04.大腸・直腸がん

大腸がんガイドライン2014年版における化学療法の進め方

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切除不能、あるいは進行した大腸がんに対する化学療法は1990年代までは5-FUに代表されるフッ化ピリミジン系の薬剤が中心的な役割を担っていました。

近年は分子標的薬の導入で治療の選択幅が大きく広がり、化学療法の治療手順も3次~5次までの複数の選択肢があり、患者さんの状態に応じた治療ができるようになってきています。

■大腸がんガイドライン2014年版における化学療法

大腸がんに対する従来の化学療法の効果はほぼ頭打ちになったといわれており、現在では新薬の分子標的薬が中心となっています。

ガイドライン2014年版においては、ステージ1~3では基本的に内視鏡治療または外科的治療(手術による切除)が行われます。いっぽう、肝臓や肺、腹膜などの臓器に遠隔転移が認められるステージ4で切除が不能な場合は全身に対する化学療法が中心となります。
ガイドライン2014年版によると全身化学療法の目的は腫瘍の増大を遅延させて延命と症状をコントロールすることにあります。化学療法を実施しない場合には切除不能と診断された進行再発大腸がんの生存期間中央値(MST)はおよそ8か月とされていますが、化学療法を行った場合には約2年となっています。

■2010年版と2014年版の違い

治療法、使用薬剤の面において、1次治療で「FOLFOXIRI」療法と3次治療から新しい分子標的薬であるスチバーガが追加されたことが、2010年版と2014年版との違いです。また、治療段階が10年版は3次治療までだったのに対し14年版は5次治療まで記載されています。
もう1つの特徴は化学療法の進め方を「強力な治療が適応となる患者」と「強力な治療が適応とならない患者」の2つに分けて示している点です。「強力な治療が適応とならない患者」については患者の状態と腫瘍の状態の両面から定義されています。

患者の状態については、患者が重篤な有害事象を好まない、重篤な併存疾患が一次治療薬の耐用性がないと判断されること、などとされています。つまり患者の意向として副作用を受ける治療を望んでいないこと。そして体調面で副作用に耐えられないと考えられること、ということです。

いっぽう、がんの状態としては「現在切除不能な多臓器転移があり、将来的にも切除可能となる見込みが乏しい」などが挙げられます。

■遺伝子のタイプにより治療方針が大きく変わる

1次、2次治療でアバスチン(ベバシズマブ)や抗EGFR抗体などの分子標的薬が使える患者さんに対しては抗がん剤との併用が推奨されています。

分子標的薬が使えないタイプの患者さんには抗がん剤の単独使用となります。

近年、重視されていることは「アービタックスとベクティビックスはKRAS(ケイラスと読む)遺伝子の野生型にのみ適応される」ということです。大腸がんにおいてはこのKRAS遺伝子がここ数年大きな話題となっています。

とくに2013年に相次いで大規模試験の遺伝子解析データが報告され、KRASだけでなく、NRAS(エヌラス)などRASファミリーと呼ばれる遺伝子の有無により、治療効果に差があることが報告されたことが注目されています。

【※RAS遺伝子とは?~RAS遺伝子野生型の意味~】

RAS遺伝子とは、変化(突然変異)するとがんを引き起こすことが知られている遺伝子の一種です。
ras

RAS遺伝子は正常な細胞にも存在し、細胞の増殖にかかわっています。しかし、がん細胞ではRAS遺伝子の一部が傷つき、無限に増殖し続けてしまいます。

切除不能・再発大腸がんの化学療法対象例について、RAS遺伝子変異型は4割にも及びます。RAS遺伝子変異型に対しては抗EGFR抗体薬の有効性は認められません。

RAS遺伝子にはKRAS,NRAS,HRAS(エイチラス)の3種類があり、これらがRASファミリーと呼ばれています。2008年以降、国際学会や論文で抗EGFR薬の効果とRASファミリーの1つであるKRAS遺伝子の変異との関連が報告され始めました。

がん細胞におけるKRAS遺伝子変異は抗EGFR抗体薬の負の効果の原因(効果を阻害するという意味)となるというものです。これらの報告に基づいて、抗EGFR抗体薬の投与前にKRAS遺伝子変異を測定し、効果予測をするべきだという考えがでてきたのです。

さらに2013年以降、別の臨床試験の結果、KRAS遺伝子の別の部位の変異やNRAS遺伝子変異が認められる症例でも、抗EGFR薬の有効性が認められないことが明らかになってきたのです。

このため、欧米では「KRAS/NRAS遺伝子変異」が認められる場合はガイドラインや添付文書で抗EGFR薬の投与を推奨していません(「KRAS/NRAS野生型」の場合は投与しないと記述されています)」。いっぽう日本では2011年にKRAS遺伝子変異検査が保険適応となり普及していますが「NRASを含む検査」は保険適応外です。そのため、大腸がんガイドライン2014年版ではまだ「KRAS野生型のみ抗EGFR薬を推奨しない」とされています。

以上、大腸がんについての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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