07.乳がん

乳がんの薬物療法(化学療法)の方法とガイドライン

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乳がんの薬物療法(化学療法)の方法

2010年以降、の乳がん患者数はおよそ18万人を超えて推移しています。30年間で5倍にも増え、女性の罹患率のトップとなっています。

乳がんの薬物療法(化学療法)は長い歴史があり、様々な薬が使われてきました。現在では事前にがんの性質を調べて、効く薬を選択して使う方法が一般的になりました。

■乳がんのタイプを調べてから薬を選ぶのが基本

がんの薬物治療では、その人のがんの性質に合わせた薬の選択ができるようになりつつありますが、とくにその傾向が強いのが乳がんです。

2年に1度開催される乳がんの国際会議「ザンクトガレン(St.Gallen)国際乳がん学会」では、毎回、治療方針や有効性などについて話し合われていて、日本の乳がん治療にも大きな影響を及ぼしています。

とくに2009年には、乳がんをホルモン受容体やHER2の発現状態から、4つのタイプ⇒「ルミナルA型」「ルミナルB型」「HER2型」「基底細胞様型(トリプルネガティブ)」に分ける「サブタイプ分類」が提唱され、これを契機に、乳がんの個別化医療が進みました。

実際、薬物療法では、ホルモン感受性が陽性か陰性か、HER2が陽性か陰性かなどによって、治療方針が大きく変わります。

また、新薬も次々と登場しています。チュブリン阻害薬のエリブリンは日本で生まれた抗がん剤で、転移・再発乳がんの治療薬として期待されています。

このほかにも、抗エストロゲン剤のフルベストラントや、大腸がんや肺がんに適応があったベバシズマブが使えるようになりました。

■乳がんの治療は第一優先が手術、次に薬を使った治療をどう使うかが検討される。

乳がんの進行度、いわゆる病期・ステージは、しこりの大きさ、わきの下のリンパ節転移の有無や癒着(組織相互や周囲の組織とくっつくこと)、骨や肺などほかの臓器に遠隔転移があるかどうかなどで決まり、0~Ⅳ期に分類されています。

早期がんといわれるのは0期の非浸潤がんで、Ⅰ期以降は浸潤がんになります。乳がんでは局所療法である手術や放射線療法と、全身療法である薬物療法の、「がん三大治療」を駆使して、対処することにないります。その方法は病期により異なります。

【非浸潤がん、Ⅰ期の浸潤がん】

がんが局所にとどまっている可能性が高いことから、局所療法だけで終了となることがほとんどでう。その場合、まずはがんとその周辺を切除して乳房を残す乳房温存手術をし、それから術後放射線療法をします。

乳房温存手術と放射線療法はセットになっていますが、これは組み合わせることで再発率を低くできるためです。

【しこりが2cm以上の浸潤がん】

基本的には手術を行いますが、しこりの大きさによって手術の形式が変わります。まず、しこりが3cm以内なら、乳房温存手術と術後放射線療法をします。

しこりが3cm以上の場合や、わきの下のリンパ節転移が疑われる場合などでは、乳房切除術(全摘)が提案されますが、術前薬物療法で3cm以下になれば、乳房温存手術と術後放射線療法が選択されることもあります。

乳房温存手術、乳房切除術のどちらにしても、手術後は薬物療法が行われるのが一般的です。どんな薬を選択するのかについては上記の「サブタイプ分類」に基づきます。

これは、手術で採取した組織を用いた病理検査で、患者さんのがんの性質をいくつかに分類し、そのタイプ(サブタイプ)に沿って薬物療法をするというものです。

手術の際に行うリンパ節切除で転移しているリンパ節の数が4個以上あった場合は、薬物療法に加えて胸壁への放射線照射を試みます。

【遠隔転移がある場合、再発した場合】

事前の検査で、遠隔転移が見つかった場合は、局所療法である手術が軸とはならず、全身に対する薬物療法を行うのが一般的です。

いっぽう再発の場合は、手術をした場所の近くにがんが見つかっていれば(局所再発)、可能な限り再手術を検討し、手術後は術後薬物療法と、追加可能な範囲で放射線療法をするのが一般的です。手術ができない進行がんや、遠隔転移があるがんでは、薬物療法のみの治療となります。

こうしたときも、サブタイプ分類を参考に、使う薬を決めていきます。また、ホルモン療法をする場合は閉経の前後によって使う薬が違ってきます。

■乳がんの病期と標準治療

・0期
しこりが乳管内にとどまっている(非浸潤がん)
標準治療:手術、術後放射線療法

・Ⅰ期
しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節には転移していない
標準治療:手術、術後放射線療法

・Ⅱa期
しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節への転移の疑いがある。あるいは、しこりの大きさが2~5cmで、わきの下のリンパ節への転移がない
標準治療:術前薬物療法、手術、術後薬物療法

・Ⅱb期
しこりの大きさが2~5cmで、わきの下のリンパ節への転移の疑いがある
標準治療:術前薬物療法、手術、術後薬物療法

・Ⅲa期
しこりの大きさが5cm以下で、わきの下のリンパ節に転移があり、リンパ節が相互にあるいは周囲の組織にくっついているか、胸骨の近くのリンパ節に転移がある
しこりの大きさが5cmより大きく、わきの下のリンパ節に転移があり、リンパ節が相互にあるいは周囲の組織にくっついている(癒着)可能性があるか、胸骨の近くのリンパ節に転移がある
標準治療:術前薬物療法、手術、術後薬物療法

・Ⅲb期
がんが胸壁に及んでいる。あるいは、皮膚にがんが出ている。がんの大きさやわきの下のリンパ節への転移は問わない
標準治療:術前薬物療法、手術、術後薬物療法

・Ⅲc期
わきの下のリンパ節と、胸骨の内側のリンパ節の両方に転移がある。あるいは鎖骨にあるリンパ節に転移がある。がんの大きさは問わない
標準治療:術前薬物療法、手術、術後薬物療法

・Ⅳ期
遠隔転移がある
標準治療:薬物療法

以上、乳がんの薬物療法についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。患者として、家族として必要な知識はこちらのガイドブックにまとめました。
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