04.大腸・直腸がん

大腸がん手術後の抗がん剤治療は意味があるのか?やるべきなのか?

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エルプラット

あらゆるがんのなかでも、大腸がんは「手術」の比重が強いタイプのがんだといえます。

がんが局所に留まる早期の大腸がんはもちろん、肝臓や肺に転移がある場合も、転移した先の肝臓や肺の病巣を手術して切除するのは大腸がんの大きな特徴です。

これは大腸がんは一般的に進行が遅いということが関係しています。

5年生存率は、ステージ0、Ⅰではそれぞれ90%を超え、ステージⅡでは84.4%、ステージⅢaで77.7%、ステージⅢbでは60.0%と他のがんに比べて高いのは急速に進行することがあまりないからです。

とはいえ、手術で目に見える病巣を切除しても再発・転移は起こります。手術した後の転移・再発の確率を下げる目的で行われるのが、術後補助化学療法(手術後の抗がん剤治療)です。

どんな場合に手術後の抗がん剤治療が行われるのか

手術後の抗がん剤治療が医師から提案されるのは、再発の可能性が高いステージ3(リンパ節に転移がある)が中心です。ステージ3の術後抗がん剤治療は一定の有効性が示されています。

リンパ節転移のないステージ2は、再発の可能性が高いと判断される場合のみ、術後の抗がん剤治療が行われることが多いです。ステージ2でも「再発の可能性が高い」と判断されるのは以下のようなケースです。

・がん細胞の悪性度が高い場合

がん細胞のいわゆる「顔つき」が悪い=分化度の低いがんほど、正常細胞とはかけ離れた形状を示します(がん細胞の形や乱れが激しい)。このような顔つきの悪いがん細胞はハイリスクであり再発、転移の確率が高いといえます。

・脈管侵襲のある場合など

リンパ管または静脈侵襲がある場合、多臓器浸潤、腫瘍によって腸閉塞が起きて、消化管に孔が空いて緊急手術を行った場合などがハイリスク群といえます。

その他、患者の年齢も術後の抗がん剤治療を行うかどうかの判断材料となります。高齢になるほど副作用のリスクが大きくなるので抗がん剤治療を避けるケースが増えます。

なお、実施される場合は手術後4~8週までに開始され、期間は6カ月間が標準とされています。

どんな抗がん剤を使うのか

大腸がんの術後の抗がん剤治療では、推奨される薬がいくつか「大腸癌治療ガイドライン」(医師用2014年版「大腸癌研究会編」)にて定められています。

臨床の現場で最初に効果が認められたのは、5-FUをベースとした抗がん剤治療で、注射薬である5-FUとロイコボリンを併用する方法です。2016年現在でも標準治療とされています。

これと同等の効果を示すのが「ゼローダ療法」「UFT+ロイコボリン療法」「FOLFOX療法」「CapeOX療法」という方法で、合計で5種類の治療法が標準治療になっています。

ステージ2、ステージ3aの場合は経口薬のゼローダ療法かUFT+ユーゼル療法が提案されることが多いです。UFT+ユーゼルは食前食後1時間あけるという複雑な服用ルールがありますが、副作用が少ないので服用しやすいことが理由です。

ステージ3bの場合にはこれよりも効果が強い(もちろん副作用も強い)FOLFOX療法もしくはCapeOX療法が提案されます。

※FOLFOX療法=5FU+ロイコボリン+エルプラットの併用
※apeOX療法=ゼローダ+エルプラットの併用

大腸がんステージ3bではどちらを使うか

FOLFOX療法とCapeOX療法のどちらを選択すべきかというと、効果はほぼ同等といえるため、利便性やライフスタイルが選択のポイントとなります。。

FOLFOX療法は、ロイコボリン、エルプラットの2時間の点滴に、5-FUの注射、さらに5-FUの46時間の持続静注が加わります。これは特殊なポンプを携帯し、持続的に静脈内注射を行う方法です。このポンプをつけるため、鎖骨部の皮下にポンプの取り付け口であるポートを埋め込む手術も必要になります。ポートの造設手術は、大腸がんの切除手術とは別に後日局所麻酔下で行う必要があります。

いっぽうCapeOX療法では、エルプラットの点滴は同じですが注射薬のロイコボリン、5-FUの代わりにゼローダが使われます。ゼローダは経口薬であるため1サイクル(3週間)中、2週間にわたって1日に2回服用します。ポートを作るFOLFOXよりも患者の身体的な負担は小さいといえます。

FOLFOX療法とCapeOX療法のもう1つの違いは、通院回数です。FOLFOX療法は2週間に1回だが、CapeOX療法は3週間に1回になります。

そのため、現在はポンプの携帯の必要のないCapeOX療法を選ぶ方が多いですが、毎日経口薬を服用するのは煩わしいという理由でFOLFOX療法を選択する人もいます。

また、ステージ3でも手術の所見などから4に近いと判断した場合は、術後の抗がん剤治療中に慎重に検査を続け、転移・再発があればすぐに治療法を切り替えます。

エルプラットの副作用が課題

大腸がんの抗がん剤治療で中心的な役割をしているエルプラットには厳しい末梢神経障害が起こる可能性が高いです。重症になると、足の裏が痛くて歩けない、手の平(掌)が痛くて物が持てないなどの状態になることもあります。

エルプラットの補助化学療法を6カ月受けたあと、長期間末梢神経障害が残ってしまうケースがあります。再発のリスクが軽減するとしても足がしびれて歩きにくいなどの障害が残ってしまうのは大きな問題です。

そのため治療中に症状が強く現れた場合は、減量、休薬になります。

こうした副作用対策のため日本を含めて各国でFOLFOX療法やCapeOX療法の標準治療期間である6カ月を3カ月と比較する試験が行われています。

以上、大腸がんの抗がん剤治療についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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