02.がんについて

最も悪性度の高い発がん物質とは?

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テレビでも「この成分は発がん物質で・・・」などの報道も一般的になっています。ではこの「発がん物質」とは何でしょうか。また、どんな作用をすることでがんを誘発するのでしょうか?

私たちは「発がん物質」と聞くと、その物質が体に入ったり皮膚に触れたりしただけで、正常な細胞ががん細胞に変わるような印象を受けます。しかし実際にはそんなことはありません。

発がん物質とは、細胞内のDNAを傷つけて遺伝子を変化させる物質のことです。細胞内の遺伝子が変化(変異)をくり返すと、正常な細胞ががん細胞に変わる(がん化)することがあります。細胞のがん化についてのこれまでの研究で、たとえ発がん物質とされる物質を食べたりそれらに触れても、それによって正常な細胞ががん細胞に変わることはほとんどないことがわかっています。

がん細胞が生まれるまでには、細胞が遺伝子のレベルでいくつもの変異を重ねる必要があるのです。また、どんな物質が遺伝子の変化のどの段階で、どんなしくみで細胞をがん化させるかも、ほとんどわかっていません。それでも、ある種の物質に発がん性があるといえるのはなぜでしょうか。

それは、多くの動物実験の結果や、特定の職業とがん発症の関係、生活習慣や食習慣とがんの関係などを示す長年のデータから、統計的にそのような結論が引き出されているからです。

発がんとの関係がもっともよく知られているのはタバコの煙です。タバコの煙には5300種類もの化学物質が含まれています。そのうち、ベンツピレン、ホルムアルデヒド、ニトロソアミンなど70種類以上が発がん物質とされており、ほかにも多くの物質の発がん性が疑わています。

とりわけベンツピレンは、いまから70年も前に石炭タールの中から発がん物質として取り出されたという歴史をもっています。またニトロソアミンはニコチンが分解されてできる物質で、食物の消化によって体内でつくり出される発がん物質でもあります。この物質は、食べ物に含まれているアミン類と亜硝酸という2つの物質が胃の中で反応することによって生じます。

喫煙者のがんのリスク、つまりがんを発症する確率は非喫煙者の1.5倍であり、これは1シーベルト(=1000ミリシーベルト=100万マイクロシーベルト)の放射線をいちどに浴びたときと同じくらいがんのリスクが高まることを意味します。

日本で1990年代、人体に悪影響を及ぼすとして有名になったのが、廃棄物の焼却などの際に大気中に放出されるダイオキシン類です。ダイオキシンは以前から、非常に強い毒性と胎児の催奇性(胎児を奇形化させる性質)をもつことが知られており、世界保健機関(WHO)も、一部を発がん物質のリストに加えました。

しかし最近の研究では、ダイオキシンは直接遺伝子を傷つけるのではなく、他の発がん物質が遺伝子を傷つける作用を強めていると見られています。では、私たちの生活環境に存在する物質で"最強の発がん物質"は何でしょうか。これまでに知られているところでは、それはピーナッツなどのナッツ類に発生するカビが放出する毒素「アフラトキシン」です。

1960年にイギリスで10万羽以上の七面鳥が中毒死しました。その原因物質として発見されたのが、ピーナッツミールに含まれてたアフラトキシンでした。この物質は、生物の体内でDNAが複製されるときにこれを損傷し、がんを発症させると見られています。

毒物とされる物質には通常、何も続けて摂取しても危険がないとされる上限が定められています。しかしアフラトキシンにかぎっては日本の食品安全委員会はできるかぎり低くするべきとし、上限を設定していません。これは、アフトキシンがわずかでも検出された食品は流通させてはならないということです。

実際にネズミを使った実験では、餌にアフラトキシンをごく低濃度(餌1グラムあたり10億分の15グラム)混ぜただけで、すべてのネズミが肝臓がんを発症したということです。

このように発がん物質は自然界にもたくさん存在します。WHOの国際がん研究機関によると、人工物や自然界の物質をも含め、人間に対して明らかな発がん性を示す物質は100種類以上、疑わしい物質は330種類にのぼります。

ただしこれらの物質の発がん性は同じではなく、発がん性のもっとも強いものともっとも弱いものでは100万倍もの差があります。前出のニトロソアミンに見られるように、発がん物質は体内でもつくられます。なかでも発がん性が強く疑われているものに「活性酸素」があります。

■活性酸素とは?

私たちの体内では、新しい細胞をつくったりエネルギーを生み出したりするなどの生命活動を行うため、無数の化学反応が起こっています。これらの反応をスムーズに起こすために重要なはたらきをしているのが酸素です。

ところが、酸素と他の物質との化学反応が起こる際に、しばしば活性酸素という他の物質と異常に反応しやすい不安定な物質がつくり出されます。これが細胞中のDNAを傷つけると、がんが発生する可能性があります。

もっとも私たちの体は、こうした活性酸素を取り除く特殊な酵素(SOD)もつくり出し、活性酸素が遺伝子を傷つけるのを防いでいます。しかし臓器によってはこのSODが少ないこともあり、そのような臓器では活性酸素によって細胞ががん化しやすいと考えられています。

食物や、体内で食物が分解されてできた物質ががんを引き起こす可能性もあります。人間のすべてのがんの35パーセントは食事によって発生するとする報告もあります。

多くの食物には、ごく弱い発がん性をもつさまざまな物質がわずかながら含まれています。食物からこれらを取り除くことは現実には不可能ですが、少なくとも前出のニトロソアミンの生成はビタミンCによって抑えられることがわかっています。

