02.がんについて

がんはなぜ再発してしまうのか

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saihatu-riyu

がんは完治が難しい病気といわれます。

手術や放射線、抗がん剤治療など病院で実施できる治療を受け、一時は治ったように思えても、ふたたびがんになる可能性があるからです。これには、おもに3つの理由があげられています。

第1の理由は、治療後にわずかな数のがん細胞が残っていたためです。たとえば、手術の際にがんの周囲の組織に侵入していたがん細胞を完全に取り除けなかった、あるいは、すでに別の臓器に転移していたがん細胞に気づかずに治療を終了したなどの場合には、残された少数のがん細胞が増殖して、ふたたびがんとして成長を始めます。

第2は、ひとたびがんを発症した患者は、たとえ最初のがんを除去しても"がんになりやすい状態"の体そのものは変わっていないためです。がんは、いくつかの遺伝子の変異が積み重なって発生します。たとえば、長年タバコの煙やアスベストなどの発がん物質にさらされてきた患者や、環境中のある種の発がん物質を体質的に無害化しにくい患者には、最初にがんができたところ以外にも、遺伝子の変異が生じている可能性があります。

そのような場合、1つのがんを治療しても、まもなく同じ臓器の別の場所や他の臓器に、2つめ、3つめのがんができる可能性が高いと考えられます。

第3は、がん治療の過程で抗がん剤治療や放射線治療を受けたことが、がん発症の原因になり得るためです。放射線や抗がん剤の多くは、DNAを傷つけることによってがん細胞を殺します。しかしこの治療法では、正常な細胞の一部も遺伝子が傷けられ、それらの変異によって細胞がついにはがん化することがあります。

たとえば、子ども時代にがんを治療した人が、おそらくは抗がん剤や放射線による治療によって第2のがん(二次がん)を発症する割合は2~10パーセントともいわれます。治療後に発症する二次がんとしては白血病や悪性リンパ腫が多く、他にも肉腫、子宮がん、甲状腺がん、乳がんなどを発症しやすいことが知られています。

放射線治療については、一般に大量の放射線を浴びるほど二次がんを生じやすいとされます。また、抗がん剤にも二次がんを引き起こしやすい種類のものがあり、植物アルカロイドのエトポシドやアルキル化剤のシクロホスファミドを使った場合には、二次がん発生率が高くなります。また、乳がんなどでホルモン療法を受けた人も、ホルモンに関係する子宮がんなどを生じる可能性がわずかに高くなります。

これらのうち第1のケース、つまり最初の治療でがん細胞が完全に取り除かれなかったためにがんを発症した場合が、一般的には「再発」と呼ばれます。しかし実際には、このような再発と、第2、第3のケースによって新たに発生したがん(二次がん)を見分けることは、難しい場合もあります。

また、再発するタイミングについては、治療後2~3年以内に起こることが多く、一般には、遅くても5年以内に再発するといわれています。しかしなかには、乳がんや腎臓がん、甲状腺がんのように、がんが長い間息をひそめていて姿を現さず、10年以上たってから再発する例もあります。これらのがんで再発がこれほど遅い医学的な理由は、まだよくわかっていません。

再発したがんの治療は、多くの場合、非常に困難です。その理由は、再発したがんは、治療時に除去できなかった浸潤や転移で生じたがん細胞から成長しているからです。

このようながん細胞は、浸潤や転移に必要なさまざまな能力、例えば新しい血管をつくり出したり細胞の周囲の膜を溶かしたりする力などを身につけており、以前のがん以上に転移しやすい性質をもっています。

さらに、最初の治療時に抗がん剤を投与されていた場合、がん細胞が薬に対して耐性(抵抗力)を備えてしまい、再発時には抗がん剤が効かないことも少なくありません。つまり、再発したがんは「悪性度」が高くなっているのです。

また、手術が困難な肺や脳などで再発したり、すでに臓器を大きく切除しているため、患者の体がそれ以上の手術に耐えられないなどの場合もあります。

そこで、最初の治療時に、発生場所のがんだけでなく、まわりに浸潤したり別の組織に転移したがん細胞を完全に取り除き、再発を防ぐことがきわめて重要になります。しかし、それは容易なことではありません。

がん患者の約半数は、がんが発見された時点ですでに、リンパ節などに転移していると見られています。しかし転移したがんは多くの場合、微小であるため、発見が困難です。そのため、病理診断によって転移していないと判断された患者に、がんが再発した例も少なくありませんでした。

そこで最近、一部のがんについては遺伝子診断によって、転移の有無を判断する方法が登場しています。リンパ節に転移していないか、切除した組織の断面にがん細胞が残っていないか、腹水にがん細胞が混じっていないか、などです。

このような検査は、各がんに特有の遺伝子の有無を調べるという方法で行われるようになってきました。いまでは、がんの転移や浸潤があるかどうかを調べるために、病理診断に加えて遺伝子検査を行うことは(すべてのがんに対してではないものの)、がんの専門病院ではむしろ標準的な手続きになりつつあります。

一方、再発したがんに対しても、治療の選択肢が少しずつ増えてきています。とりわけ新しい抗がん剤の「分子標的薬」は、正常な細胞をあまり傷つけず、がん細胞のみにはたらきかけ増殖を抑えるなどの作用をもっています。

また、血管新生阻害剤のように、がん細胞そのものではなく、がんに栄養を与えるなどしてがんを助ける正常な細胞に対して作用する薬も登場しました。この種の薬は、がん細胞を悪性化させる新たな遺伝子の変異を誘発することも少ないと見られています。

例えば血管新生阻害薬の一種ベバシズマブ(商品名アバスチン)は、すに再発した大腸がんや乳がん、肺がんなどに対して効果をあげ、治療の選択肢のひとつとなっています。

以上、がんの特徴についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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