02.がんについて

なぜがんで人間は死ぬのか

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現在では以前と異なり、医師は患者ががんであることを隠すことなく患者自身やその家族に告知するようになっています。しかしどんな人でも、がんを宣告されると、そのときは強い衝撃を受けます。

その理由はがんが患者をひどく苦しめ、最終的に死へと導く不治の病であり、最新の治療を受けても完治を期待できないことを誰もが知っているからだといえます。

たしかに最近では、ある種のがんが早期発見と早期治療によって進行を抑えられたり、ときには治癒することもあります。しかし、膵臓がんや胆道がん、悪性の脳腫瘍など、依然として治療の困難ながんが数多くあり、治療可能とされるがんでも、発見・治療が少し遅れただけで命取りとなります。

がんを発症すると人間はなぜ死ぬのか。この理由を明確に理解しておくことはとても大切です。がんの本質を知り、治療法や予防法を開発するうえで欠かせない、もっとも基本的な問題だといえるからです。

がんが人間を殺す最大の理由は、がん細胞のもつ特異な性質にあります。がん細胞は、栄養と酸素が供給されるかぎり際限なく分裂・増殖し、がん細胞の固まりであるがんをつくります。

それはもともとその人間の体の一部であるにもかかわらず、あたかも組織や臓器にとりついてそこで成長する未知の組織か生き物のようです(がんは別名「悪性新生物」とも呼ばれます)。

1個のがん細胞が分裂して2個になる(=増殖する)ときには、非常に多くの栄養とエネルギーを必要とします。がん細胞はこのとき同時に、正常な細胞を壊死させる物質を放出します。この物質は体の正常な組織のはたらきをさまたげたり食欲を減退させたりするため、患者の体はしだいに衰弱していきます。

私たちの体をつくっている正常な細胞は、ほとんどが体内の決まった場所で生まれ、そこで死んでいきます(血液中の白血球や赤血球のような例外もあります)。ところががん細胞はリンパ管や血管を通って他の臓器に簡単に移動し、そこに定着して増殖することができます。つまりがん細胞には、体の中を移動して別の場所に居座り、そこでまた成長する「転移」の能力があります。

こうしてがん細胞にとりつかれた臓器は、自分の内部や表面でそれらが急速に増殖するにつれて、自らの本来のはたらきを妨害されるようになります。

がんが進行するとほとんどの患者が体重の著しい減少を経験します。がん患者が2週間で10キログラムとか1カ月で15キログラムという極端なやせ方をするのは、脂肪と筋肉が失われると同時に、臓器をつくっている組織そのものも消耗するためです。また赤血球も減少して貧血になります。

体重の減少がとりわけ激しいのは、がんが消化器系に広がった場合です。これは、がんが患者の消化器系の組織から猛烈な勢いで栄養分を奪うことが原因とされています。こうなると、ほとんどの患者が「悪液質」、すなわち栄養失調で全身が衰弱した状態となり、目のまわりや下半身が腫れたり、皮膚が黄白色になったり、皮膚に色素が沈着して黒ずんで見えるなどの症状が現れます。

がんがここまで進行すると患者の免疫機能も低下し、がんと闘う白血球が本来のはたらきを失います。そのためわずかな感染に対しても抵抗力がなくなり、簡単に発熱したり、全身がひどい疲労感におそわれるようになります。

こうして多くの臓器の生命を維持するはたらきが低下していき、最後に呼吸機能や心臓を動かす機能がはたらかなくなったとき、患者に死が訪れます。しかし、このような過程をくわしく追っていくと、その中にがんと闘うヒントが隠されていることもわかります。

たとえば、がんがそれほど大量の栄養と酸素を必要とするのなら、がんへの栄養補給路を断ってしまえばがんは立ち枯れになるはずです。また、がんの増殖能力を遺伝子のレベルでくい止められるなら、がん細胞は生き続けることができないはずです。他にもがんの成長をストップさせるいろいろな方法が考えられます。

これらの考え方から出発したさまざまながん治療法が研究・開発され、あるは一部はすでに実用化段階に入っています。

以上、がんの特徴についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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