10.肝臓がん

肝臓がんの治療方針はどのように決めるのか

投稿日:

肝臓がんの治療方針

肝臓に発生するがんには、おもに肝細胞がんと肝内胆管がん(胆管細胞がん)があります。

このうち肝細胞がんが肝臓がん全体の90パーセント以上を占めます。そのため一般に、肝臓がんといえば肝細胞ガンを指します。もう1つの肝内胆管がんは、肝細胞がんとは、がんの性質も治療の考え方も大きく異なります。

肝細胞がんは、すべてのがんの中でも、治療が難しいものの1つです。その第1の理由は、肝細胞がんが、肝炎や肝硬変を合併して発症することが多いためです。

肝炎や肝硬変のために肝臓のはたらきが衰えていると、肝細胞がんの積極的な治療を行うことが難しくなります。治療によって肝臓の機能がさらに低下し、肝不全、つまり肝臓の機能が失われて、命にかかわる危険があるからです。

第2の理由は、肝細胞ガンは、同時に複数発生することが少なくないことです。そのため、肝臓の広い範囲を治療の対象にせざるを得ないことが多く、これも、肝臓の機能を大きく損なうことになります。

そして第3の理由は、肝細胞がんは、いったん治癒しても、ふたたび発症しやすい性質をもっていることです。生き残ったがん細胞がふたたび増殖する場合もありますが、前のがんとは異なる新しいがんが発生することもあります。

このような性質があるために、肝細胞がんの治療方針を決定する過程では、がんの状態ばかりではなく、肝臓の機能や全身状態も考慮しなければなりません。また、治療の方法が何種類もあり、それぞれに特徴があります。

したがって、どの治療をどんな時期に行うかは、ひとりひとりの病状とそれぞれの医療施設が提供できる治療法の種類を考慮しながら、医師と患者さんやその家族が相談して決めていくことになります。

このとき、患者サイドに、肝細胞がんとその治療法についての基礎的な知識がなければ、医師と十分に話し合うことができません。そうしなくては、治療の方法や効果、副作用や危険性などを理解できずに、医師の勧めるままの治療を受けることになってしまいます。
肝細胞がんの治療は、このようにさまざまな要因を考慮して選択する必要があるため、いまのところ統一された治療法の選択基準はありません。

それでも、治療法を選択するうえでの基本的な考え方を理解しておくことは重要です。まず、基本を知ったうえで、個別の条件などを踏まえて決めていくのが病院での治療を選ぶうえでのポイントです。

■病状の把握

がんの治療方針を決めるには、まず病状を正確に把握することが重要ですです。他の多くのがんでは、治療方針でもっとも重要になるのはがんの進行度(病期。ステージ)ですが、肝細胞がんでは進行度そのものよりも、がんの場所や大きさ、個数などの具体的な要素が重要になります。

それと同時に、肝臓の予備能、すなわち肝臓の能力がどのくらい残っているかをよく知る必要があります。そのほか、他の病気を併発していないかどうかを調べなくてはなりません。

■がんの進行度(病期)

がんの進行度に関しては、以下の点が、治療法を決定する際に重要になります。

①腫傷(がん)の数はいくつか。単一(1個)か、2~3個か、それ以上か。
②がんの最大径はどのくらいか。2センチ以下か、それ以上か。
③がんが複数ある場合、その分布はどうなっているか。集中しているか、肝臓全体に散らばっているか。
④がんが肝臓の血管や胆管を侵しているか。
⑤ガンがリンパ節や横隔膜に転移あるいは浸潤しているか、他の離れた臓器に広がっているか。

これらの点から、日本肝癌研究会は、肝細胞がんと肝内胆管がんの病期(ステージ)を、それぞれ1期~4b期に分けています。一般に、病期が進んでいるほど、治療の効果が低くなり、完治は困難になります。

■肝臓の予備能とは

肝臓は、人間の体になくてはならない臓器です。人間が生きていくうえで必要とするさまざまな物質をつくり出し、また毒物を解毒するなどのはたらきをもっているからです。

肝臓が十分にはたらかなくなって「肝不全」と呼ばれる状態になると、ビリルビンやアンモニアなどの毒性のある物質が体内に蓄積します。その結果、黄疸や神経障害(肝性脳症)が出現し、最終的には死に至ります。

前述したように、肝細胞がんの患者の多くはもともと肝臓の機能が低下しています。そのため、がんに対する治療を積極的に行うと、まわりの肝臓の組織にも影響が及び、肝不全を起こす危険があります。そこで、肝臓にどのくらいの余力があり、どのような治療なら許容できるかを判断しなくてはなりません。

肝臓の機能を検査するには、いろいろな方法があります。しかし肝細胞がんの治療については、日本肝癌研究会が、肝臓の障害の程度を評価する指標を設けています。検査項目は、以下の5つです。

①腹水の有無(量)。
②血清中のビリルビン(胆汁の成分)の濃度。
③血清中のアルブミン(たんぱく質の一種)の濃度。
④ICG(色素)排泄検査(静脈に色素を注入し、15分後の血中濃度を測定)。
⑤プロトロンビン時間(血液凝固作用の検査)。

これらは、項目ごとに重症度を求め、そのうち2項目以上が当てはまる重症度を、患者の「肝障害度」とします。

もし肝障害度A(軽度)の項目が3つと、肝障害度B(中程度)の項目が2つある場合などは、より重いBの障害度が、患者の障害度となります。がんの進行度にかかわらず、肝臓の障害度が重いほど、5年生存率は低くなってしまいます。

以上、肝臓がんの治療方針についての解説でした。

肝臓がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。患者として、家族として必要な知識はこちらのガイドブックにまとめました。
がん治療で「絶対に」やってはいけないことは?

興味がある方は、ダウンロードして読んでみてください。

このサイトの管理者について

このサイトはがん治療専門のアドバイザー、本村ユウジが運営しています。

プロフィールはこちら

メールレター説明

本村ユウジのメールマガジン

ブログでは書けない「がん治療」に関する本音をメールで。全15回の読み切り型のメールマガジンです。すでに38,000名の方に読まれています。↓をクリックして登録すると、すぐに届きます。

必読の書!

ガイドブック「がんを完治させるための5つのルール」を無料で差し上げています


本村ユウジ責任編集。「がんと闘ううえで、絶対に外してはいけないポイント」を凝縮したガイドブックです。パソコンからでもスマホからでも読める電子ファイル(PDFファイル)なのですぐに読めます。


どんなガイドブックなのかの解説はこちらのページで。

がん治療で”絶対に”やってはいけないことは?

今すぐダウンロードして読みたい方は、こちらのボタンをクリックしてメールアドレスを登録してください。

kotira010
  • この記事を書いた人
yuji-motomura

本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

-10.肝臓がん
-

Copyright© がん治療相談・本村ユウジ公式 , 2017 All Rights Reserved.