中ではもっとも侵襲が小さい方法です。局所麻酔ですむため、麻酔の危険もあまりありません。しかし、治療の対象となる人の項で述べたように、さまざまな制約があります。

この方法は、体内を直接は見られず、超音波で体内を調べながら治療を行います。また、治療時に用いる電極針には、超音波で見える処理をしていない種類のものもあります。そのため、針を刺す位置の微妙な狂いが大きな副作用につながるときには、経皮的手法は行いません。前述したように、腫瘍が他の臓器や主要な血管、胆管などの近くにあるときです。

また、腫瘍が肝臓の表面や横隔膜のすぐ下にあるなど、超音波で正確な位置が見分けにくいとき、あるいは腫瘍のもつ性質のために超音波でとらえにくいときも、経皮的手法で行うと事故につながる危険があります。

さらに、経皮的手法では、3センチ以上の腫瘍を確実に凝固させることは難しいという問題もあります。これらの場合には、腹腔鏡下の治療や開腹による治療を選択します。

2.腹腔鏡下の治療

腹腔鏡による治療は、全身麻酔で行います。ほとんどの場合、腹腔鏡を用いますが、腫瘍の位置によっては、胸から入れる胸腔鏡を使う場合もあります。

このとき、腹腔鏡スコープまたはビデオスコープ、腹腔鏡用超音波プローブ、それにマイクロ波やラジオ波を発する電極を、腹部にあけたいくつかの小さな穴からそれぞれ体内に入れ、それらすべてを使用しながら治療を行います。

このうち腹腔鏡スコープは内部に光ファイバーが通っており、ファイバーで送られてきた光で体内を照らし出すと同時に、体内を観察できる構造になっています。

また、ビデオスコープ(電子スコープ)とは、CCDカメラのついた内視鏡のことで、体内を撮影することができます。さらに超音波プローブは、先端に超音波を発する装置がついており、肝臓の内部を超音波で観察することができます。

治療では、腹の内部の空間を広くして体内を観察しやすくするため、二酸化炭素などの気体を入れて腹をふくらませたり(気腹法)、腹壁を針金や風船のようなもので支えたり(つり下げ法)します。

腹腔鏡下では、体内の様子を画像で見ながら治療できるので、肝臓表面や微妙な位置の腫瘍でも治療が可能です。また、3センチ以上(5センチ以下)の大きな腫瘍も、1回の治療で凝固させることができます。

さらに、腫瘍が胆嚢に近いときなどには、胆嚢を摘出してから治療しますが、腹腔鏡下の治療であれば、胆嚢摘出などの処理に引き続いて、がん治療を行うことができます。とはいえ、腹腔鏡は視野が限られるため開腹して治療するほうが安全性は高いといえます。

3.開腹による手法

3つの方法の中では、もっとも侵襲度の大きな手法です。全身麻酔下で治療するため、体の状態が悪い患者は受けることができません。また、手術後にも開腹したところが痛み続ける場合もあります。

しかし、肉眼で直接体内を見ながらの手術であるため、手術器具を扱いやすく、精密な技術や複雑な処置が必要な場合には、確実性や安全性の面からも、開腹が適しています。
手術経験のある患者は、体内の組織や臓器が互いに張りついて癒着していることがあります。このような場合、開腹して治療を行わないと、大出血を起こす危険があります。

以上、肝臓がんの治療法についての解説でした。

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本村ユウジ
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