10.肝臓がん

肝臓がんマイクロ波凝固療法の手順

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肝臓がんマイクロ波凝固療法

■経皮的マイクロ波凝固療法

マイクロ波凝固療法では太い針を使用します。そこで、確実にこの針を腫瘍に刺せるかどうか確認するため、はじめに試験的に細い針を腹部に刺します(この試験穿刺を行わない病院もあります)。

まず医師は、超音波で腫瘍の位置を確認し、患者に息を止めるように指示して、針を刺します。針は腫瘍の手前で止めて抜きます。これは不用意に腫瘍を刺して、がん細胞を周囲にばらまかないようにするためです。

画像診断のみでは、悪性(がん)と確定できなかった腫瘍に対しては、この段階で確定診断のためにふたたび針を刺して、生検(採取した腫瘍組織の検査)を行うことがあります。その後、治療を開始します。

まず、針を刺す部分を小さく切開します。ついで、患者に息を止めるように指示し、試験針のときと同じ手順で、電極針を腹部から刺して、腫瘍の目的の位置まで到達させます。ここで患者に、浅く息をするように指示します。

次に、皮膚のヤケドを防ぐため、電極針を刺した部分のまわりの皮膚を、湿らせたガーゼなどで冷やします。医師は、超音波の画像を見ながら、マイクロ波の照射を始めます。マイクロ波の装置によって照射時間は異なりますが、1回の照射は通常1~2分間です。

しかし最新の装置では、5分あるいはそれ以上の照射を行うこともあります。この間、医師は組織と電極針がくっつかないように、針を手元でつねに回転させます。

照射が終わったら、組織と針が容易に離れるように、解離電流(直流電流)を流します。そして、電極針をずらしてふたたび照射します。

腫瘍の大きさや形によっては、針を皮膚の外まで完全に引き抜く必要があります。針を引き抜くときにも、患者は息を止めます。他方、医師は針を刺したところから出血しないように、針を刺した経路にも短時間マイクロ波を照射して凝固させながら、針を引き抜きます。そして、超音波の画像を確認しながら、ふたたび同じ操作をくり返します。超音波の画像をもとに、腫瘍のまわりも含めて組織が凝固したと推測できれば、そこで治療を終えます。

■腹腔鏡下マイクロ波凝固療法

麻酔が効いたら、腹の内部の空間を広くする処置を行います。気体で腹をふくらませる気腹法では、ふつう臍の少し上をメスで小さく切り開き、そこから二酸化炭素を注入するための針(気腹針)を差し込みます。

腹腔に針が差し込めたことが確認できたら、二酸化炭素を注入します。気体で腹部が十分にふくらんだら、腹腔鏡を入れる位置を決めます。

つり下げ法では、腹の下の皮膚に針金を通すか、腹の内部に風船のようなもの(バルーン)などを入れて腹壁を支え、内部に空間をつくります。

腹内の空間が広がったら、腹腔鏡を挿入する場所(2~3力所)をそれぞれ1センチほど切開し、プラスチックまたは金属の短い筒(トラカール)を挿入します。腹腔鏡は、これらの卜ラカール内を通して操作することになります。

治療の前に、超音波プローブや腹腔鏡スコープで、腫瘍の位置およびまわりの血管や胆管の配置を再確認します。この段階で新たに腫瘤が見つかったときには、生検を行い、がんとわかったら治療します。

がんかどうかがはっきりしないときでも、疑わしいときには治療を行います。体外から侵襲のない検査(超音波診断など)をふたたび行っても、腫瘤が見つからない例があるからです。

治療では、トラカールを通して電極針を腹腔内に入れ、肝臓の表面から腫瘍まで突き刺します。電極針は、経皮的手法で使うものより細い場合があります(その場合は1回の照射による凝固範囲も狭い)。

ここで、皮膚に熱傷を負わせないように、トラカールのまわりの皮膚を冷却しはじめます。また、腫瘍の近くに胆管があるときには、胆管を冷やすこともあります。

腫瘍が大きいときには、腫瘍の周縁部から凝固を開始します。というのも、凝固中には組織から気体が発生し、それが超音波の画像に映るからです。腫瘍の内側から治療を始めると、こうして発生した気体が超音波画像を乱し、どこが腫瘍の境界かわかりにくくなってしまいます。

近年では、複数の電極針をあらかじめ腫瘍に刺す手法も行われています。その後、これらの電極針を順次マイクロ波発生装置につなぎ、マイクロ波を照射していきます。この手法により、がん細胞が治療されずに残る危険が少なくなります。

治療が終わったら、電極針を肝臓の表面に近いところまで引き抜き、出血予防のためにマイクロ波を照射して傷口を凝固させます。その後、針を完全に引き抜きます。

■開腹下マイクロ波凝固療法

全身麻酔が効いたら、胸または腹を切開します。最近では5~10センチほどの小さな切開で治療を行う例が多くなっています。

治療の前に、肝臓に直接、超音波装置をあてて(術中超音波検査)、腫瘍とそのまわりの血管や胆管の位置を確認します。これらが腫瘍の近くにある場合は、内部の血液や胆汁が凝固するのを防ぐため、胆管や血管を冷却することもあります。

ついで、肝臓の表面から電極針を刺し、マイクロ波凝固を行います。治療の方法は、腹腔鏡下治療と基本的に同じです。

腫瘍の大きさや位置によっては、肝臓を動かす、切り開くなどしてからマイクロ波凝固を行います。また、大きな腫瘍は切除したうえで、他の小さな腫瘍をマイクロ波で治療する例もあります。

以上、肝臓がんの治療法についての解説でした。

肝臓がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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