05.肺がん

肺がん治療薬としてのキイトルーダの効果と副作用

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キイトルーダ(ペムブロリズマブ)は2016年12月に承認された免疫チェックポイント阻害剤の新薬です。キイトルーダにはどんな作用があるのか。どんなタイプの肺がんに適応となるのかなど、効果や副作用について解説します。

キイトルーダは免疫チェックポイント阻害剤

キイトルーダの作用を理解するためには、まず人間の「免疫の働き」と「免疫チェックポイント」という仕組みがどんなものなのかを確認しておく必要があります。

免疫の働き

免疫とは、人間の体内に入ったウイルスや異物、そしてがん細胞を攻撃する働きです。

ここではがん細胞を攻撃するプロセスに絞って説明します。

免疫ががん細胞を攻撃するとき、まず「抗原提示細胞(こうげんていじさいぼう)」が、がん細胞の目印である「がん抗原」を認識します。認識すると攻撃を担当するTリンパ球は目印である抗原を頼りにがん細胞を補足し、攻撃するのです。

免疫チェックポイントとは

免疫チェックポイントとは、「本来、ウイルスや異物を攻撃する免疫細胞(Tリンパ球など)が誤って正常細胞を攻撃しないための仕組み」です。

しかし、がん細胞はこの仕組みを利用することができます。がん細胞が「自分は攻撃対象ではなく正常細胞です」という信号を発することで、自分自身に免疫が働くことを逃れようとするのです。

免疫チェックポイント阻害剤は、「がん細胞が免疫チェックポイントの仕組みを使えないようにする」の薬です。

この薬自体ががん細胞を攻撃するのではなく、免疫細胞ががん細胞を「敵とみなして」攻撃できるようにするための薬です。

キイトルーダはそのような作用を持つ薬です。肺がんではすでにオプジーボという免疫チェックポイント阻害剤が開発され、すでに使われています。

キイトルーダが使える肺がんとその効果

まず、キイトルーダは「進行、再発した非小細胞肺がんへの適応」が認められた薬です。(非小細胞肺がんではない小細胞肺がんでは適応となっていません)。

先行して使われているオプジーボと作用としては同じタイプの薬(PD-1チェックポイント阻害剤)ですが、オプジーボとの違いは「一次治療(最初の化学療法)から使える薬」として有効性が認められている点です。

キイトルーダの申請にあたり「ステージ4の非小細胞肺がんの患者さんのうち、がん細胞のタイプを調べ[PD-L1タンパク]を発現しているがん細胞が50%以上の人」を対象に臨床試験(治験)が行われました。

臨床試験の内容は「従来から使われている抗がん剤」と「キイトルーダ単独」との比較です。

この試験で無増悪生存期間(PFS)の中央値が、従来の抗がん剤が6.0カ月なのに対し、キイトルーダは10.3カ月と大きく上回りました。

これまでの進行肺がんに対する化学療法は、「まず従来の抗がん剤を実施する。その後に免疫チェックポイント阻害剤を使用する」という考え方でしたが、それを覆す形で「条件が合えば([PD-L1タンパク]を発現していれば)、先に抗がん剤を使うのではなく、先に免疫チェックポイント阻害剤を使う」ほうが有益である、と認められたのです。

この臨床試験の結果を受けてキイトルーダは承認されたため「PD-L1陽性の進行再発・非小細胞肺がん患者を対象に、一次治療から使用できる薬剤となりました。

【キイトルーダの奏効率】(2016年の臨床試験より)

キイトルーダ 従来の抗がん剤(プラチナ製剤)
奏効率 44.8% 27.8%
無増悪生存期間中央値 10.3ヶ月 6.0ヶ月
有害事象(副作用)発生率(グレード3~5) 26.6% 53.3%

非小細胞肺がんの化学療法の進め方

非小細胞肺がんのうち、腺がんでは分子標的薬の開発が進んでおり、EGFR遺伝子変異が陽性であればイレッサ、タルセバ、ジオトリフなどが使えます。

また、ALK融合遺伝子が陽性であればザーコリやアレセンサといった分子標的薬も使用できます。

しかしこれらの遺伝子変異が陰性であった場合、従来の抗がん剤を使うことになり、選択肢が少ないことが懸念材料でした。

キイトルーダが承認されたことで、PD-L1タンパクの発現率が50%以上ならキイトルーダを使用し、50%未満なら抗がん剤治療を行う、という治療選択になりつつあります。状況によって一次治療で抗がん剤法を行った場合、二次治療でオプジーボやキイトルーダを使用するというパターンも考えられます。

キイトルーダの副作用

キイトルーダは、「ウイルスや異物を攻撃する免疫細胞(Tリンパ球など)が誤って正常細胞を攻撃しないための仕組み」を阻害する薬ですので、免疫細胞が正常細胞を攻撃してしまうリスクを高めます。

そのため正常細胞がダメージを受ける自己免疫性疾患(じこめんえきせいしっかん)が副作用として起きる可能性があります。

脳の下垂体が免疫細胞によって攻撃されてしまうと下垂体炎を起こしますし、膵臓が攻撃されればインスリンを正しく分泌できなくなり糖尿病を起こす可能性もあります。

従来の抗がん剤に比べて、副作用が起きる頻度や重症度も低いですが、すでに自己免疫疾患や肺炎など炎症の既往症がある人は注意が必要です。

副作用以外の課題としては、薬価が非常に高額であることや、投薬を止めても長期にわたって甲状腺機能低下などの後遺症が残る可能性があることです。

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