ノーベル賞を2度受賞した有名なアメリカの科学者ライナス・ポーリングは早くからビタミンCの効果に気づき、「メガビタミン理論」と名づけて、講演や著作でくり返し人々にビタミンCの摂取を勧めました。

博士自身も毎日大量のビタミンCを服用し、93歳の長寿をまっとうしましたが、彼の死因は大腸がんでした。またメガビタミン療法を早くから実施していたポーリングの妻も、75歳で胃がんで亡くなっています。

これらの例が示すように、ビタミンCの大量服用によって必ずがんを予防できるということはなく、またビタミンCはかぜをはじめ「万病に効く」という主張にも科学的な根拠はありません。むしろ食生活への少しの気配りによって、食物中の発がん物質の影響を抑えることができます。

そのひとつは、体内で消化吸収されない発がん物質をすみやかに体外に出すために「排泄を早める」ことです(便秘と大腸がんの関係は統計的に示されています)。食物繊維の多い食事によって消化管のはたらきを活発にすれば排泄が早まり、発がん物質が体と接触している時間を短くすることができます。

【身近にある発がん物質】

■アフラトキシン/肝臓がん、胆管がん

食物に生えるカビが出す毒素。カビの生えた穀物、木の実類、綿の実などから見つかる。アフラトキシンで汚染された飼料を食べた家畜の卵、乳、肉類から発見されることも。脱穀などを行う農業従事者はとくに注意が必要。

■アスベスト(石綿)/咽頭がん、喉頭がん、肺がん、中皮腫(胸膜と腹膜。肉腫の一種)、胃がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん

繊維状の鉱物を綿のようにもみほぐした物質。1980年代まで耐火材料、保温材料、建造物などに用いられた。日本では2006年に一部の製品を除いて製造・輸入使用が禁止となった。

■アルコール飲料/口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、上部消化管のがん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、胆管がん、膵臓がん、乳がん

ビール、ワイン、蒸留酒などに発がん物質および発がん性が疑われる物質(アセトアルデヒド、ニトロソアミン、アフラトキシン、ウレタン、アスベスト、ヒ素化合物など)が含まれる。またアルコールは代謝によってアセトアルデヒドに変化する。喫煙により危険度が上昇。

■イソプ口ピルアルコール(プロパノール)/鼻腔がん、副鼻腔がん

強い酸化力があり、塗装剥離剤や医療用の消毒液、有機溶剤などに使用されている。

■酸化エチレン/白血病、悪性リンパ腫、乳がん

薬品や化学製晶(不凍液、ポリエステルなど)の材料として使用されるほか、医療器具、スパイス、穀物、家畜の飼料などの殺菌用や昆虫の不妊化用にも用いられる。アメリ力では1990年代に規制対象となった。日本でもこの物質の排出や保管は規制されている。

■カドミウムとカドミウム化合物/肺がん、腎臓がん、前立腺がん

水中生物の貝類やエビ、イ力などに蓄積されやすい。日本では神岡鉱山の未処理廃水によるイタイイタイ病が知られる。アルカリ電池の電極や顔料、自動車のメッキなどに用いられている。国際的にも摂取基準値が定めており日本でも規制されている。

■シリカ(空気中の結品状粒子)/肺がん

石英(クォーツ)の削りかすなどが空気中の結晶状シリカとなる。砂岩などにも含まれる。窯業、陶業、耐火レンガ製造などの石英を利用する工場では肺がんの発症率が1.3~1.5倍高い。建設現場や石切場、宝石の研磨工場などの労働者も危険。

■ラドン/白血病、悪性リンパ腫、肺がん

気体として存在する放射性物質。火成岩や水に含まれていることも。鉱山労働者、地下作業従事者は注意が必要。

■たばこ/白血病(喫煙者の子どもは幼少期に発症の可能性)、悪性リンパ腫、鼻腔がん、副鼻腔がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、肺がん、食道がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、胆管がん(喫煙者の子どもも)、膵臓がん、腎臓がん、腎盂がん、膀胱がん、尿管がん、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん

たばこの煙の中には5300種もの化学物質や金属が見つかっており、その中にはベンツピレン、ベンゼン、ホルムアルデヒド、ニトロソアミン、ウレタン、ヒ素、クロム、ニッケルなどの発がん物質および発がん性が疑われる物質が含まれる。嗅ぎたばこやかみたばこも同様。

■タール・鉱物油(未処理または粗精製)/肺がん、膀胱がん、皮膚がん

タール(コールタール)は防腐剤・塗料として利用されるほか、殺菌剤やさまざまな薬品化粧用品(化粧水、クリ一ム、石鹸、シャンプーなど)の材料となる。鉱物油は精製されてエンジンオイルや機械油として利用される(皮膚がん発症のおそれ)。

■ヒ素・無機ヒ素化合物/肺がん、肝臓がん、胆管がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、皮膚がん

半導体材料や木材腐食防止剤、除草剤、殺虫剤、乾燥剤などに利用される。金属ヒ素は半導体材料としてなどに利用される。

■塩化ビニール(プラスチック)/肝臓がん、胆管がん

軟質と硬質があり、それぞれの性質を活かして上下水道や工業用パイプ、建材、車両、包装材、塗料、断熱材など幅広い分野で使われている。塩化ビニール樹脂原料を含む噴霧剤は1974年に使用禁止、フタル酸エステルを含む塩化ビニールの食品包装や玩具などへの使用は規制されている。

■ベンゼン/白血病、悪性リンパ腫

プラスチック、樹脂、ゴム、薬剤などの材料や溶剤として大量に消費される化学物質のひとつ。たばこの煙にも含まれる。

以上、がんの特徴についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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