05.肺がん

非小細胞肺がんステージ3b 放射線治療は可能か?

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非小細胞肺がんのステージb3は「局所進行している状態」で、ガイドラインでは「切除手術ができない」という診断になります。

手術ができないことで、おのずと治療法は「化学放射線療法(化学療法=薬を使った治療+放射線治療)」となります。

化学療法(薬をつかった治療)も進歩はしていますが、薬だけで進行した肺がんを死滅させることはできません。あくまで進行を止める、一時的な縮小を図ることが目的となります。

また、従来のリニアック(ライナック)を使った定位放射線治療では、腫瘍のある部分だけでなく肺および周辺の正常な部分まで放射線があたり、がん腫瘍を完全に殲滅させる(根治させる)ほどの線量を当てられないことが課題でした。

つまり、薬と放射線を組み合わせても、がん細胞は残存してしまい、根治的な治療はできない、ということになります。

ところが近年(2010年以降)放射線技術の向上が進み、ターゲットとする腫瘍にピンポイントで強い放射線を照射できるようになり、状況によっては目視できる腫瘍を完全に消滅させ、「寛解(かんかい)」状態にもっていけるケースもみられるようになりました。

肺がんのステージ3は治療判断が難しい

肺がんのステージ3では、リンパ節に転移がある状況です。ステージ3aではがん腫瘍のある側の縦隔リンパ節や肺門リンパ節、胸壁まで転移があります。ステージ3bでは腫瘍のある反対側の縦隔リンパ節、肺門リンパ節、鎖骨のリンパ節などにも転移がある状況です。
遠隔転移(ステージ4)ではないですが、潜在的に遠隔転移を起こしている可能性は否定できません。

放射線治療はあくまで「ピンポイントに腫瘍を攻撃する」治療法なので、腫瘍が複数点在しているような場合は攻撃しきれない、ということになります。

きちんと照射しなければならないうえに、細かい病巣が多数あることで「放射線が当たり切らず、がんが残存してしまう」のです。

ですが、ステージ3にはさまざまなパターンがあります。ステージ3aでも3bでも、病巣がある程度一部分に限定されていたり、転移の数が少ない場合は、「目に見える腫瘍を全て消滅させる=根治」を目指す価値はあります。

放射線治療を成功させるポイントは?

放射線を当てたら、がん腫瘍(がん細胞)は完全に死ぬ、とされている放射線の線量は60gy(グレイ)です。

この量の放射線をきちんと腫瘍に当てるとともに、正常な肺の組織、近くにある心臓や気管支、脊髄などにはできるだけ当てない(耐えられる量に抑える)ことが成功の条件になります。

肺の正常組織に放射線が当たりすぎると放射線肺臓炎など重篤な症状を引き起こしてしまいます。

2000年代まで主流だった定位照射では、この「がんにはしっかり当てて、他の組織に当てない」ことが困難で、まず両立は不可能でした。

しかし2010年代に入って、IMRTや陽子線といった「よりピンポイントに放射線を照射できる技術」が生まれ、両立が可能になるケースもでてきました。

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IMRT(Intensity Modulated Radiation Therapy)とは

ひとことでいえば、「照射野内で線量分布が変化するように複数のビームを組み合わせて照射する方法」です。

※詳しい解説はこちら

IMRT

完全にコンピュータで制御した照射を行うため、事前に放射線を当てたい部分と、当ててはいけない部分を患部のCT(コンピュータ断層撮影)画像をもとにコンピュータの複雑な計算を経て立体的に指定します。

腫瘍に合わせた放射線の強弱や照射角度の情報を放射線機器にインプットしてから照射を行う仕組みです。

陽子線とは

陽子線は従来の放射線(X線)よりも、大きな粒子(より強いエネルギー)を腫瘍にピンポイントで照射できる照射技術です。

陽子線を照射するには巨大な放射線機器が必要で数億円します。そのためどこにでもある装置ではなく、全国でも数か所になります。また、保険適応ではないのでおよそ300万円の実費がかかることがネックです。

肺への照射に関しては、腫瘍を叩く効果が高いのはもちろん、肺の正常部分、心臓、食道、気管支に当たる線量を減らすことに寄与します。心膜炎や肺臓炎などの合併症、後遺症が起きにくくなります。

肺がんステージ3に対するIMRTと陽子線治療の効果は?

ステージ3への放射線治療を積極的に研究している静岡がんセンターは「従来の三次元放射線治療のみでは根治照射不能であっても、高精度放射線治療(IMRT・陽子線)を用いることにより根治照射が行えた例があった」と報告しています。

先述のとおり、ステージ3というカテゴリには様々なケースがあるため、全てにおいてIMRTや陽子線をするべき、ということではありませんが、「従来の方法だと60gy(グレイ)を当てられないが、当てることができれば根治的な照射になる」といった場合は、化学放射線治療においてIMRTや陽子線での照射を検討する価値はあるといえます。

いっぽうで懸念はあります。

IMRTは対応機器と医師を備える病院が増えていますが、肺は呼吸によって動きがあるため、肺がんへの照射は難易度は高いです。

IMRTは50Gyや60Gyなどの高い線量が当たる範囲はしっかり指定することができますが、仕組み上、それより弱い10~20Gyの低線量が当たる範囲はどうしても出てきてしまいます。
患者の体形や姿勢、肺の動きなどに配慮しながら合併症が起きないように照射プログラムをインプットするにはそれなりの経験や技術が求められます。

どこでもできる、どこでも同じ、ということではないので経験の豊富な病院で実施することが成功のひとつのポイントでもあります。

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本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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