05.肺がん

非小細胞肺がんのステージ3(Ⅲ期)の診断と治療法の選び方とは

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肺がんには様々な治療法があります。ここでは特に非小細胞肺がんのステージ3にスポットを当てて解説します。

なぜかというと、ひとことでステージ3といっても様々なパターンがあり、治療法の選択も複数にわたるからです。

非小細胞肺がんのステージ3とは

非小細胞肺がんのステージ3とはどんな進行状態を指すのか、ということについては病期分類(ステージ分類)の表をみるのがもっとも分かりやすいです。

【非小細胞肺がんの病期分類】

TMN分類 N0 N1 N2 N3
T1 T1A 1A 2A 3A 3B
T1B 1A 2A 3A 3B
T2 T2A 1B 2A 3A 3B
T2B 2A 2B 3A 3B
T3 2B 3A 3A 3B
T4 3A 3A 3B 3B
M1 M1A 4 4 4 4
M1B 4 4 4 4

 

上記の表は、がんのステージ診断をするために用いられる「TMN分類」を元にした分類です。

腫瘍の状態(大きさ)を表す「T因子」、リンパ節転移の状態(転移の有無)を表す「N因子」、遠隔転移の状態(遠隔転移の有無)を表す「M因子」の組み合わせで、病期が分類されます。

ステージ4が最大進行ですが、これは遠隔転移がある場合のみ、ということが分かります。ステージ3は遠隔転移の一歩手前、という状況です。

1.T因子がT4ならステージ3

T因子がT4=主な腫瘍が周辺臓器に浸潤している状態なら、リンパ節転移に関係なくステージ3です。

2.N因子がN2かN3ならステージ3

N因子がN2かN3=腫瘍のある肺と同側の縦隔リンパ節への転移がある(N2)、あるいは反対側の縦隔リンパ節への転移がある(N3)場合は腫瘍の大きさに関係なくステージ3となります。

3.T3N1ならステージ3

T3N1=腫瘍の大きさが7cm以上(T3)かつ肺の入り口近くにある肺門リンパ節に転移がある(N1)の場合はステージ3です。

上記のとおり、ステージ3と診断される状況は大きく3つの特徴に分けられるのです。

ステージ3と一言にいっても、その状態は幅広いといえます。そのため治療の方法も多岐にわたります。

正確に診断するためには、正確な診断が必要

がんの治療法は、ステージごとに異なりますが、特に非小細胞肺がんの場合は同じステージでも様々な特徴があるため、「最初に正確に診断すること」がとても重要になります。
具体的には上記のT因子、N因子、M因子の状況を正確に見極めることがポイントになります。

腫瘍の大きさ=T因子については、画像検査で診断します。使われるのは、1㎜幅で計測できるCTが主流になってきています。

リンパ節転移のN因子については、かつて日本では、CTなどの画像検査だけで診断していました。いっぽうで欧米でのリンパ節転移の診断は、組織を採取してがん細胞の有無を調べる検査が標準的でした。喉の下を2cmほど切開し、そこから縦隔鏡という内視鏡を挿入して、気管支や気管の周囲からリンパ節を採取してきて、顕微鏡でがん細胞の有無を調べる方法です。これには全身麻酔が必要になります。

検査のために全身麻酔をかける、というのは体に与える影響も大きく、日本ではあまり普及しませんでした。

組織を採取しないとなると、画像検査で見立てるしかありませんが、リンパ節が腫れていてもそれが「がんのせい」とは限りません。

とくに喫煙者の中には、リンパ節が炎症で腫れている人が多いのです。そのため「リンパ節転移が疑われる」と診断されたとしても実際には転移がなかった、というケースが出てきます。

逆に、CTで腫れていなくて、PETでも大丈夫そうに見えても、リンパ節転移がないとは言い切れません。リンパ節の組織を採って病理検査をしてみない限り、そこにがんの集積があるかどうかは完全には分からないのです。

そのため、全身麻酔をせず、体にできるだけ負担を与えずにリンパ節の細胞を採取して調べられる(生検する)方法が研究されてきました。

このニーズにこたえたのが「超音波気管支鏡ガイド下針生検」という検査法です。

ebus-tbna

先端に小さな超音波発信装置のついた気管支鏡を入れ、気管の周囲のリンパ節を画像に映し出し、その画像を見ながら気管支鏡から針を刺して、組織を採取することができます。
この「超音波気管支鏡ガイド下針生検」は局所麻酔と鎮静薬を使って行われます。病理検査で正しい診断がつくのは縦隔鏡検査と同じですが、侵襲が少ないのが大きなメリットだといえます。

