10.肝臓がん

マイクロ波凝固療法、ラジオ波焼灼療法の効果と再発率、生存率

更新日:

hospi77422

肝臓がんにおける熱凝固療法(マイクロ波凝固療法、ラジオ波焼灼療法)の特徴について、以下にまとめます。

■長所(メリット)

1.侵襲度が小さい

熱凝固療法は、侵襲度の小さい、つまり体が傷つく度合いの少ない治療法です。そのため、全身の状態がよくない、あるいは肝臓の機能が低下している患者でも治療を受けることが可能です。とりわけラジオ波焼灼療法は、マイクロ波凝固療法に比べて治療回数が少ないため、人院期間も短くてすみます。

2.腫瘍の性質を問わない

熱凝固療法は、エタノール注入療法や塞栓療法とは異なり、被膜の有無や血流の豊富さなどの腫瘍の性質を問いません。そして、ほぼ確実に、一定の範囲を壊死させることができます。これに対して、同じ局所の治療法であるエタノール注入療法は、治療によって壊死する範囲がどのくらいかを、あらかじめ予想することが困難です。

3.局所の再発率が低い

熱凝固療法は、治療した部分からがんが仰発する確率(局所再発率)が低い治療法とされています。病院によって異なるものの、マイクロ波凝固療法の局所再発率は、2センチ以下ではおおむね10パーセント以下であり、5パーセント以下という報告も少なくありません。これは肝切除とほぼ同等の治療成績です。

再発はおもに、治療時に腫瘍の周囲まで十分に凝固できなかったときに起こると見られています。これは、腫瘍の近くに血管や胆管などが存在して治療が困難だったときや、治療効果を厳密に判定しなかったことが原因と考えられます。

■問題点(デメリット、リスク)

熱凝固療法は、最近になって急速に普及してきた治療法です。そのため、長所ばかりが強調され、問題点が忘れられるきらいがあります。以下の問題があることを十分に承知し、不安な点は医師によく尋ねたほうがよいでしょう。

1.腫瘍の位置によっては治療が困難

腫瘍が肝臓の表面にある、他の臓器が近くにある、大きな血管や胆管が近くにある場合などには、熱凝固療法で治療を行うと、深刻な副作用が生じる可能性があります。ただしこれらの場合でも、腹腔鏡下や開腹下で治療を行えば、危険が少なくてすみます。

2.治療が十分でない場合がある

太い血管が近くにあるとき、組織が血管で冷却されるため、腫瘍が十分に凝固しないことがあります。とくにラジオ波焼灼療法は温度上昇が緩やかなので、腫瘍内の中程度の血管が凝固しないこともあります。

しかし最近では、あらかじめ血管をふさいで冷却効果を抑える手法が開発されました。この手法なら、血管の近くの腫瘍でも、確実に凝固させることができます。

3.大きな腫瘍が治療できない

マイクロ波凝固療法では、1回の治療で凝固できる範囲は、直径2センチ程度です。そのため、2センチ以上の腫瘍は針を刺す場所を変えて凝固を行うなどしないと、完全にがん細胞を殺すことができません。

ところが、いったん凝固を始めると、腫瘍から気体が発生するために、超音波では腫瘍を観察することが難しくなります。そのため、2センチ以上の腫瘍は、あらかじめ針の位置をよく考えて刺すなど、治療時に工夫が必要になります。

また、5センチ以上の大きな腫瘍を治療しようとすると、熱のために腫瘍内の圧力が高くなり、腫瘍の中からがん細胞が外にとび出すおそれがあります。

ただし、ラジオ波焼灼療法は、直径3センチほどの範囲を凝固させることができるため、治療回数はマイクロ波凝固療法より少なくてすみます。また、電極針の温度をコントロールできるため、腫瘍の内容物がとび出す危険も、マイクロ波凝固療法よりは少ないといえます。

4.痛みが強い

熱凝固療法を経皮的に行う場合、同じ局所の治療法であるエタノール注入療法と同様、痛みがきわめて強いことがあります。痛みは個人差が大きく、あらかじめ痛みの強さを予測するのは困難です。

ただし、腫瘍の位置によっては、治療前に強い痛みが予測される場合もあるので、そのときは全身麻酔や硬膜外麻酔などを行ってから治療する例もあります。

5.治療水準が異なる

熱凝固療法は一般に、病院ごとの治療水準にそれほど大きな違いはない手法とされます。たしかに治療成績にはそれほど大きな差はありません。しかし、その他の面をみると、治療に熟練している医師とそうでない医師では、副作用の深刻度や治療回数などに違いがあるようです。

熟練した医師であれば、胆管や血管の近くの腫瘍でも、それほど危険はなく治療することができます。また、経皮的手法では、太い針を使うために体の組織の抵抗が大きく、目的の場所から針先がずれることがありますが、慣れた医師は正確に刺すことができます。

さらに、どんな穿刺ルートを選択するか、患者をどのような姿勢で治療するかなども、医師によって違いがあります。こうしたことから、医師に熱凝固療法の治療経験がどのくらいあるかを確認したほうがよいでしょう。

とりわけ、熱凝固療法では難しいとされる部位の腫瘍を経皮的手法で行う場合には、これまでに何回くらいそのような例を治療したことがあるか、腹腔鏡下や開腹下で治療を行うことはできないのかなどを尋ねて、自ら選択の判断を行うことが必要です。

■再発率、生存率

マイクロ波凝固療法もラジオ波焼灼療法も治療の歴史が浅いため、いまのところ患者の追跡データが十分ではありません。日本肝癌研究会の最近の報告によれば、マイクロ波凝固療法のみの治療の場合、2年生存率は約80パーセント、4年生存率は約70パーセントとされています。

これは、かなり高い治療成績といえますが、マイクロ波凝固療法は、比較的早期のがんに対して行われることが多いため、これらの数値が、必ずしも治療法がすぐれていることを示すわけではありません。

しかし、マイクロ波凝固療法は、2センチ以下の腫瘍に対しては、局所再発率が2~8パーセントと非常に低いことが報告されています。これは肝切除に匹敵する成績です。また、病院による治療成績のばらつきも少ないといえます。

ラジオ波焼灼療法は日本では導入されて期間が短いため、再発率や生存率についてのまとまった報告がまだありません。しかし、マイクロ波凝固療法と同等と考えられています。

以上、肝臓がんの治療についての解説でした。

ステージ3、4と進行してくると、病院でできる治療法の選択肢は少なくなります。しかし、病院で受ける治療法は、がんと闘うための手段の一部にすぎません。

肝臓がんを克服するためには、病院での治療より重要なことがあります。詳しくはこちらのガイドブックにまとめました。
がん治療で「絶対に」やってはいけないことは?

興味がある方は読んでみてください。

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本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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