16.前立腺がん

前立腺の役割。その働きと機能

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前立腺の役割。その働きと機能

■前立腺の場所は膀胱の真下、恥骨の後ろ

前立腺は男性だけにある生殖器の一つであり、精嚢、精巣上体などとともに副性器と呼ばれます。膀胱から出た尿道を取り囲むように、膀胱の真下に位置しており、前に恥骨、後ろに直腸があり、両者にはさまれた格好です。

膀胱と前立腺、直腸にはさまれている精嚢と精管が前立腺の背側に続いています。通常、横幅3.5cm以内、尿道を囲んでいる部分(天地)3cm以内、奥行き2.5cm以内でやや横に長く、重さは15~20g。大きさや形から、くりの実によく例えられます。

膀胱から出た尿道は、前立腺の中央を突き抜けて陰茎に向かって伸びています。前立腺の下部には、恥骨と肛門を結ぶ尿道括約筋があり、尿道はこの中も通っています。

この尿道括約筋と膀胱出口の膀胱括約筋、いわゆる内尿道括約筋の働きによって尿道を締めて、尿が膀胱からもれ出ること(尿もれ)を防いでいます。

肛門から、人さし指の第二関節程度まで(5~6cm)直腸に入れると(直腸診)、直腸壁越しに前立腺の様子がわかります。前立腺がんの一部は直腸に接している部位にできるため、直腸診によって発見したり、進行度を診断したりすることが可能です。

■精子に栄養を与え、保護する前立腺液を分泌する

前立腺のおもな働きは、前立腺液の分泌です。前立腺液は精液の一部となり、精子に栄養を与え、保護する役目があります。

前立腺液の成分のうち、精子の運動を促し、細菌などから守っている栄養素は亜鉛です。クエン酸は精子に加わる物理的な衝撃をやわらげる緩衝材として、精子を保護します。果糖は精子のエネルギー源として重要な栄養となります。

この他、前立腺液には酸性ホスファターゼ、スペルミン、マグネシウム、カルシウムなどが含まれていますが、働きがすべて解明されているわけではありません。

前立腺は生殖の一部を担っていますので、子どもが欲しい男性には重要な臓器ですが、それ以外の男性はなくてもとくに困りません。前立腺がんが見つかり、手術ですべて取り除いてしまう治療を受けても、体の維持や男らしさの維持には変化を与えません。

手術の際は、前立腺の中を貫いている尿道は、いったん切って前立腺を摘出したあとで再びつなぎます。精管も途中で切断し、精嚢は前立腺と離して残すことが困難なため、前立腺と一緒に摘出することとなります。したがって、男性機能(勃起能力)は維持されても、子どもをつくることは不可能になります。

■前立腺はテストステロンなどの男性ホルモンに支配される

前立腺の成長には男性ホルモンがかかわっており、前立腺の働きを維持しているのも男性ホルモンです。男性ホルモンの95%は精巣(睾丸)で、5%は副腎でつくられています。

男性ホルモン全体をアンドロゲンと呼びますが、そのうち精巣でつくられるものをテストステロンといいます。テストステロンの生成や分泌は、LH(黄体化ホルモン)、LH-RH(黄体化ホルモン放出ホルモン)といったホルモンによってコントロールされています。

LHは脳の下垂体から分泌されるホルモンの一つです。男性では精巣に働きかけてテストステロンをつくらせます。ちなみに女性でも分泌されていますが、女性の場合は、卵巣に働きかけて黄体ホルモン(プロゲステロン)をつくらせます。

いずれも生殖にかかわるホルモンなので、LHは性腺刺激ホルモンとも呼ばれています。一方のLH-RHは、LHの放出を促すホルモンで、脳の視床下部から分泌されています。

前立腺の細胞は、男性ホルモンの分泌が活発なほど増殖します。いわば、男性ホルモンというエサを食べて大きくなるのです。男性ホルモンの影響を受けるのは前立腺の正常な細胞だけでなく、がん細胞がある場合は、がん細胞も増殖して広がってしまいます。

前立腺がんのホルモン療法として、精巣(睾丸)摘出や、LHの分泌を抑える薬剤を用いるのは、このような働きやしくみを利用したものです。

以上、前立腺がんに関する解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

納得できる判断をするためには「正しい知識」が必要です。

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