26.メンタルケア

がん患者さんと鬱(うつ)、適応障害などへのケア

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がん患者さんと鬱(うつ)、適応障害

抑うつ状態が2週間以上続き、再適応の時期へと移行しない場合は、適応障害やうつ病の疑いがあります。こうした精神疾患は、日常生活に支障をきたすだけでなく、がん治療が予定通り進まないことにもつながります。

そのような場合、医師に相談するとカウンセリングや薬物による治療が提案されることが多いです。

適応障害は、非常に強い精神的苦痛から立ち直れないために、家庭や職場での生活に著しく支障を生じる状態です。心配事が頭から離れなかったり、人と会うのが苦痛で引きこもったりすることもあります。

■身体症状が強く現れたらうつ病の診断が必要

適応障害よりもさらに精神症状が重く、不眠や食欲不振、体重の減少、全身の倦怠感などの身体症状を伴うことが多いのが、うつ病です。何かと自分を責めたり、「死んでしまいたい」などと死への願望を訴えることもあります。

うつ病は、抗がん剤治療による副作用と混同しやすいため、DSM-Ⅳ(米国精神医学会基準)やICD-10(国際疾病分類)などを基準に診断します。

■急性の脳機能不全「せん妄」

がん患者さんによくみられる精神状態の1つに「せん妄」があります。せん妄は、心理的ストレスによる精神疾患ではなく、身体的な異常や薬剤によって脳の機能が低下した状態で、軽い意識障害の一種です。

初期症状は、抑うつ状態に似ていますが、2~3日すると、幻覚や妄想、興奮、認知力の低下などの症状が現れます。大きな手術や新しい薬を使用したあとにみられますが、ほとんどが一時的な症状です。

■適応障害やうつ病への対処法、ケア

<適応障害>
強い精神的苦痛により、日常生活に支障をきたす

・支持的精神療法(カウンセリング)
患者さんの感情を掘り起こさず、心の悩みを専門家が聞き、共感を示すことで安心感を与える方法。何度もくり返すうちに、生きる意欲がよみがえってくる。

<うつ病>
適応障害より精神症状が重く、身体症状を伴うことが多い

・薬物治療
選択的セロトニン再取込み阻害薬や抗つ薬など、副作用が少ない薬を使用する

・安静
十分な休息をとり、脳を休ませる

・認知療法
「自分はもうダメだ」などと思っている患者さんに対し、専門家が話し合いを重ね、歪んだ認知を訂正していく

■うつ病の診断基準DSM-Ⅳ

①毎日のように気分が沈む
②物事に興味がわかない。いつもは楽しめることが楽しめない
③食欲がない。食べてもおいしくない。体重が減る
④寝つけない。途中で目が覚めて眠れない。朝早くに目が覚める
⑤頭の回転が鈍くなった感じがあり、考えが進まない。イライラして落ち着かない
⑥いつも疲れを感じている。気力が出てこない
⑦自分には価値がないと感じる。現状は自分が悪いのだと感じる
⑧集中力がないため、新聞やテレビなども見られなくなる。決断ができなくなり、考え込む
⑨もう生きていられないと考える。くり返し自殺のことを考える

※上記の①あるいは②のどちらかの症状があり、5項目以上が2週間以上続く場合、うつ病と診断します。

■日常できるケア「ストレス軽減の工夫をする」

心理的ストレスを長い間抱え込まないためには、リラックスできる環境を整えたり、親しい人に悩みや悲しみを打ち明けて、気持ちを楽にするなどして対処しましょう。むやみに自分を責めたりせず、過去につらい経験をしたとき、どのようにして立ち直ったかなどを思い出し、実践してみるのもよいでしょう。

また、「がん」という言葉の印象で、不安になったり落ち込んだりすることも少なくありません。その場合、がんに対する正しい知識を増やすと、ストレスを軽減できます。

■正しい情報の墓本は担当医からの病状説明

情報不足や情報の氾濫による混乱を避けるためにも、担当医から病状についての十分な説明を受け、わからないことは納得できるまで質問しましょう。

その際、家族や友人など身近な人が同席すれば、患者さんの不安感も軽くなり、理解も深まるでしょう。

また、がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターなどでも情報を得ることができます。

以上、がんに伴うメンタルケアについての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。患者として、家族として必要な知識はこちらのガイドブックにまとめました。
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