23.その他のがん

GIST(消化管間質腫瘍)の抗がん剤治療で使われる薬とは

グリベック(一般名イマチニブ)

GIST(読み方=ジスト)は、消化管にできる悪性腫瘍です。

同じ消化管でも胃や大腸にできる「がん」とは組織形態が異なるので、別のものとして扱われます。

胃がんや大腸がんは内側の粘膜の「上皮組織」から発生しますが、GISTは筋肉から発生するため「肉腫(にくしゅ)」にカテゴリされます。

とても稀ながんで、発症割合は10万人に数人です。胃での発症が一番多く、約7割が胃で発見されます。次に小腸で約2割、稀に大腸や食道で発見されます。

消化器官の内側で発症する「がん」は増悪することで胃の通りや、大腸の通りが悪くなることで圧迫や痛みを感じ、そこで検査を受けることで「がんだ」と分かることが多いです。

いっぽうGISTは消化管の内側での症状が生じにくいため、周囲の臓器や組織を圧迫するくらい大きくなるまで自覚症状がほとんどありません。かなり大きくなってから発見されることが多いのが特徴の1つです。

GISTは通常、手術が第1選択の治療です。腹腔鏡や開腹による外科手術が多く、場合によっては内視鏡と腹腔鏡療法を併用する手術を行うこともあります。

しかし、腹膜播種や肝臓への転移などがあって手術ができない場合には、化学療法(薬を使った治療)が軸となります。

2016年時点で主に使われる薬は次の3つです。

・グリベック(一般名イマチニブ)
・スーテント(一般名スニチニブ)
・スチバーガ(一般名レゴラフェニブ)

グリベック(一般名イマチニブ)とは?

グリベックは、化学療法の第1選択となる薬です。2003年にGISTの治療薬として初めて承認された薬で、遺伝子変異をターゲットとする分子標的薬の先駆けとして登場しました。奏効率も8割近くあり、効果を示す可能性が高いです。

グリベックは、c-kitという遺伝子の変異によって作られるKITタンパクをピンポイントで狙い撃ちにして、腫瘍の増殖を抑えます。とくにc-kit遺伝子の中のエクソン11に変異があるタイプに対しては効果が高く、エクソン9に変異がある場合も、11の遠位より奏効率は落ちますが効果があります。

GISTの症例は、エクソン11と9に変異があるタイプが約8割であることが奏効率が高い理由です。しかし、11と9に変異がない野生型の場合でも、まだ解明されていない変異の中に効果が期待できる可能性があるため、グリベックによる薬物治療は第1選択となります。

最近はグリベックを手術前に使うことによって腫瘍を小さくして手術を可能にする治療や、術後の補助化学療法(手術後に再発予防として行われる化学療法)にも使われています。術前補助化学療法については、標準治療ではありませんが、その有効性が証明されつつあります。

術後の補助化学療法は、現在、再発リスクの高い、高リスクの症例に対して3年間行うのが世界的な標準治療とされています。中リスク、低リスク、超低リスクの症例では、再発率が10%未満であるため、術後は化学療法を行わず定期的に経過観察を行います。

切除不能のGISTの場合は、効果がある限りグリベックの服用を続けます。

グリベックの無増悪生存期間(PFS)の中央値は2年です。100人服用したとすると、2年経過後も50人には効果が続いているということになります。そして、3割の人には5年間効果が続きます。

グリベックに耐性ができてしまい、効き目がなくなってきた場合には、2次治療へと移行します。

・グリベックの治療スケジュール

1日1回、4錠400㎎を連日服用します。吐き気などの副作用を回避するためには、朝昼晩の食事のうち、量を一番しっかり摂れる食事の後に服用することが勧められます。

・グリベックの副作用

吐き気やむくみ、皮疹などの副作用がありますが、通常の化学療法ほど強いものではありません。ただし、眼瞼浮腫(がんけんふしゅ)という目の周りがむくむ症状は、生活上とくにつらいと言われる副作用です。

QOL(生活の質)にかかわる問題なので、ときに短期の休薬期間を設けるなど治療を継続できるように配慮することが求められます。

スーテント(一般名スニチニブ)とは

グリベックに耐性ができてしまった後の2次治療の選択肢として、現在エビデンス(科学的根拠)が認められているのがスーテントです。

腫瘍や血管新生に関与する「プロテインキナーゼ」の活性を阻害するマルチキナーゼ阻害薬と言われる薬です。2008年に保険適応となりました。

・スーテントの治療スケジュール

スーテントもグリベックと同じく経口で服用する薬です。

1日1回4カプセル50㎎を食後に4週間服用して、2週間休薬します。ただし、副作用のためになかなかスケジュール通りに服用できないケースも多いです。その場合は37.5mg連日投与や投与スケジュールを変更するなどの工夫が必要です。

ヨーロッパの臨床試験では、投与量とスケジュールを守った群と医師が調節した群では、後者のほうが長期の治療成績がよかったという報告があります。減量や投与スケジュールのアレンジで治療を長期継続することが重要だといえます。

・スーテントの副作用

グリベックに比べると、副作用が強く、手足症候群、血小板は白血球の減少、高血圧、甲状腺機能低下症、稀に心不全などの重篤な副作用があります。

スチバーガ(一般名レゴラフェニブ)とは

GISTの進行・再発例に対して、2013年に承認されたのがスチバーガです。

病勢が進んでグリベックやスーテントの効果が見られなくなった場合や、副作用のために使用できない場合に行う治療です。スーテント同様、マルチキナーゼ阻害薬と言われる薬です。

3次治療薬が登場したことで、理論的にはさらに約半年間は生存期間を延ばせるようになったといわれています。切除不能のGISTでも、1次治療のグリベックを100人受けたとすると、途中で耐性ができても、2次治療、3次治療と継続すれば、50人は5年間の延命が可能だという計算です。

あくまで統計上の数値ですが切除不能の症例では、胃がんは生存期間約1年、大腸がんでは約2年半というデータですのでそれらと比較すると化学療法の効果は高いといえます。

・スチバーガの治療スケジュール

こちらも経口で服用する薬です。1日1回160㎎を食後に、3週間服用し(2週間の場合もある)、1週間休薬します。スーテントと同様に、患者によって投与方法を考えていくことが重要です。

・スチバーガの副作用

スーテント同様、グリベックに比べると副作用が強く、手足症候群、皮疹、高血圧、下痢、食欲減退、疲労などの副作用が出ます。手足症候群や高血圧は、治療後2カ月以内に出ます。肝機能障害、血小板減少、間質性肺疾患など重篤な副作用が出ることがあるため十分な注意が必要です。

以上、GISTの化学療法についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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