10.肝臓がん

肝臓がんの抗がん剤治療で使用する抗がん剤とは

肝臓がんの抗がん剤治療

抗がん剤の細み合わせや投与法は、がんの種類によってはガイドラインが定められています。しかし、肝臓がん(肝細胞がん)では有効性が認められている抗がん剤の組み合わせがありません。

全身化学療法の場合、これまでに試験された抗がん剤の組み合わせでは、奏功率(高い治療効果が得られる割合)は10~30パーセントにすぎません。そのため、治療に関するガイドラインも存在せず、現在でも、試行錯誤しながら有効な抗がん剤の組み合わせを模索中です。

このようなことから、肝細胞がんに使用される薬は非常に広範です。代表的なものとして、代謝拮抗剤のフルオロウラシルやテガフールウラシル、それにゲムシタビン、抗がん性抗生物質のドキソルビシン(別名アドリアマイシン)やエピルビシン、ミトキサントロン、プラチナ製剤のシスプラチンやオキサリプラチン、植物アルカロイドのイリノテカンなどがあります。

また、ホルモン剤であるタモキシフェンや抗ウイルス剤のインターフェロンを併用する例もあります。新しい薬としては、血管の成長を抑えるサリドマイドなどの使用も始まっています。

以下は、全身化学療法で用いられる抗がん剤の代表的な組み合わせです。なお、この中で奏功率を紹介していますが、いずれも症例数が少ない(ほとんどは30例前後)ことが前提です。

■1.低用量FP(FC)療法

フルオロウラシル(F)とシスプラチン(P)を組み合わせる方法です。動注療法では、治療効果が比較的高い組み合わせであり、全身化学療法でも効果が期待されています。

動注療法と同様、低い濃度の抗がん剤を長時間かけて体内に注入します。複数の手法がありますが、代表的な手法では、5日間にわたってフルオロウラシルを24時間点滴します。またその間、毎日1回、少量のシスプラチンを静脈に注入します。

■2.インターフェロン併用療法

抗がん剤と抗ウイルス剤のインターフェロン(おもにインターフェロン・アルファ)を組み合わせます。インターフェロンと組み合わせる抗がん剤はさまざまですが、フルオロウラシルとシスプラチンを使用する方法が最近増えているようです。

これらの抗がん剤にさらに、ドキソルビシンを加える方法も試されています。この方法では、17パーセント(症例数149)という奏功率が報告されています。肝硬変をともなわず、ビリルビンの値も低い場合は、奏功率は50パーセント程度に上がるとされています。

■3.サリドマイド

血管の成長を抑える薬(血管新生阻害剤)です。サリドマイドは、かつてこの薬を服用した妊婦から高い確率で奇形児が生まれ、社会問題になったことでも知られています。しかしその後、一部のがんに対して治療効果が高いことがわかり、日本でも使用が始まっています。

肝細胞がんは、酸素と栄養を確保するために、新しい血管の成長をうながして自分自身に引き込むという特異な性質をもつため、内部の血流が豊富です。そこで、サリドマイドによって新生血管の成長を抑えれば、がんに供給される酸素や栄養が減少し、がんの成長も止まると期待できます。

これまでの臨床試験によれば、この薬は、非常によく効く人もあるものの、ほとんどの患者には効果が低いようです。とはいえ副作用も小さいため、肝機能が低い患者でも治療を受けることが可能です。

■4.その他の組み合わせ

そのほか、これまでの報告で、治療効果が比較的高い薬の組み合わせは以下のとおりです。
a.タモキシフェン(ホルモン剤)と抗がん剤の併用
b.ミトキサントロン単剤または他の抗がん剤との併用
c.ゲムシタビンとオキサリプラチン
これらはそれぞれ、奏功率が20~30パーセントと報告されています。

■薬の投与法

抗がん剤を体に投与する方法はさまざまであり、薬の種類や薬を使用する目的によって使い分けます。もっとも一般的には、静脈に注入する方法(静注)が用いられます。点滴によって長時間かけて注入するときと、注射器でいちどに注入するときがあります。

静脈中にカテーテルを留置し、リザーバー(抗がん剤の容器)から抗がん剤を注入することもあります。そのほか、筋肉や皮膚の下に注射する方法、錠剤や水薬として口から飲む方法なども用いられます。

■投与のスケジュール

前述したように、肝細胞がんの化学療法にはいまのところガイドラインがないため、現在では、ほとんどの場合、施設内で決めたプロトコル(投薬の決められた手順)に従って、薬を投与しています。

しかし、肝細胞がんの患者さんは、肝硬変が進んでいる症例が多いため、薬の量や投薬の間隔は状態によって柔軟に変えることが多いようです。治療効果が低い、あるいは副作用が強い場合には、薬の組み合わせを変えます。

1つの抗がん剤は、多くの場合、2~4週間に1回投与します。しかし最近では、少ない用量を1週間に1回投与する、あるいは毎日投与する(たとえば低用量FP法)などの方法も増えています。

■治療の副作用

抗がん剤のおもな副作用は、吐き気や嘔吐、口の渇きや口内炎、下痢、脱毛、血球をつくる能力の低下(骨髄抑制)、肝臓の機能の低下、腎臓の障害です。抗がん性抗生物質の中でも、アンスラサイクリン系の薬(ドキソルビシンなど)は、まれに、心臓に障害を与えることがあります。

こうした副作用は適切な対策をとることで、ある程度は抑えられます。しかし、副作用は個人差も大きく、非常に強く現れたときには、薬を中断して副作用の治療を行う必要が生じます。

肝細胞がんの患者では、とくに肝機能の低下が深刻な問題になります。肝細胞がんの患者は肝硬変が進行していることが多く、化学療法によって肝機能が低下すると、肝不全で死に至るおそれがあるからです。

また肝臓は、抗がん剤だけではなく、支持療法に用いる薬も併用するため、薬剤を大量に処理しなくてはなりません。そのため、薬剤やその代謝物によって肝細胞が傷ついたり、アレルギーを起こすことがあります。

さらに、化学療法中、免疫の活動が低下するために肝炎ウイルスの活動が活発化することもあります。この場合、治療後に免疫の活動が復活したときに、免疫細胞(リンパ球)がウイルスに感染した肝細胞を大量に破壊する可能性もあります。

■新しい抗がん剤

最近、新しい抗がん剤が次々に開発されています。その中で、肝細胞がんに対して効果の高いものがないか、各国で臨床試験が進められています。

抗体製剤のベバシツマブ、酵素のはたらきを妨げるエルロチニブやボルテゾミブ、ゲフィチニブ(イレッサ)、それに血管新生阻害剤のTAC101などです。

肝細胞がんと同じように抗がん剤の有効性が低かった大腸がんや胃がんについては、現在では、従来よりも治療効果の高い薬の組み合わせが見つかっています。そこで、それらの薬の組み合わせの中から、肝細胞がんに有効性の高いものを探す試みも進んでいます。

 

以上、肝臓がんの抗がん剤治療についての解説でした。

肝臓の抗がん剤治療は体に大きなダメージを与えます。治療後、治療中にどのようなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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