25.抗がん剤・分子標的薬

抗がん剤の副作用:吐き気・おう吐、下痢、便秘への対策

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抗がん剤の副作用:吐き気・おう吐、下痢、便秘

抗がん剤治療で患者さんがイメージする副作用の1つが、吐き気やおう吐です。ただ、近年では有効な制吐剤が相次いで登場し、以前より症状は軽減されてきています。

■消化管の粘膜の障害や神経刺激などにより生じる

吐き気・おう吐や下痢など消化管の症状は、「消化器毒性」ともいって、抗がん剤では起こりやすい副作用の1つです。消化管の粘膜が抗がん剤によってダメージを受けたり、神経が刺激されたりすることで、生じると考えられています。

いずれの症状も、重かったり、長引いたりするとQOL(生活の質)を大きく低下させますし、食べ物が栄養として体に吸収されにくくなって体力不足や栄養不足にもつながり、薬物療法の継続が困難となることもあります。

ただ、いまは消化器症状に対する副作用対策も進んでおり、制吐剤(吐き気止め)や止痢薬(下痢止め)をうまく使うことで、以前よりも症状は改善され、治療が困難となるようなケースは減っています。

便秘も長引くと患者さんにとって苦痛となります。便秘対策ではセルフケアも大事ですが、抗がん剤の副作用の場合は、それだけでは改善されないことが多いようです。そのため、必要に応じて緩下剤(便秘薬)で便通を整えていきます。

■吐き気・おう吐は3タイプ 制吐剤の有効性もタイプによる

吐き気・おう吐は比較的さまざまな抗がん剤で見られる副作用で、脳内にあるおう吐中枢が刺激されて起こります。女性や若い人、過去に薬で重いおう吐を経験した人などでとくに生じやすいとされています。

吐き気・おう吐は起こる時期によって3種類に分けられます。投与後24時間以内に現れる「急性の吐き気・おう吐」、2~7日後に現れる「遅発性の吐き気・おう吐」、投与前から気持ちが悪くなる「予測性のおう吐」です。

このうち、最も頻繁で、程度も重いのは急性の吐き気・おう吐で、これを経験した人は遅発性の吐き気・おう吐も起こしやすいようです。予測性のおう吐は、副作用への不安から生じ、以前に、吐き気やおう吐に苦しんだ経験がある人に起こりやすいとされます。

こうした吐き気・おう吐に対しては、おう吐中枢へのシグナル伝達を邪魔する作用のある制吐剤「5-HT3受容体拮抗薬(グラニセトロンなど)」にステロイド薬を併用した治療が主体で、必要に応じて抗不安薬などを併用します。

ただ、この治療は急性の約80%以上に有効ですが、遅発性の吐き気・おう吐では、やや効果が落ちることが分かっています。

そんな遅発性の吐き気・おう吐に対しては、2010年に登場した2種類の制吐剤が有効です。1つは経口の「NK1受容体拮抗薬(アプレピタント)」で、もう1つは、入院治療時に注射する「5-HT3受容体拮抗薬(パロノセトロン)」です。予測性には制吐剤は効きにくいため、抗不安薬などによる治療が中心となります。

■下痢や便秘にも薬で対応 症状に合わせて薬を選択

抗がん剤治療が始まってから1~2週間は下痢をしやすくなります。そのなかでも、時期によって「早発性の下痢」と「遅発性の下痢」に分けられます。

早発性の下痢は、抗がん剤の投与後24時間以内に始まるタイプで、抗がん剤の成分の刺激が腸の運動を活発にすることで起こるとされています。それ以降の遅発性の下痢は、抗がん剤で腸粘膜の細胞がダメージを受けるために起こります。遅発性の下痢が長引くと脱水や体液成分のバランスの異常を招くので、必要に応じて水分や電解質を補給する輸液が行われます。

止痢薬には、腸管運動抑制薬(アヘンアルカロイド関連薬や抗コリン薬など)や腸の粘膜を保護する薬(タンニン製剤やビスマス製剤など)などがあります。排便回数や腹痛などの症状に応じて適切な薬が選ばれ、状態を見ながら量が調節されます。

腸内細菌のバランスを整える整腸剤も併用し、腹痛には非ステロイド性消炎鎮痛薬が用いられます。強い下痢が起こりやすいイリノテカンでは、すぐに対応できるように、あらかじめ止痢薬が処方されることが多いようです。こうした対策をとっても下痢が止まらないときは、抗がん剤の投与量を減らすことも検討されます。

いっぽう、便秘は多くの人に起こる代表的な副作用の1つです。原因はさまざまで、抗がん剤や制吐剤などの薬が腸の運動を調節している自律神経に作用して腸の運動を低下させる場合、吐き気・おう吐などで食事の内容や量が変わって便が出にくい場合、不安感など心理的要因が関わっている場合などが考えられます。実際には、これらが組み合わさっているケースが多く見られます。

対策では便秘のタイプや程度に応じて緩下剤が用いられます。便が固い場合は、水分が吸収されて便量が少なくなっていることが多いので、便の水分を保つことで量を増やし、排泄されやすくする薬(酸化マグネシウムなど)が使われます。

また、腸の運動が低下している場合は、大腸を刺激する薬(大腸刺激性下剤)が用いられます。大腸の下のほうに便がたまっているときは、経口ではなく、坐薬や涜腸で対応することもあります。

もちろん、薬だけに頼るのではなく、食物繊維の多い食事をとったり、積極的に体を動かしたりするなど、日常的な便秘対策も必要です。2回目以降の治療では、前回の症状を参考に、予防的に緩下剤を処方することもあります。

■吐き気・おう吐に使われる薬

・5-HT3受容体拮抗薬

トロピセトロン(製品名ナボパン)、グラニセトロン(製品名カイトリル)、パロノセトロン(製品名アロキシ)、オンダンセトロン(製品名ゾフラン)、アザセトロン(製品名セロトーン)、ラモセトロン(製品名ナゼア)、インジセトロン(製品名シンセロン)

・ステロイド薬

デキサメタゾン(製品名デカドロン)、プレドニゾロン(製品名ソルメドロール)

・ドパミン拮抗薬

メトクロプラミド(製品名プリンペラン)、ドンペリドン(製品名ナウゼリン)

・ベンゾジアゼピン系抗不安薬

ロラゼパム(製品名ワイパックス)、ジアゼパム(製品名セルシン、ホリゾン)、アルプラゾラム(製品名コンスタン、ソラナックス)

・NK1受容体拮抗薬

アプレピタント(製品名イメンド)

以上、抗がん剤の副作用についての解説でした。

私がサポートしている患者さんでもハーセプチンなど分子標的薬を使っている方は多くいます。従来の抗がん剤に比べると効果を発揮しやすく、副作用は少ないですが、それでも「がんを治す薬」ではありません。

「どのようにして乳がんと闘うのか」については総合的に考えなくてはなりません。詳しくはこちらのガイドブックで。
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