10.肝臓がん

肝動注療法(リザーバー法)の進め方

肝動注療法(リザーバー法)

■1.準備段階

カテーテルを肝臓に向かう血管に入れるには、大きく分けて2つの方法があります。1つは、開腹して、腹部大動脈から肝動脈が分岐するあたりに直接カテーテルを挿入する方法です。この方法は、肝臓の切除や、血管をしばる処置のために、もともと開腹する予定があるときにしか行われません。

もう1つのカテーテル挿入法は経皮的手法と呼ばれるもので、体の負担はより小さくなります。経皮的手法では、太ももや体の左側の鎖骨の下、または左腕から動脈にカテーテルを入れ、肝動脈まで進めていきます。

経皮的手法でカテーテルを留置する場合、治療の前の食事は1回抜きます。それ以前の食事はふだんどおりです。絶食後でも水は飲むことができます。

手術室に入る前に、鎮痛剤と必要なら鎮静剤を筋肉注射します。ついでカテーテルを挿入する部分を消毒し、局所麻酔を行います。また、点滴により水分を十分に補給します。

太ももからカテーテルを挿入する場合は、尿をとる細い管(尿道カテーテル)を膀胱に挿入します。これは、太ももからカテーテルを挿入した場合、手術後しばらくはトイレに行けないためです。開腹して留置を行う際の準備は、受ける処置によって異なります。

■2.血管造影

リザーバーを設置する際には、血管造影を行います。血管が肝臓の内外をどのように走っているかを調べるためです。

■3.血流の改変

ほとんどの人は、血管をふさぐ処置が必要になります。これには2つの目的があります。第1は、抗がん剤を効果的に肝臓に行きわたらせるためです。腹の大動脈(腹部大動脈)から分岐して肝臓に入る動脈は、本来なら1本(固有肝動脈)です。

しかし、約40パーセントもの人が、それ以外にも肝臓に向かう動脈をもっています。たとえば、胃に向かう動脈が分岐して肝臓に入り込んでいたり、腸に向かう動脈が分岐して肝臓に流れ込んでいることがあります。

動注療法では、カテーテルは、主要な血管に1本だけ留置することになります。そのため、肝臓全体を治療対象とする場合、こうした奇形の血管の分岐をそのままにしておくと、肝臓全体に抗がん剤が行きわたらなくなります。つまり、肝臓内にあるすべての腫瘍を治療することができない可能性が生じます。

そこでこのような場合には、主要な血管を1本だけ選択し、残りの血管はふさいでしまいます。こうすると、肝臓の内部に動脈血がとどかない部分が生じるように思われます。しかし、肝臓内には、別々の枝から分かれてきた血管どうしがつながっている部分があるので、そこからふさいだ領域の血管にも血液が供給されます。なおかつ、抗がん剤も肝臓全体に行きわたるようになるのです。

血管をふさぐ第2の目的は、抗がん剤が他の臓器に入り込んで、無用な副作用を起こすのを防ぐためです。胃や腸に向かう動脈は、肝臓のすぐ外で肝臓に向かう動脈(総肝動脈)から分岐しています。そのため、肝動脈に抗がん剤を注入すると、血管を逆流して胃や腸にも抗がん剤が流れ込むことがあります。その結果、胃や腸の粘膜が損なわれ、潰瘍などを起こします。

そこで、抗がん剤が流入する危険のある血管は、動注前にあらかじめふさいでおきます。血管をふさぐには、手術で血管をしばって閉じる方法と、太ももの大動脈などからカテーテルを通し、そこから金属製のコイルを血管に詰めてふさぐ方法があります。

■4.カテーテルの留置

経皮的にカテーテルを留置するには、2つの方法があります。第1は、皮膚を小さく切開し、血管を外から見えるようにしてカテーテルを挿入するものです。

策2は、通常の血管造影の際に用いられる方法で、皮膚の上からカテーテルを直接挿入します。カテーテルの先端は、金属製のコイルなどで固定する方法と、とくに固定しないでそのままにしておく方法があります。固定するときにはふつう、血管をふさぐコイルを併用します。

固定しない場合、カテーテルの留置にかかる時間も短く、治療が終わったときにカテーテルを抜き去るのも簡単です。さらに、必要なら挿入後にカテーテルの位置を移動することもできます。

しかし、固定したときに比べて、カテーテルの位置がずれて抗がん剤が腫瘍に到達しなくなったり、胃や腸に抗がん剤が流入して、副作用が発生する可能性も高くなります。

そこで血管の形態によって、前記のいずれかの留置方法から選択します。なお、カテーテルには横穴があいており、抗がん剤はこの横穴から血管中に流れ出ることになります。

■5.リザーバーの留置

リザーバーを留置するには、簡単な手術であらかじめ皮膚の下に空間(皮下ポケット)をつくっておかなくてはなりません。皮下ポケットの位置は、太ももや胸の上の場合もありますが、下腹部に埋め込むことが多いようです。

下腹部の場合、腹部を小さく切開して、カテーテルを大腿大動脈から引き出し、その先端をリザーバーと接続します。そして、カテーテルとリザーバーを固定し、ポケットを閉じます。

■6.CT撮影

留置手術の最後に、カテーテルが正しく設置されていることを確認するため、X線撮影やCT撮影を行います。リザーバーから造影剤をゆっくり注入すると、それはカテーテルを伝わって肝臓内に流れ込みます。

X線やCTの撮影を行ったとき、造影剤が肝臓全体に広がり、他の領域には存在していなければ、リザーバーの設置は完了です。

しかし、造影剤が適切に分布していなければ、抗がん剤も望みどおりに肝臓に注入されないことになります。そこで、造影剤が適切に広がらない原因をつきとめて、さらに塞栓のための金属製のコイルを追加するなどの処置をとります。

■7.手術後

手術後は、翌日まで安静を保ちます。その後、出血などがなければ、安静は解除となり、歩けるようになります。尿道カテーテルもこのときに抜きます。感染予防のために、手術後数日間は抗生物質を投与します。

手術後、血管カテーテルを太ももから入れた場合は太もも内側に、また鎖骨の下から入れた場合は、肩から腕にかけて一時的に軽いしびれを感じることがあります。
抗がん剤の注入は通常、リザーバーの留置の1週間前後から開始します。

以上、肝臓がんの動注療法についての解説でした。

ステージ3、4と進行してくると、病院でできる治療法の選択肢は少なくなります。しかし、病院で受ける治療法は、がんと闘うための手段の一部にすぎません。

肝臓がんを克服するためには、病院での治療より重要なことがあります。詳しくはこちらのガイドブックにまとめました。
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