縦隔鏡検査を行うと癒着が起き、再検査するのは困難ですが、EBUS-TBNAなら繰り返し行うことができるため、治療後の効果判定のために実施することもできます、

「超音波気管支鏡ガイド下針生検」は普及が進んでいますが、どこの病院でも実施できるわけではありません。

とはいえすでに肺がんの治療ガイドラインでは、画像検査の結果、縦隔リンパ節転移が疑われる患者、中枢型肺がん(腫瘍が比較的中心部分にできている肺がん)の患者、N1の領域のリンパ節が腫れている患者には、「超音波気管支鏡ガイド下針生検」を行うことが推奨されています。

リンパ節転移の疑いがある、といわれた場合は、画像検査だけでなく「超音波気管支鏡ガイド下針生検」を受けて正しい診断をすることを心がけることが重要になります。

なお、遠隔転移のM因子に関しては、PETを中心にした画像検査で診断するのが一般的です。骨転移や脳転移が疑われる場合にはMRIを加えて調べることになります。

非小細胞肺がんのステージ3の治療法

非小細胞肺がんのステージ3には、3Aと3Bがあります。まずはステージ3Bの標準的な治療法についてです。

【ステージ3Bの場合】

ステージ3Bは主に2つのケースがあります。主腫瘍がある肺の反対側の縦隔リンパ節に転移がある場合(N3)と、周囲の臓器に浸潤しているT4の場合です。

N3の場合、反対側のリンパ節にも転移しているので局所治療である「手術」は適応外となります。そのため放射線化学療法(放射線+化学療法)もしくは化学療法が単独で行われます。

T4に対しては、浸潤している大血管や隣接臓器を一緒に切除する手術が行われることもあります。浸潤の範囲が広くて手術ができない場合には、N3の場合と同様に放射線化学療法や化学療法が行われるのが標準です。

T4で手術を受けたとき、合併症が起こる率も高いので、手術を行えるかどうかについては、外科医が加わって慎重に判断する必要があります。浸潤の部位や程度、全身状態、呼吸機能なども考慮して、治療方針を決定することになります。

【ステージ3Aの場合】

ステージ3Aには主に「T3N1(腫瘍の大きさが7cm以上(T3)かつ肺の入り口近くにある肺門リンパ節に転移がある(N1)」と「N2(腫瘍のある肺と同側の縦隔リンパ節への転移がある)」の場合があります。

T3N1で比較的多いのは、肺尖部(肺の最も上の部分)のがんです。これに対しては、まず放射線化学療法を先に行い、その結果を見て手術を行うかどうか診断するのが一般的です。
腫瘍が大きいために手術だけでは病巣を取り除けないリスクがあるため、術前に放射線と化学療法を行い、できるだけ腫瘍を小さくすることでがんの残存リスクや手術そのもののダメージを軽減することが狙いです。

いっぽうN2の場合、手術が単独で行われることはほぼありません。

基本的には放射線化学療法が行われます。そこに手術を加えるかどうかについて検討されることはありますが、呼吸機能はどうか、手術で取れやすい腫瘍かどうか、多発か単発かなど、様々な点から考える必要があります。

肺がんの治療ガイドラインでは、「導入療法後に外科切除を行うことを考慮しても良い」となっているが、どのような導入療法が良いかについては記載がありません。この点については多くの臨床試験が進行中で、現時点では確立したエビデンス(科学的根拠)がありません。

非小細胞肺がんステージ3では、正確な診断と治療前の見極めが重要

ひと口にステージ3といっても病状は様々で、治療法の選択は多岐にわたっています。

例えばステージ3でも全身状態が悪い人では、積極的治療はせず、最初から緩和的な治療を行うこともありますし、根治的放射線化学療法、もしくは導入療法後に手術を加えた治療の選択肢もあります。

そういった意味でも、正確な診断ができ、技術や経験値の高い病院で診てもらうことは重要なポイントだといえます。

以上、肺がんのステージ3についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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