25.抗がん剤・分子標的薬

がん治療薬の新薬の開発と承認~実際に使われるようになるまでの流れ~

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がん治療薬の新薬の開発と承認

がんに有効な薬の開発によって、新しい薬が次々と誕生しています。しかし、1つの新薬が使えるようになるまでには長い歳月と費用がかかります。

試験管や動物を用いた基礎研究から製造承認(その薬を製造してよいと国から認められること)を経て医療現場で使えるようになるまで、かかる期間は10年以上、1剤あたりの開発費用は200億円近くにものぼるとされます。

従来の抗がん剤の開発は、植物や微生物、化学物質など多くの資源の中から、将来、薬として使える可能性がある物質や成分を探し出すことから始まります。

いっぽう、最近とくに開発が盛んな分子標的薬は、がん細胞にはあるが、正常の細胞にはほとんど存在しない遺伝子を見つけ、それががんの増殖やがん化に関わっているかどうかを調べる作業が行われます。

こうしたことが可能になった背景には、「ヒトゲノムプロジェクト」によって、遺伝情報が解明されてきたことが大きいといえます。

新しい薬の候補が見つかると、動物や人の培養細胞を用いて安全性や有効性について調べます。ただし、この段階で安全性や有効性が確認されても、人への効果は未知数です。そこで、実際に人に使っても安全で効果があるかどうかを調べる臨床試験が行われます。

臨床試験とは、ある病気にかかった人たちを対象に、薬の有効性や副作用などを評価するためのもので、臨床研究として行われる臨床試験と、新薬の承認や適応拡大のために行われる臨床試験とに分かれています。後者を「治験」と呼びます。

治験は新薬を承認するための日本特有のシステムで、これまでは製薬企業が申請に必要なデータを集めるために、病院や医院に依頼して進めていましたが、薬事法の改正で医師が主導して治験を進めることができるようになりました。

治験は第1相試験から第3相試験まで3ステップあり、治験を受けることに同意した人が被験者となります。この治験で新薬の安全性や有効性などが証明されると、製薬企業は厚生労働省に治験薬の製造承認を申請します。

ここで何段階かの審査を受け、それにパスすると初めて、健康保険がきく「薬」として使えるようになります。「新薬が承認された」というのは、このことを指します。

日本は海外に比べて、新薬の開発から治験、承認までに長い時間がかかるといわれています。ただ、抗がん剤では第3相試験をしないで承認申請を行うこともできるようになるなど、以前よりは申請までの時間が短縮されつつあるようです。

■海外の薬を使えるのか

がんの治療で苦労している患者さんの中には、海外で有効性が認められている未承認薬を使いたいと思っている人もいます。

そう希望するなら、臨床試験や治験に参加するのも1つの方法です。どんな治験があるかは、インターネット上にも情報が載っていますが、それより担当医に相談するのが1番の近道です。受けたい治験がその施設で行われていない場合は、実施施設を紹介してもらいましょう。

治験に参加するためには、決められた条件(病気の種類や進行度、持病や合併症など)を満たさなければなりません。

また条件が合ったとしても、治療方針が厳格に決められていたり、検査が頻繁になったりするため、通常の治療よりも手間がかかります。その点も含めて納得した上で受けることが大切です。気になる費用についてですが、治験の場合は製薬企業が薬代や検査費用を負担してくれます。

さて、すでに海外では有効な薬として使われているにもかかわらず、日本ではまだ承認されていない薬が少なくありません。こうした承認のずれを「ドラッグラグ」といいます。
一般的には、新薬が開発される、あるいは別の病気への有効性が認められそうな場合、製薬企業は治験を行って、そのデータを国に申請します。国はその薬の有効性や安全性などを審査して、問題がなければ治療薬として承認します。

この過程を経て、製薬企業は販売を始めますが、審査から承認するまでの期間が日本では他国より長く、それがドラッグラグを生んでいます。

ちなみに、薬の審査・承認を行う厚生労働省の2009年の資料では、世界で初めてある薬が販売されてから、日本で販売されるまでにかかる時間は約3.9年。フランスは2.5年、アメリカは1.4年なので、諸外国に比べて遅いことがわかります。

また、新薬の承認にはどんな疾患や症状に使えるかという「適応」が定められています。例えば、大腸がんで承認された抗がん剤は、大腸がんにしか使えません。胃がんに使おうとする場合は「未承認薬」ということになり、健康保険は使えません。これがドラッグラグのもう1つの側面、適応外の問題です。

ドラッグラグの問題については厚生労働省も深刻にとらえ、申請や審査までの時間を早める取り組みを開始しています。その1つが「公知申請」という制度です。

これは、欧米では使われているけれど、国内では承認されていなかったり適応外だったりする薬のうち、学会などから要望が出て厚生労働省の検討会議で医療上の必要性を評価されたものについては、承認を待たずに保険適用されるという制度で、これによりがんの分野では、ゲムシタビンやカペジタビンなど、十数種類の抗がん剤で適応が拡大されています。

以上、がん治療薬についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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