10.肝臓がん

肝臓がんの放射線治療が使える人と使えない人

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陽子線治療

がんの三大治療法の1つ、放射線治療についても肝臓がんへの適応は進んでいます。

放射線を肝臓の広い範囲に照射すると、肝臓に重い障害を与えるおそれがありますが、腫瘍とその周辺のみに正確に照射すれば、肝臓の障害は軽くなります。

したがって、正確な照射さえ可能なら、基本的にはほとんどの患者が、この治療法の対象になり得ます。ただし現状では、肝臓がんに対する放射線治療は、まだ実験的治療の側面が少なくありません。そのため一般には、手術や熱凝固法などの局所的治療によって、治療ができる場合は、それらの治療法が優先されます。

また、放射線治療のうち粒子線治療や陽子線治療は、治療を行うことのできる病院がまだ限られています。

■肝臓がんで放射線治療が適応とされるケース

手術や熱凝固法などの局所的治療では、治療が困難な次のような症例が、おもに放射線治療の対象となります。

1.全身状態が悪いために手術を行うことができない。また、治療時に強い痛みに耐えることが難しいため、熱凝固法やエタノール注入療法ができない。

2.肝臓の表面や肝門部(おもな血管や胆管が肝臓に入る領域)に腫瘍があるため、熱凝固法が難しい。

3.出血しやすい状態であるため、手術や熱凝固法など、多量の出血を起こすおそれのある治療が受けられない。

4.肝臓の障害度が高いため、他の積極的な治療を受けられない(肝障害度がCでも、放射線治療であれば可能なこともあります)。

5.門脈が腫瘍によってふさがれている(腫瘍が門脈をふさいでいるときには、その部分のみに対して放射線治療を行うこともあります)。

6.がんが再発、あるいは新たに完治を目指して治療を行うときには、腫瘍の大きさや肝臓の障害度などに制限が生じます。いまのところ統一的基準はなく、病院ごとに制限を設けていますが、それほど大きな違いはないと考えられます。

■以下は放射線治療のうち、陽子線治療が適応となるケース
(施設によって基準は異なります)

1.直径10センチ以内の腫瘍が1個のみ
これは病院の設備によって異なり、より小さい腫瘍のみが対象となる場合もあります。大きさが5センチくらいまでの腫瘍が治療には適しています。

2.画像診断では門脈にがんが存在しない(浸潤していない)

3.肝臓の障害度が比較的軽い
具体的には、肝臓の障害度がAかBであり、腹水がなく、意識にも異常がないときです。

4.他の治療を行っていない
ただし、塞栓術の効果が十分でないときや、手術後の再発時(手術で治療した部分以外に発生)にも、治療は可能。

5.腫瘍の境界と消化管(胃や腸)が2センチ以上離れている
腫瘍と消化管の位置が近いと、放射線によって胃や腸が傷つき、炎症や潰瘍を起こす可能性があります。

■肝臓がんで放射線治療が適応とならないケース

以下は、一般的に放射線治療を受けられない症例です。病院によっては、さらに別の条件を課していることもあります。

1.放射線治療をすでに受けたことがある
腹部に放射線治療をすでに受けたことのある患者は、放射線障害が生じる可能性があるため、治療を受けることができません。

2.放射線治療の対象となる腫瘍以外に、治療が困難な腫瘍が存在する
放射線治療を受けても、副作用を起こすだけで、延命につながらない可能性が高いため、治療を受けられません。

3.患者の全身状態が非常に悪い
患者の行動状況(パフォーマンス・ステータス)が3以上のときには、この治療は禁じられます。具体的には、目を覚ましている時間の半分以上を横になるか座って過ごし、身のまわりのことをすべてひとりではできない状態のときです。

4.予後が1年以内と予想される
がんあるいは肝硬変がかなり進行しているときには、治療を受けても余命が延びる可能性はあまりありません。治療しても余命が1年以内と予想されるときには、治療によってかえって生活の質(QOL)を低下させる危険があるため、積極的沿療は行いません。

5.腫瘍が非常に大きい
腫瘍が大きく、治療するには肝臓の体積の半分以上に照射しなくてはならないときには、肝機能障害を起こす可能性が高いので、放射線治療を行えない場合があります。

以上、肝臓がんの放射線治療についての解説でした。

ステージ3、4と進行してくると、病院でできる治療法の選択肢は少なくなります。しかし、病院で受ける治療法は、がんと闘うための手段の一部にすぎません。

肝臓がんを克服するためには、病院での治療より重要なことがあります。詳しくはこちらのガイドブックにまとめました。
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